30 / 34
第四章
俗 四
しおりを挟む
みなほが歩き巫女の浮草と少しなじんできたと、宮司から工兵衛は聞いた。
「何とか、どこから戻ったかだけでも思い出させるんだ」
「かわいそうだ、とあの女が言う」
「忘れてもどうせ姦《や》られた傷が消えるわけでもなかろう。小さな情をかけて村を危なくさせるわけにはいかん。嫁入り前の娘だって村に何人も居る。その者たちを守るんだ」
どうせ、みなほだ。口には出さないが、工兵衛はそう思っている。
難色をしめした浮草には、国主の子に嫁いだ真由から贈られた美しい絹と、五粒ほどの金を渡す。
懐が温かくなった浮草は、生業を怠けた。身体を売らなくなった。
贄の輿の担い手だった男達は、みなほをあやめた疑いのせいで、今でも村人から冷たい目を向けられる。自然、あぶれた彼らだけでつるむ。
担い手では八助の他にも浮草の客がいる。浮草は名の通り流れ者だ。歩き巫女としてお札を売ったり、まじないをしたりするのが本業である。最も需要があるのが売色だった。
しかしこのところ数日、浮草の客になる男の話が絶えた。
「つまらんな」
「隣の村にでも夜這いに行くか」
「今は忙しいからなぁ」
農閑期には少し遠出をして遊べるが、春先は忙しい。
上岡工兵衛が村長になってからは、多少の戦に出ることもあった。戦は危ないが、村の外の世界を知るのは若い者には良い刺激でもある。だが春先は、どこも戦などしない。戦う兵の大半はそもそも農民だ。
黄昏時、畑からの帰りに誰からともなく村長の屋敷に向かう。作業を終えてすぐに家に帰る者のほうが多いが、担い手に選ばれた男達は別だ。労働の後でも活力がみなぎっている。
目新しいものごとに、彼らは飢えている。外からの物も事も、たいてい最初に村長の屋敷に届く。浮草たち歩き巫女の一行も、村を訪れた当初から村長の屋敷の一角に居る。
男達の記憶では、浮草の他に、もっと若い巫女も居たはずだ。居たり居なかったりだから、誰かは残っている期待があった。
村長の屋敷の外に、みなほの住まいだった場所があった。空隙に小さな祠がぽつんとある。
「……ちっ」
八助は、祠を見るたびに舌打ちをする。他の者もそうだった。
浮草が客を取らずに屋敷で寝ていたり、たまに社へぶらぶらと行くばかりなのを、連れの者達がいぶかしがった。
「あんた、何してんのさ」
「なんかね、どっかで危ない目にあって気が触れちゃった子が見つかって、どこにさらわれてたか言わせろって、ここの人に頼まれてんのよ」
三人ばかりの女達に囲まれて、浮草はぺろりとみなほのことを吐いた。村長や宮司との約束など、浮草にとってさほどの重みはない。いずれすぐに去る土地だ。金をもらって結んだ約束など羽より軽い。
「村の人に言っちゃダメだよ」
一応の念は押す。
「でもさ、この辺でそんな目にあったんだったら、あたし達だって危ないんじゃない?」
「山の上に行って、居なくなったらしいよ」
へえ、と巫女達は嘆声を吐いた。
浮草がそんなことを漏らしてから十日も経たぬうちに、村には噂が広まった。
歩き巫女達の口からのみならず、みなほを見つけた村人からも、話は流れたようだ。どちらも、一応は村長と宮司に口止めされていたが、己個人に切実な危険のない秘密などは保ちにくい。
珍しい物事に飢えた村の人にとっては、不思議な噂は興味深い話である。それにみなほのことはまだ村人の記憶に新しかった。祭礼の後の大豊作もある。
「あれは贄の御前だった」
とみなほを見つけた者は他の村人に語った。御前とは高貴な人の妻を指す言葉でもある。御子ヶ池の神に捧げる贄は、神に嫁ぐ妻として差し出される。それが御子ヶ池を祀る村々の言い伝えだった。それゆえに贄の御前なる呼称が生まれた。
その語りを浮草の仲間の歩き巫女も聞きつけた。
もうすぐ種まきの時期だ。先の豊作を幸いなことと思う村人は、贄の御前つまりみなほに、神への信仰に似た思いを抱いているようだ。
「これってさ、……お札とか作ったら売れるやつだよね?」
「あたしたちが来てからそんな子が現れたのも、何か、あるんじゃないの? そういうことにしようよ」
歩き巫女の一行について歩く護衛の差配に、巫女達から図る。
「困るなあ、勝手なことを言ったら……。ここの村長に怒られるだろう」
「しけたこと言うんじゃないわ。黙ってれば良いのよ。あたしたちが言い出したんじゃない。村の人たちから始まってるんだから」
宮司から浮草にも苦情があった。
「あれほど口止めを……」
「あたしは何も、村の人には、言ってませんよ」
社に村の者が問い合わせてくるのだ。みなほが、贄の御前が、現れたと聞いた、会いたい、どこに居るのか、と。
工兵衛は宮司を呼び出そうと使いを出したが、逆に訪れることになった。人が、鳥居の前にうろうろしているのだ。
