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第22話
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3曲目が始まり、周囲も各自パートナーと踊り始めた。
私のお相手は、ミューラー第一皇子。
ブロンドの髪色と整った顔立ち。貴族子女の憧れのイケメン皇子様。
普通ならこの方とワルツを踊れるなんて光栄だと思われるのだけど、私の場合はちょっと事情が異なってしまう。
公式の婚約者は、ミューラー第一皇子と公爵令嬢であるアリス様。
でもミューラー殿下の想い人はアリス様では無く、伯爵令嬢であるこの私。
その私の婚約者は、伯爵家のニール様。そのニール様は将来、殿下の近衛騎士になられるであろう人物。
私たちの場合は相思相愛なのよ。うふふ。
そして私たちの隣では、アリス様と第二皇子であるジュリアン様が踊っている。
ジュリアン様はアリス様が好きなようだけれど、肝心のアリス様には相手にされていない感じね。
そのアリス様は恋愛には冷めたご様子。幼い頃より結婚相手が親によって決められて育てられたのだから、仕方がないのかもしれないけれどちょっと達観し過ぎじゃないかしら。
アリス様は宰相である公爵家のご令嬢。私はそのアリス様と同じ歳の娘として良く遊び、ともに学んできたわ。
そしてアリス様が殿下と婚約してからは、私ともども王宮に出入りするようになり殿下とニール様と出会ったの。
私はアリス様のおまけ、取り巻きに過ぎない。
お勉強会や宮廷マナー教育の一環としてのお茶会、ダンスもよくともに練習したわ。それでもその関係は主従の関係だと私は思っていた・・・まさか・・・殿下が私に気があるとは思いもよらなかったわ。
いったい、いつから? 少なくとも数年前までは、そんなそぶりは無かったはずよね?
お互いが異性を気に知るようなり、私はニール様に引かれていき、お付き合いするようになったのは二年前。
その頃は殿下もアリス様のことを気にかけていたはず・・・だと思うけれど、そう思っていたのは私の気のせい?
それはともかく、今は殿下とのダンスに集中しなくちゃ。
つまずいてこけたりしたら大事だわ。
あっ、私の背に添えられたミューラー殿下の手。近い距離感。どうしても意識しちゃうわ。
この状況で意識するなという方が無理があるよね。
ファーストダンスを踊っていた時より、明らかに嬉しそうに微笑む殿下のお顔。
キラキラ感が半端ないんですけど、お相手間違えてますよ。
その笑顔を向けるのは私じゃなくて、本来はアリス様に向けられるものですよ。
私にそんな表情を向けても困りますぅ。
でもちょっと、ときめいてしまったのは内緒です。
私だって年頃の乙女、かっこいい皇子様に言い寄られワルツを踊れば悪い気はしませんよね。
ニール様ごめんなさい。でもこれは浮気じゃないので許してくれますよね。
テンポの良い淡々とした曲も終盤に差しかかり、殿下との踊りもフィニッシュを迎える。
ふう。なんとか最後まで踊りきったわ。
「ミューラー殿下。素晴らしいリードありがとうございました」
「ルシア嬢。私こそ踊っていただきありがとうございました。お陰で楽しいひと時を過ごすことができました。また機会がありましたら、ぜひまた私と踊ってくれませんか?」
「ええ、機会があれば喜んでお受けいたしますわ」
常套句ともいえる言葉だけれど、殿下はとても嬉しそうだわ。
まあ、ファーストダンスでなければ、殿下と踊ることを断る理由は見当たらないのは事実よね。
2曲続けて踊るのは疲れたわ。ちょっと休憩しましょう。
「ルシア嬢お疲れ様。お疲れでしょうから、お飲み物を用意しておきましたよ」
「わあ、ニール様ありがとうございます」
さすがはニール様ね。私のことを良く理解して行動してくれる。お酒を飲めない私のためにジュースまで用意してくれて、この優しさが嬉しいわ。
「まあなんて美味しいリンゴジュース。程よい酸味が美味しいわ」
それを見たミューラー殿下がニール様に対する対抗意識か、私にクッキーを進めてくる。
もちろん頂きますけどね。
だって運動したらお腹が空いて来たのだから仕方がない。
それに王宮で出される焼き菓子は、当たり前だけど美味しいの。食べないともったいない。
「あらあらルシアはやっぱりお子ちゃまね」
お菓子とジュースを口にする私を見てアリス様が笑い、同意するように周囲も笑い合う。
「ふん、ただの意地汚い小娘じゃないか」
ただひとり否定するのはジュリアン様だった。
やっぱり私はこの方が苦手だわ。まあこの場でお菓子を頬張る貴族子女は私ぐらいで、意地汚く見えるのは事実でしょうけど、小娘って・・・背は低くても私はジュリアン様より年上よ。
人を見下すような態度は相変わらずのようね。
「おい、ジュリアン。そんな言い方はないだろ! ルシア嬢に謝れ!」
「ああんっ! なんだ兄上。 意地汚い小娘になんで俺がいちいち謝らなきゃいけないんだよ」
