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恋花火~思い出の夏
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「恋花火~思い出の夏~」
プロローグ
太陽の光が、アスファルトに照り付け蝉のけたたましい声が都会に夏の訪れを知らせた。こんな時に思い出すのは、幼馴染みと過ごしたあの夏の事だ……
第1章 ~再会~
都会に住んでいた俺は、父の実家のある田舎へ来ていた。
優しく迎えてくれる祖父母に挨拶をし、家の近くを歩いていると、向こうから白いワンピースを着た子が手を振りながら此方へやって来た。
「久しぶり、今日こっちに着いたんだね!」とその子は俺に言った。
それは、幼馴染みの茜だった。
茜は、手に持っていた西瓜を俺に渡して来た。俺が「何コレ?」と聴くと茜は「お母さんに頼まれて、あんたの所に届ける所だったのよ。」と答えた。久しぶりに見た彼女は、とても綺麗な子へと成長していた。そんな姿を見てか、俺の手に持たされた西瓜はずっしりとした重さがあった。
家へ帰り、両親と祖父母に茜から西瓜を貰った事を話、西瓜を外の水道へ着ける。雪解け水の様な冷たさが、俺の指先を通り火照った身体へ染み渡った。
夕飯後に祖母が茜から貰った西瓜を切ってくれた。ほのかな塩味と甘さが夏の訪れを知らせた。
第2章 ~お礼~
翌日、西瓜のお礼にと母が手土産を俺に渡して来た。俺は渋々、茜の家に向かった。
茜の家は祖父母の家から10分程の距離にある。俺は、記憶を頼りに茜の家へ向かった。インターホンを鳴らし、玄関前に立つ。ガチャッと玄関の戸が開き、中から茜の母親が出て来た。俺は「西瓜、ありがとうございました。コレ、お礼です。」とお土産を渡した。すると、室内から黒猫が走って来た。黒猫を追いかけてか、茜も出て来た。茜は俺の姿を見ると、外に出よう?と自らの靴を履き外へと手招きした。
第3章 ~約束~
不意に、茜が「今夜、灯篭流しが有るから、一緒に行こ?」と言い出した。俺は「親に許可取ってからにしよ?」と言うと、茜は一瞬ムッとした顔をした。そんな茜に俺も一緒に言ってやるからっと話すと、茜は仕方ないなーっと言いながら帰路へ着いた。
俺は、家に戻ると皆に灯篭流しに行く事を伝えた。皆、一人で行くのか?と聴いてきたので、茜と行くと言った。すると皆、そうか と言うだけだった。
第4章 ~灯篭流し~
河原の、小さな神社前に俺は立っていた。茜との集合時間より早くに着いた俺は、祭り会場をぶらぶらと歩く事にした。河原の周りには屋台が並び、皆準備に余念がなかった。色々な所を回って戻ってくる頃には、夕陽が沈み宵闇で祭りの提灯に灯りが灯り始めた頃、カランコロンと下駄の音と「おまたせ!!」と言う茜の声が聴こえた。茜の声の方を見ると、薄い水色地に金魚の柄が描かれた浴衣を着た茜が立っていた。俺は、そんな茜の姿を直視出来なかった。そんな俺に茜は「どうかなぁ?似合うかなぁ?」と聴いてきた。俺は無言で茜の手を取り祭り会場へ向かった。
河原の特設テントで、灯篭を受け取りメッセージを書く。
火を付けた灯篭を茜と一緒に流し、手を合わせた。灯篭の火に照らし出される茜の顔はとても綺麗で見惚れてしまった。祈り終わったのか茜の目と俺の目が合った。茜は何も発せずに、じっと俺の顔を見つめてきた。
第5章 ~茜の涙~
帰り道、俺と茜は会話をする事は無く、周りの静けさだけが2人を包んでいた。
茜は終始俯き、握った手の温もりだけが、茜が近くに居ると知らせてくれる。
茜の家に着き、チャイムを鳴らす。茜は「送ってくれてありがとう、また逢えると良いね!」と笑顔で言った。その目には涙が滲んでいた。
最終章~真実~
都会に帰る日の朝、俺は茜に今日帰る事を伝えに茜の家へ向かった。
チャイムを鳴らし、玄関前で待っていると、ガチャッと音を立てて玄関の戸が開き中から茜の母親が出て来た。
俺は「茜、いますか?今日帰るから花火しようかなって思って」と伝えた。
茜の母親は、何も言わず俺を室内へ入る様伝えた。奥の部屋に行くと仏壇が有り、仏壇の中に飾られていた写真には見覚えのある人が写っていた。
……茜だ。俺はどういう事なのか分からなかった。俺は確かに、昨日茜と灯篭流しへ行ったし、手も握った。まだ、茜の温もりは残っていた。茜の母親は、涙を拭いながらもぽつりぽつりと話してくれた。
俺と再会する半年前に茜は病気になり亡くなっていたのだ。病院内でも、「俺君が帰ってくるまでに、治して置かなきゃね。私、頑張る!」と言っていたと、茜の母親は言た。俺は仏壇に線香と手を合わせ、茜の家を後にしようと来た道を辿ろうとした時、茜が追いかけていた黒猫がニャーっと俺に向かって鳴いた。
エピローグ
俺は、コンビニで線香花火を買ってその内の1本に火を付けた。線香花火が、パチパチと音を立てながらしかし儚くぽとりと火を消した……