「そうだ、この社の池も、みなほ様が、いや贄の御前が、龍彦様のもとに行かれてからできた。これも、神秘である」
池の前で扇動するように語るのは、みなほを見つけた村人とは違う男だった。皆、人知を超えた出来事に夢中だ。
人が居る鳥居の方を避け、社殿の裏を回って工兵衛は宮司のもとに足を運んだ。
「みなほ様、だとよ」
「阿呆臭い。あやつらの中に、去年までどれほどみなほを大事にしてやった者がいるのやら。誰もがみなほを見ては鼻をつまんで避けて居たくせに」
「ならおぬしはいいご利益がありそうだな。住まいも食餌も、全部面倒を見てやった」
「皮肉かよ」
捨て犬に残飯を放るようなやり方であった。だが宮司の言うとおり、孤児になったみなほが生きながらえたのは、工兵衛が食料を与えたおかげではある。
「こうなったら、どうするか」
「今さら隠すのも面倒だ。殺してしまえば良かった」
「酷いことを申す……。もうすぐ真由にも子が生まれるだろう。みなほをあやめては縁起が悪そうだ」
「宮司ともあろう者が、俗な者達の言うことに毒されてどうする。あのみなほが祀るにふさわしい者かどうか、考えるが良い。血塗られた、……否、血に飢えた家の娘だぞ」
祖父は村長だった頃に、妻子を屋敷で殺した。生き残った一人の男子がまた妻子を殺した。その子がみなほだ。
「何故に、一人が残る。あの惨事の場に何故居なかった? 二度あることは三度あると言うだろう。違うか」
「しかし、神に贄として捧げ、確かに豊作をもたらした。みなほは本当に龍彦様と共に過ごしたと申している。もしかしたら、それは誠なのではあるまいか」
「まことであって、たまるか!」
「どうしても賊に掠われたことにしたいらしいが、その根拠はどこだ。むしろ浮き世離れして聞こえるが、みなほが申すことが、本当なのではないかと思えてきた」
「ならばお前は、みなほをどうする」
「皆に拝ませてやろうと思っている」
宮司の言葉を聞いて、工兵衛はがくりと首を垂れた。己の足下に向けて大きく息を吐き、愚かしい、と呟く。
「担い手の馬鹿どもが、御前なんぞと奉られるみなほを見てどう思うか。……わしはもう知らんぞ」
「村の皆が仰ぐようになっているのだ。おかしな真似はするまい」
「もう知らん」
工兵衛は再び言い捨てて、社を去った。
「何とか、どこから戻ったかだけでも思い出させるんだ」
「かわいそうだ、とあの女が言う」
「忘れてもどうせ姦《や》られた傷が消えるわけでもなかろう。小さな情をかけて村を危なくさせるわけにはいかん。嫁入り前の娘だって村に何人も居る。その者たちを守るんだ」
どうせ、みなほだ。口には出さないが、工兵衛はそう思っている。
難色をしめした浮草には、国主の子に嫁いだ真由から贈られた美しい絹と、五粒ほどの金を渡す。
懐が温かくなった浮草は、生業を怠けた。身体を売らなくなった。
贄の輿の担い手だった男達は、みなほをあやめた疑いのせいで、今でも村人から冷たい目を向けられる。自然、あぶれた彼らだけでつるむ。
担い手では八助の他にも浮草の客がいる。浮草は名の通り流れ者だ。歩き巫女としてお札を売ったり、まじないをしたりするのが本業である。最も需要があるのが売色だった。
しかしこのところ数日、浮草の客になる男の話が絶えた。
「つまらんな」
「隣の村にでも夜這いに行くか」
「今は忙しいからなぁ」
農閑期には少し遠出をして遊べるが、春先は忙しい。
上岡工兵衛が村長になってからは、多少の戦に出ることもあった。戦は危ないが、村の外の世界を知るのは若い者には良い刺激でもある。だが春先は、どこも戦などしない。戦う兵の大半はそもそも農民だ。
黄昏時、畑からの帰りに誰からともなく村長の屋敷に向かう。作業を終えてすぐに家に帰る者のほうが多いが、担い手に選ばれた男達は別だ。労働の後でも活力がみなぎっている。
目新しいものごとに、彼らは飢えている。外からの物も事も、たいてい最初に村長の屋敷に届く。浮草たち歩き巫女の一行も、村を訪れた当初から村長の屋敷の一角に居る。
男達の記憶では、浮草の他に、もっと若い巫女も居たはずだ。居たり居なかったりだから、誰かは残っている期待があった。
村長の屋敷の外に、みなほの住まいだった場所があった。空隙に小さな祠がぽつんとある。
「……ちっ」
八助は、祠を見るたびに舌打ちをする。他の者もそうだった。
浮草が客を取らずに屋敷で寝ていたり、たまに社へぶらぶらと行くばかりなのを、連れの者達がいぶかしがった。
「あんた、何してんのさ」
「なんかね、どっかで危ない目にあって気が触れちゃった子が見つかって、どこにさらわれてたか言わせろって、ここの人に頼まれてんのよ」