「なんだと!」
私のせいでミューラー殿下とジュリアン様が、険悪な雰囲気になってしまったわ。このままでは喧嘩になってしまう。どうにかしないと。
私のお相手は、ミューラー第一皇子。
ブロンドの髪色と整った顔立ち。貴族子女の憧れのイケメン皇子様。
普通ならこの方とワルツを踊れるなんて光栄だと思われるのだけど、私の場合はちょっと事情が異なってしまう。
公式の婚約者は、ミューラー第一皇子と公爵令嬢であるアリス様。
でもミューラー殿下の想い人はアリス様では無く、伯爵令嬢であるこの私。
その私の婚約者は、伯爵家のニール様。そのニール様は将来、殿下の近衛騎士になられるであろう人物。
私たちの場合は相思相愛なのよ。うふふ。
そして私たちの隣では、アリス様と第二皇子であるジュリアン様が踊っている。
ジュリアン様はアリス様が好きなようだけれど、肝心のアリス様には相手にされていない感じね。
そのアリス様は恋愛には冷めたご様子。幼い頃より結婚相手が親によって決められて育てられたのだから、仕方がないのかもしれないけれどちょっと達観し過ぎじゃないかしら。
アリス様は宰相である公爵家のご令嬢。私はそのアリス様と同じ歳の娘として良く遊び、ともに学んできたわ。
そしてアリス様が殿下と婚約してからは、私ともども王宮に出入りするようになり殿下とニール様と出会ったの。
私はアリス様のおまけ、取り巻きに過ぎない。
お勉強会や宮廷マナー教育の一環としてのお茶会、ダンスもよくともに練習したわ。それでもその関係は主従の関係だと私は思っていた・・・まさか・・・殿下が私に気があるとは思いもよらなかったわ。
いったい、いつから? 少なくとも数年前までは、そんなそぶりは無かったはずよね?
お互いが異性を気に知るようなり、私はニール様に引かれていき、お付き合いするようになったのは二年前。
その頃は殿下もアリス様のことを気にかけていたはず・・・だと思うけれど、そう思っていたのは私の気のせい?
それはともかく、今は殿下とのダンスに集中しなくちゃ。
つまずいてこけたりしたら大事だわ。
あっ、私の背に添えられたミューラー殿下の手。近い距離感。どうしても意識しちゃうわ。
この状況で意識するなという方が無理があるよね。
ファーストダンスを踊っていた時より、明らかに嬉しそうに微笑む殿下のお顔。
キラキラ感が半端ないんですけど、お相手間違えてますよ。
その笑顔を向けるのは私じゃなくて、本来はアリス様に向けられるものですよ。
私にそんな表情を向けても困りますぅ。
でもちょっと、ときめいてしまったのは内緒です。
私だって年頃の乙女、かっこいい皇子様に言い寄られワルツを踊れば悪い気はしませんよね。
ニール様ごめんなさい。でもこれは浮気じゃないので許してくれますよね。
テンポの良い淡々とした曲も終盤に差しかかり、殿下との踊りもフィニッシュを迎える。
ふう。なんとか最後まで踊りきったわ。
「ミューラー殿下。素晴らしいリードありがとうございました」
「ルシア嬢。私こそ踊っていただきありがとうございました。お陰で楽しいひと時を過ごすことができました。また機会がありましたら、ぜひまた私と踊ってくれませんか?」
「ええ、機会があれば喜んでお受けいたしますわ」
常套句ともいえる言葉だけれど、殿下はとても嬉しそうだわ。
まあ、ファーストダンスでなければ、殿下と踊ることを断る理由は見当たらないのは事実よね。
2曲続けて踊るのは疲れたわ。ちょっと休憩しましょう。
「ルシア嬢お疲れ様。お疲れでしょうから、お飲み物を用意しておきましたよ」
「わあ、ニール様ありがとうございます」
さすがはニール様ね。私のことを良く理解して行動してくれる。お酒を飲めない私のためにジュースまで用意してくれて、この優しさが嬉しいわ。
「まあなんて美味しいリンゴジュース。程よい酸味が美味しいわ」
それを見たミューラー殿下がニール様に対する対抗意識か、私にクッキーを進めてくる。
もちろん頂きますけどね。
だって運動したらお腹が空いて来たのだから仕方がない。
それに王宮で出される焼き菓子は、当たり前だけど美味しいの。食べないともったいない。
「あらあらルシアはやっぱりお子ちゃまね」
お菓子とジュースを口にする私を見てアリス様が笑い、同意するように周囲も笑い合う。
「ふん、ただの意地汚い小娘じゃないか」
ただひとり否定するのはジュリアン様だった。
やっぱり私はこの方が苦手だわ。まあこの場でお菓子を頬張る貴族子女は私ぐらいで、意地汚く見えるのは事実でしょうけど、小娘って・・・背は低くても私はジュリアン様より年上よ。
人を見下すような態度は相変わらずのようね。
「おい、ジュリアン。そんな言い方はないだろ! ルシア嬢に謝れ!」
「ああんっ! なんだ兄上。 意地汚い小娘になんで俺がいちいち謝らなきゃいけないんだよ」
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