義弟に迫られてます〜制御不能な本気の恋〜

さくしゃ

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その想いは……

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 いつから好きだったのかはよく覚えていない。
 気がついたら目で追うようになっていた。

 当時はその想いが何なのかはよく分からなかった。

 ただ、確かな事は彼女が笑うと嬉しくて、泣いていると同じように悲しかった。

 しかし、その思いに気づく時がやって来た。

 小学五年生のあの日、互いの片親が不倫の末に出て行ってしまった。

 悲しいというよりも理由がよく分からなくて、それでも体が勝手に動いて……でも、見つからなくて。

 込み上げて来るものはあったけど、全然素直に出て来てくれなくて苦しかった。

 何もやりたくなくて、でも母親が心配するから何とか学校へは通った。

 時間が解決するとはよく言ったもので、俺の場合は時間の経過とともに事実を認めて、飲み込むことが出来た。

 ただ、1人だけ萌だけは違った。

 昔から勉強が出来て、家庭科とかもそつなくこなすものだから、周りからは「器用」で「我慢強い」と思われる事が多いが、俺に言わせれば真逆。

 誰よりも不器用で繊細で、苦しいと、どう表現したらいいか分からない。

 内側では誰よりも抱え込んでいる。

 昔から放っておけなくて。

 案の定、本当に苦しい時によく行く神社に居た。

 俺が声をかけると萌は驚いた顔をした後、そして急に泣き出した。

 溜まっていた感情が一気に溢れ出したのだろうとすぐにわかった。

 しかしそれを見ていたら、どうしようもなくて。気がついたら抱きしめていた。

 愛おしい。

 素直にそう思った。

 それから時間を掛けて萌への想いに自覚した。

 自覚してからは早かった。

 気持ちを伝えられずに終わるなんてしたくないと思って、内心では遊びを断られたらと不安になりながらも電話して誘った。

「もしもし」

 なんか声が吃っていて変だなと感じたけど、そんなの気にならなかった。
 
 電話に出てくれただけで嬉しかった。

 緊張から上ずりそうになる声に気をつけながら、何とかいつも通り話した。

 余裕なんてなかった。

 世の中の恋人や結婚してる人たちはもっと緊張する場面を乗り越えているのだと思うと尊敬すら覚えるほどだった。

 しかし、予想外に「OK」をもらった。

 電話を切った後、今でも覚えているけど、誰にも見られたくないほどテンションが上がってしまい、よく分からない自己流ダンスを踊ったり、エアギターをしてみたりと、激しい動きで感情を表現した。

 最終的に酸欠になって倒れて母さんに叱られたけど……。

 しかし、土曜日が待ち遠しくてそんな事はどうでも良かった。

 早く、早く、早く来てくれー!

 心の中で叫んでいた。

 周りには悟られないようにいつも以上にクールぶってカッコつけて接していたのを思い出すと恥ずかしい。

 そして、何事もなく当日を迎えた。

 萌を待たせたくないと待ち合わせ場所に1時間前に行って待っていた。

「どのタイミングで告白しよう。やっぱり夜になってからの方が、それとも夕陽が沈むタイミング?」

 いろんなシチュエーションを想像して1人盛り上がる。

 待つのはぜんぜん苦ではなくてむしろ堪能していた。

 しかし、待てど暮らせど萌が来る事はなかった。

 そして、想いを伝えられぬまま呼び出されたファミレスへ行き、再婚と萌と義姉弟になる報告を受けた。

 あれから3年……

 家族を壊さないように萌への想いを消すためにいろんな女性と付き合った。学年で1番可愛い子とか。

 だけど、胸の中からその想いが消える事はなくて、むしろどんどん大きくなって行ってしまって、困らせるのは分かっていた。だけど、一度開いてしまった扉は閉じる事なく、どうしようもない程に膨れ上がって。

「一体、どうすりゃ良いんだよ……」
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