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第14話
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「あ・・・あの・・ルシアさん」
「はい」
ドキドキが止まらない。
アリス様がプロポーズなんてこと言うから変に意識しちゃう。
これで違っていたら・・・どうしよう・・・でも・・・ニール様も緊張したご様子・・・さっきから、私の名前しか言われていない。
もっとも私も「はい」としか返事してないけど、だって緊張しちゃうんだもの・・・・・・
もし結婚してくれと言われたら、私はなんて答えるのだろう? もちろんニール様のことは好きだし、両親も認めてくれている。断る理由がない。
だけど・・・どう言葉にしていいか分からない・・・好きなのに、愛しているのに・・・・それもすべてニール様の言葉しだいだってことも分かっている。
でも・・・これがすべて私の勘違いだったら? そもそもプロポーズじゃないかも知れない。ニール様はわたしのこと・・・どう思っているの?
私はニール様のことが、好き。大好きなの。
ニール様のことを思うと、胸がドキドキするの。今も鼓動が凄いことになっている。
「ルシアさん・・・」
「はい」
幾度となく繰り返されるやり取り・・・彼も、私も顔が赤い。
ここは私からフォローを入れるべきよね? ニール様も恥ずかしがって言葉が詰まっている。こんなチャンス逃してなるものですか!
「ニール様、お怪我はもうよろしいのでしょうか?」
「えっ? あ、はい。ルシア様の癒しの魔法で傷跡も残らないほど回復しました。ただ少し血を流し過ぎたみたいで、貧血で寝込んでしまいましたが、もう大丈夫です」
「そう。安心しましたわ」
「その件について、ルシア様に大事なお話がございます」
「はいっ」
きた。ついにきたわよ!
「腹部に矢を受けた私を助けていただきありがとうございます。誰が何と言おうと、ルシア様に助けていただいたことに変わりはありません。あなたは私の命の恩人であり、殿下の恩人でもあります」
「はい・・・」
「今までの私は、殿下をお守りすること、殿下を支えて行くことだと思っていました。それが最優先だと、騎士として国に仕え、殿下にお仕えする・・・・ただそれだけだと思っていました」
騎士として、将来的に近衛騎士として、殿下に仕えることが約束されていたニール様。でもニール様は思っていましたと、過去形でおっしゃった。今は心境に変化があるということなる。
「でも・・・あなたと過ごす学園生活。他の令嬢と違う雰囲気で皆を楽しませるあなた。殿下に取り入ろうとするご令嬢のいる中、あなたはアリス様を立てるように行動してましたよね。幼少期からの知り合いだったとはいえ、殿下と私、アリス様とあなた。よく一緒に行動しました。そしていつしか私はあなたに引かれてしまいました」
「ニール様・・・・」
彼の言葉を聞きながら、私の胸はドキドキと高鳴りしっぱなしだった。
「私は貴族の嫡男ではない。あなたも長女はない。いくらあなたのことを愛していても、あなたを幸せにできる自信が持てなかった。でも・・・私は、あなたに命を救われた。救われてしまったのだ」
ニール様が突如、私の手を握ってきた。
「何者かの陰謀によって引き起こされた今回の事件。犠牲者も大勢出た。民衆も不安がるだろう。だがあなたは奇跡を起こした。この辺り一面の光景。誰が見ても奇跡としか言いようがない。あなたにとっては不本意かもしれないが、民衆は希望を求めている。あなたが聖女かどうか私には分からない」
私は彼の言葉を、静かに聞いていた。
同じようなことを皆にも聞いた。
私は彼の手を握ったまま、彼の話を微笑んで聞いていた。
そして彼が、私の手を握ったまま眼前で片膝をついた。
突然の行動に、私は声を上げそうになったが、彼の強い眼差しに、その瞳に、私の意識は引き寄せられていた。
「私は生涯をかけてルシアさん、あなたを守る騎士となろう。 ・・・・・ルシアさん、あなたが好きだ。ルシア、あなたを愛している」
待ち望んだニール様の声、愛している。嬉しいはずのその言葉、なのにその言葉に込められた思いに、私の瞳はなぜかウルウルと涙がにじんでしまう。
「どうか、私と結婚して欲しい」
嬉しい。嬉しすぎて涙が溢れて止まらない。
「わ・・・私には・・・勿体ないお言葉・・・ありがとうございます。 私も・・・ニール様が好き・・です。ニール様をお慕いしております」
私の手を取り、跪くニール様の眼差しに喜びの光が灯る。
感極まって泣き出した私をニール様が抱きしめてくれた。
愛しの男性に抱きしめられた。
嫌なはずがない。
むしろ嬉しい。
私の目に溜まった涙をそっと指で拭いながら、私を抱きしめてくれる。
「ふうぅぅ・・・ニールさまぁぁ・・・」
自然と目を閉じる私の顎に、ニール様の手が添えられた。
そして私の唇に、柔らかくて温かい何かが触れた。
「はい」
ドキドキが止まらない。
アリス様がプロポーズなんてこと言うから変に意識しちゃう。
これで違っていたら・・・どうしよう・・・でも・・・ニール様も緊張したご様子・・・さっきから、私の名前しか言われていない。
もっとも私も「はい」としか返事してないけど、だって緊張しちゃうんだもの・・・・・・
もし結婚してくれと言われたら、私はなんて答えるのだろう? もちろんニール様のことは好きだし、両親も認めてくれている。断る理由がない。
だけど・・・どう言葉にしていいか分からない・・・好きなのに、愛しているのに・・・・それもすべてニール様の言葉しだいだってことも分かっている。
でも・・・これがすべて私の勘違いだったら? そもそもプロポーズじゃないかも知れない。ニール様はわたしのこと・・・どう思っているの?