三人ばかりの女達に囲まれて、浮草はぺろりとみなほのことを吐いた。村長や宮司との約束など、浮草にとってさほどの重みはない。いずれすぐに去る土地だ。金をもらって結んだ約束など羽より軽い。
「村の人に言っちゃダメだよ」
一応の念は押す。
「でもさ、この辺でそんな目にあったんだったら、あたし達だって危ないんじゃない?」
「山の上に行って、居なくなったらしいよ」
へえ、と巫女達は嘆声を吐いた。
浮草がそんなことを漏らしてから十日も経たぬうちに、村には噂が広まった。
歩き巫女達の口からのみならず、みなほを見つけた村人からも、話は流れたようだ。どちらも、一応は村長と宮司に口止めされていたが、己個人に切実な危険のない秘密などは保ちにくい。
珍しい物事に飢えた村の人にとっては、不思議な噂は興味深い話である。それにみなほのことはまだ村人の記憶に新しかった。祭礼の後の大豊作もある。
「あれは贄の御前だった」
とみなほを見つけた者は他の村人に語った。御前とは高貴な人の妻を指す言葉でもある。御子ヶ池の神に捧げる贄は、神に嫁ぐ妻として差し出される。それが御子ヶ池を祀る村々の言い伝えだった。それゆえに贄の御前なる呼称が生まれた。
その語りを浮草の仲間の歩き巫女も聞きつけた。
もうすぐ種まきの時期だ。先の豊作を幸いなことと思う村人は、贄の御前つまりみなほに、神への信仰に似た思いを抱いているようだ。
「これってさ、……お札とか作ったら売れるやつだよね?」
「あたしたちが来てからそんな子が現れたのも、何か、あるんじゃないの? そういうことにしようよ」
歩き巫女の一行について歩く護衛の差配に、巫女達から図る。
「困るなあ、勝手なことを言ったら……。ここの村長に怒られるだろう」
「しけたこと言うんじゃないわ。黙ってれば良いのよ。あたしたちが言い出したんじゃない。村の人たちから始まってるんだから」
宮司から浮草にも苦情があった。
「あれほど口止めを……」
「あたしは何も、村の人には、言ってませんよ」
社に村の者が問い合わせてくるのだ。みなほが、贄の御前が、現れたと聞いた、会いたい、どこに居るのか、と。
工兵衛は宮司を呼び出そうと使いを出したが、逆に訪れることになった。人が、鳥居の前にうろうろしているのだ。
「そうだ、この社の池も、みなほ様が、いや贄の御前が、龍彦様のもとに行かれてからできた。これも、神秘である」
池の前で扇動するように語るのは、みなほを見つけた村人とは違う男だった。皆、人知を超えた出来事に夢中だ。
人が居る鳥居の方を避け、社殿の裏を回って工兵衛は宮司のもとに足を運んだ。
「みなほ様、だとよ」
「阿呆臭い。あやつらの中に、去年までどれほどみなほを大事にしてやった者がいるのやら。誰もがみなほを見ては鼻をつまんで避けて居たくせに」
「ならおぬしはいいご利益がありそうだな。住まいも食餌も、全部面倒を見てやった」
「皮肉かよ」
捨て犬に残飯を放るようなやり方であった。だが宮司の言うとおり、孤児になったみなほが生きながらえたのは、工兵衛が食料を与えたおかげではある。
「こうなったら、どうするか」
「今さら隠すのも面倒だ。殺してしまえば良かった」
「酷いことを申す……。もうすぐ真由にも子が生まれるだろう。みなほをあやめては縁起が悪そうだ」
「宮司ともあろう者が、俗な者達の言うことに毒されてどうする。あのみなほが祀るにふさわしい者かどうか、考えるが良い。血塗られた、……否、血に飢えた家の娘だぞ」
祖父は村長だった頃に、妻子を屋敷で殺した。生き残った一人の男子がまた妻子を殺した。その子がみなほだ。
「何故に、一人が残る。あの惨事の場に何故居なかった? 二度あることは三度あると言うだろう。違うか」
「しかし、神に贄として捧げ、確かに豊作をもたらした。みなほは本当に龍彦様と共に過ごしたと申している。もしかしたら、それは誠なのではあるまいか」
「まことであって、たまるか!」
「どうしても賊に掠われたことにしたいらしいが、その根拠はどこだ。むしろ浮き世離れして聞こえるが、みなほが申すことが、本当なのではないかと思えてきた」
「ならばお前は、みなほをどうする」
「皆に拝ませてやろうと思っている」
宮司の言葉を聞いて、工兵衛はがくりと首を垂れた。己の足下に向けて大きく息を吐き、愚かしい、と呟く。
「担い手の馬鹿どもが、御前なんぞと奉られるみなほを見てどう思うか。……わしはもう知らんぞ」
「村の皆が仰ぐようになっているのだ。おかしな真似はするまい」
「もう知らん」
工兵衛は再び言い捨てて、社を去った。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる