しがらみ

山代裕春

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序章

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……リビング

「……」
五喜「…」

ジリ…ジリ…

五喜「…」
「ぽーーん!」
 姉に何かが飛びついてくる。
五喜「!…七ちゃん」
七「ねぇね!ねぇね~あそぼー!」
五喜「いいよ、何して遊ぶ?」
七「ん~」
柳十「…」
 音もなく現れた義弟は末っ子を掴むと突き飛ばし義姉に抱きつく。
五喜「七ちゃん!ちょっとりゅ…」
 子供と思えないほどの憎悪に満ちた顔、睨む眼光は、泣きじゃくる末っ子に容赦なく向けられる。
 異変に気づいた母がリビングに来るとその惨状に困惑した。
柳母「柳十!!」
 母は末っ子を抱き抱え、息子に平手打ちをした。
 叩かれた義弟は怒り狂い母と末っ子に対して物を投げる。
五喜「柳!!やめて!」
 必死に制止するが効かず、ついには末っ子に物が当たり頭から血を流す。
柳母「あぁ!!七音!」
柳十「………おまえなんか…」
 小声で呟く義弟、その言葉を義姉は聞き逃さなかった。
五喜「!?」
柳十「おまえなんか…おまえなんか!!」
五喜「…りゅ」
柳十「しんじまえ!!!」
 この瞬間……何かが壊れた…
 義弟は末っ子に殴りかかり、それを阻止する義姉。
 母はその場に座り暴れる息子を放心状態で見ていた。
柳十「しね!!しね!!おまえなんか!!!」
五喜「柳十!!やめて!!」
柳十「だいっきらいだ!!!」
 その光景は今まで幸せを感じていた母にとって絶望でしかなかった。
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