私はニール様のことが、好き。大好きなの。
ニール様のことを思うと、胸がドキドキするの。今も鼓動が凄いことになっている。
「ルシアさん・・・」
「はい」
幾度となく繰り返されるやり取り・・・彼も、私も顔が赤い。
ここは私からフォローを入れるべきよね? ニール様も恥ずかしがって言葉が詰まっている。こんなチャンス逃してなるものですか!
「ニール様、お怪我はもうよろしいのでしょうか?」
「えっ? あ、はい。ルシア様の癒しの魔法で傷跡も残らないほど回復しました。ただ少し血を流し過ぎたみたいで、貧血で寝込んでしまいましたが、もう大丈夫です」
「そう。安心しましたわ」
「その件について、ルシア様に大事なお話がございます」
「はいっ」
きた。ついにきたわよ!
「腹部に矢を受けた私を助けていただきありがとうございます。誰が何と言おうと、ルシア様に助けていただいたことに変わりはありません。あなたは私の命の恩人であり、殿下の恩人でもあります」
「はい・・・」
「今までの私は、殿下をお守りすること、殿下を支えて行くことだと思っていました。それが最優先だと、騎士として国に仕え、殿下にお仕えする・・・・ただそれだけだと思っていました」
騎士として、将来的に近衛騎士として、殿下に仕えることが約束されていたニール様。でもニール様は思っていましたと、過去形でおっしゃった。今は心境に変化があるということなる。
「でも・・・あなたと過ごす学園生活。他の令嬢と違う雰囲気で皆を楽しませるあなた。殿下に取り入ろうとするご令嬢のいる中、あなたはアリス様を立てるように行動してましたよね。幼少期からの知り合いだったとはいえ、殿下と私、アリス様とあなた。よく一緒に行動しました。そしていつしか私はあなたに引かれてしまいました」
「ニール様・・・・」
彼の言葉を聞きながら、私の胸はドキドキと高鳴りしっぱなしだった。
「私は貴族の嫡男ではない。あなたも長女はない。いくらあなたのことを愛していても、あなたを幸せにできる自信が持てなかった。でも・・・私は、あなたに命を救われた。救われてしまったのだ」
ニール様が突如、私の手を握ってきた。
「何者かの陰謀によって引き起こされた今回の事件。犠牲者も大勢出た。民衆も不安がるだろう。だがあなたは奇跡を起こした。この辺り一面の光景。誰が見ても奇跡としか言いようがない。あなたにとっては不本意かもしれないが、民衆は希望を求めている。あなたが聖女かどうか私には分からない」
私は彼の言葉を、静かに聞いていた。
同じようなことを皆にも聞いた。
私は彼の手を握ったまま、彼の話を微笑んで聞いていた。
そして彼が、私の手を握ったまま眼前で片膝をついた。
突然の行動に、私は声を上げそうになったが、彼の強い眼差しに、その瞳に、私の意識は引き寄せられていた。
「私は生涯をかけてルシアさん、あなたを守る騎士となろう。 ・・・・・ルシアさん、あなたが好きだ。ルシア、あなたを愛している」
待ち望んだニール様の声、愛している。嬉しいはずのその言葉、なのにその言葉に込められた思いに、私の瞳はなぜかウルウルと涙がにじんでしまう。
「どうか、私と結婚して欲しい」
嬉しい。嬉しすぎて涙が溢れて止まらない。
「わ・・・私には・・・勿体ないお言葉・・・ありがとうございます。 私も・・・ニール様が好き・・です。ニール様をお慕いしております」
私の手を取り、跪くニール様の眼差しに喜びの光が灯る。
感極まって泣き出した私をニール様が抱きしめてくれた。
愛しの男性に抱きしめられた。
嫌なはずがない。
むしろ嬉しい。
私の目に溜まった涙をそっと指で拭いながら、私を抱きしめてくれる。
「ふうぅぅ・・・ニールさまぁぁ・・・」
自然と目を閉じる私の顎に、ニール様の手が添えられた。
そして私の唇に、柔らかくて温かい何かが触れた。
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