俺は心の中で茜との思い出を振り返りながら線香花火を見つめていた。そっと背中が微かに温かくなり耳元で「ありがとう」と茜の声が聴こえた気がした……
プロローグ
太陽の光が、アスファルトに照り付け蝉のけたたましい声が都会に夏の訪れを知らせた。こんな時に思い出すのは、幼馴染みと過ごしたあの夏の事だ……
第1章 ~再会~
都会に住んでいた俺は、父の実家のある田舎へ来ていた。
優しく迎えてくれる祖父母に挨拶をし、家の近くを歩いていると、向こうから白いワンピースを着た子が手を振りながら此方へやって来た。
「久しぶり、今日こっちに着いたんだね!」とその子は俺に言った。
それは、幼馴染みの茜だった。
茜は、手に持っていた西瓜を俺に渡して来た。俺が「何コレ?」と聴くと茜は「お母さんに頼まれて、あんたの所に届ける所だったのよ。」と答えた。久しぶりに見た彼女は、とても綺麗な子へと成長していた。そんな姿を見てか、俺の手に持たされた西瓜はずっしりとした重さがあった。
家へ帰り、両親と祖父母に茜から西瓜を貰った事を話、西瓜を外の水道へ着ける。雪解け水の様な冷たさが、俺の指先を通り火照った身体へ染み渡った。
夕飯後に祖母が茜から貰った西瓜を切ってくれた。ほのかな塩味と甘さが夏の訪れを知らせた。
第2章 ~お礼~
翌日、西瓜のお礼にと母が手土産を俺に渡して来た。俺は渋々、茜の家に向かった。
茜の家は祖父母の家から10分程の距離にある。俺は、記憶を頼りに茜の家へ向かった。インターホンを鳴らし、玄関前に立つ。ガチャッと玄関の戸が開き、中から茜の母親が出て来た。俺は「西瓜、ありがとうございました。コレ、お礼です。」とお土産を渡した。すると、室内から黒猫が走って来た。黒猫を追いかけてか、茜も出て来た。茜は俺の姿を見ると、外に出よう?と自らの靴を履き外へと手招きした。
第3章 ~約束~
不意に、茜が「今夜、灯篭流しが有るから、一緒に行こ?」と言い出した。俺は「親に許可取ってからにしよ?」と言うと、茜は一瞬ムッとした顔をした。そんな茜に俺も一緒に言ってやるからっと話すと、茜は仕方ないなーっと言いながら帰路へ着いた。
俺は、家に戻ると皆に灯篭流しに行く事を伝えた。皆、一人で行くのか?と聴いてきたので、茜と行くと言った。すると皆、そうか と言うだけだった。
第4章 ~灯篭流し~
河原の、小さな神社前に俺は立っていた。茜との集合時間より早くに着いた俺は、祭り会場をぶらぶらと歩く事にした。河原の周りには屋台が並び、皆準備に余念がなかった。色々な所を回って戻ってくる頃には、夕陽が沈み宵闇で祭りの提灯に灯りが灯り始めた頃、カランコロンと下駄の音と「おまたせ!!」と言う茜の声が聴こえた。茜の声の方を見ると、薄い水色地に金魚の柄が描かれた浴衣を着た茜が立っていた。俺は、そんな茜の姿を直視出来なかった。そんな俺に茜は「どうかなぁ?似合うかなぁ?」と聴いてきた。俺は無言で茜の手を取り祭り会場へ向かった。
河原の特設テントで、灯篭を受け取りメッセージを書く。
火を付けた灯篭を茜と一緒に流し、手を合わせた。灯篭の火に照らし出される茜の顔はとても綺麗で見惚れてしまった。祈り終わったのか茜の目と俺の目が合った。茜は何も発せずに、じっと俺の顔を見つめてきた。
第5章 ~茜の涙~
帰り道、俺と茜は会話をする事は無く、周りの静けさだけが2人を包んでいた。
茜は終始俯き、握った手の温もりだけが、茜が近くに居ると知らせてくれる。
茜の家に着き、チャイムを鳴らす。茜は「送ってくれてありがとう、また逢えると良いね!」と笑顔で言った。その目には涙が滲んでいた。
最終章~真実~
都会に帰る日の朝、俺は茜に今日帰る事を伝えに茜の家へ向かった。
チャイムを鳴らし、玄関前で待っていると、ガチャッと音を立てて玄関の戸が開き中から茜の母親が出て来た。
俺は「茜、いますか?今日帰るから花火しようかなって思って」と伝えた。
茜の母親は、何も言わず俺を室内へ入る様伝えた。奥の部屋に行くと仏壇が有り、仏壇の中に飾られていた写真には見覚えのある人が写っていた。
……茜だ。俺はどういう事なのか分からなかった。俺は確かに、昨日茜と灯篭流しへ行ったし、手も握った。まだ、茜の温もりは残っていた。茜の母親は、涙を拭いながらもぽつりぽつりと話してくれた。
俺と再会する半年前に茜は病気になり亡くなっていたのだ。病院内でも、「俺君が帰ってくるまでに、治して置かなきゃね。私、頑張る!」と言っていたと、茜の母親は言た。俺は仏壇に線香と手を合わせ、茜の家を後にしようと来た道を辿ろうとした時、茜が追いかけていた黒猫がニャーっと俺に向かって鳴いた。
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俺は、コンビニで線香花火を買ってその内の1本に火を付けた。線香花火が、パチパチと音を立てながらしかし儚くぽとりと火を消した……
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