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第1章 迷宮創生編

第12話 女冒険者と技術職人

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 商人の馬車と、その護衛らしき武装した男たちのキャラバン隊がやって来た。

「こんにちは」
「やあ、こんにちは、可愛いお嬢さん」

 シルエラと商人の代表らしき男性が挨拶をしている。
 珍しい土木作業車が気になって立ち寄ってくれたらしい。

 魔動機ゴーレムと街作りの話をして、自己紹介をしていると。
「シルエラ? もしかして、リンド爺さんとこのシルエラ嬢ちゃんかい?」
「リンドは私の祖父ですけど、お知り合いの方ですか?」
「ああ、昔にリンドさんには世話になった。嬢ちゃんは子供の頃だったから覚えていなくても無理もないよ。リンドさんは元気かい?」
「そうなんですね。覚えていなくてごめんなさい。祖父は元気ですよ」

「しかし、あの小さかった嬢ちゃんがな~、ほんと大きくなったな~」
「もう!どこを見て言ってるんですか!?」
 商人の目線に気づいたシルエラは、胸を手で隠し俺の後ろに隠れて顔を赤くしている。
 おい、おっさん! シルエラのおっぱいは、俺のものだ! いやらしい目で見るんじゃない!
 さっきまでリュネールさんたちをやらしい目で見ていたことは、棚に上げとこう。

 護衛をしていた冒険者たちは、リュネールさんたちの食べている物に興味があるようだったので、勧めて食事をしてもらうことになった。

「美味いなコレ!」
「やべえ! この細いフライドポテトって芋なのか? ハマりそう・・・てかハマった!」
「猪肉ってこんなに美味かったのか?」
 思い思いの感想で、褒めてくれるキャラバン隊の方々。

 嬉しいことだが、俺には料理の感想や金銭よりも、DP収入の有るこの地にいてくれることの方が嬉しい。
 リュネールさんたち3人、キャラバン隊10人の団体様、シルエラ含めて14名の収入になる。

 商人の代表ルーカスさんが料理を気に入り、商談を持ち掛けてくれた。
 よし計画通りである!
 商談の前に、リュネールさんたちが出立するとのことなので、別れの挨拶をしよう。
「随分長居したからそろそろ出立するよ。ダンジョン内で一泊する予定だから、帰りにでもまた立ち寄らしてもらうよ」
「ありがとうございます。またお越しくださいませ」
「ああ、じゃあまたな」
 深々と挨拶をして、リュネールさんたちを送り出す。
 後ろ姿(お尻)も素晴らしい人たちだった。



 街道を歩きながら、先ほど立ち寄った所の話で盛り上がる女性3人組。
ロザリー 「カツサンド美味しかったね~また帰りによろうね」
リュネール「ああ、また帰りにな。しかしあの男、ヤマトって言ったか只者じゃないな!」
ロザリー 「そうなの?」
リュネール「隙だらけの癖に、やたらとパワーを感じるぞ!」
ステラ  「うん、アレは強い雄の臭い♡」
リュネール「ステラが言うなら間違いないな、スケベそうな目でアタイたち見てたし、誘惑してみっか」
ロザリー 「もう、二人ともほどほどにしといてよ~。トラブルはごめんだからね」

 獲物を見つけた話をする二人と、興味はあるがまだ経験のない一人は、エッチな会話をしながら街道を進んで行く。



 その一方で、俺は商人の代表ルーカスさんと商談を開始する。
 街の構想を話し、場所や建物、料理のアイデアなどは提供できるが、販売するスタッフが現状、俺とシルエラの二人しかいないのだ。
 ルーカスさんは見たこともない魔動機と斬新な料理に感動を覚え、投資と事業拡大目的で、俺に資金援助とスタッフの手配をしてくれる代わりに、俺が料理のレシピと店舗・土地などを提供する約束をした。
 俺が考案した料理でもないし、現代日本では一般的な料理のレシピなど公開しても問題なし。
 魔動機を販売してくれと頼まれたが、アレは基本的にゴーレムなので売ることはできない。

 ルーカスさんのキャラバン隊以外にも、複数のキャラバン隊や行商人、冒険者パーティーが建設予定地に立ち寄ってくれて、話や商談を進めていく。
 残念ながら良い人たちばかりではなく、欲に塗れて俺を騙そうとしたり、中には脅してくる者もいた。しかし、人間って判っていたけど醜い生き物だね。

 愚かな者たちには武力行使で立ち去って貰ったが、あの手の連中がそう簡単に諦めるとは思えない。
 なので土木車両にスキル「ゴーレムビルド」を使い、防衛用の武装を施していく。
 機銃の付いたトラクターや、砲塔のあるブルドーザーはもう戦車である。
 銃火器は内蔵してある魔力を使い、魔力弾や実弾、殺傷力のないペイント弾、麻痺弾などを撃てるようにしてみた。

 車両以外にも警備や防衛力として、鋼鉄を素材としたアイアンゴーレムを3体作成した。
 1体目のゴーレムは、ずんぐりとした体で両肩に砲身を付けた長距離砲撃タイプのゴーレムキャノン。
 2体目はゴーレムキャノンを少しスリムにして、機動性をもたせた中距離支援タイプゴーレム。
 3体目は盾と剣を持たせて、機動性を特に重視した白兵戦タイプのゴーレム。
 イメージのモデルは、某アニメのロボットRXシリーズである。並みの冒険者よりも強いので防衛戦力としては十分だろう。

 土木重機車両と防衛ゴーレムは、核となる魔石の内蔵魔力をバッテリーとして、休みなく働き続ける事ができるので夜の間も作業をしてもらう。深夜に魔動機を狙う不届き者対策もバッチリだ。
 基本的に日没すると、キャラバン隊は安全のために動くことをしないので、来客ももうないだろうから俺たちも帰宅しよう。

「シルエラお疲れ様。そろそろ帰ろうか」
「はい。慣れないことで疲れましたけど楽しかったです。料理も大好評でしたし、さすがヤマト様です」
「帰ったらご褒美下さいね♡」
「ああ、たっぷりと可愛がってあげるよ」


 帰宅したところで、ニクキュウより濃姫様から連絡が入ったことを知らされた俺は司令部コアルームに向かう。
 モニターに映し出された濃姫様の姿は、やはりエロく美しい。
 綺麗な着物を着崩し、花魁のように肩を出して胸の谷間を強調した妖艶な姿は超セクシーだ♡

「濃姫様、お待たせしました。何か御用でしょうか?」
「ふふ、宮代様も無事に迷宮作りに入られたようだけれど、街を作ろうと思うと大変でしょう? 応援の手配をしときましたの、明日にはそちらに応援部隊が到着予定ですわ」
「応援部隊ですか? ありがとうございます。 正直言って、困っていたので助かります」
「資料を送りますので詳細はそちらをご覧くださいな。後、何か必要なものがありましたらご連絡下さいな」
「でしたら食料としてのお米と、稲作用の種籾を頂けませんか?」
「種籾ですか? 分かりましたわ。その他の食材と一緒に後日お送りしますわ」
「ありがとうございます」
「では宮代様、お元気で」

 濃姫様に挨拶をして通信を終わらせた後に、応援部隊の詳細を確認して見た。
 安土城下にある技術学校の講師と生徒3人が、実技指導も兼ねて応援に来てくれるらしい。
 これで街作りも加速するだろう。

 晩御飯を食べた後で、応援部隊用の宿舎として部屋を作成しよう。
 地上部と違い迷宮内であれば、部屋もイメージと魔力さえあれば、すぐに作成できる。
 DPを使いフロアを拡張して、マンションの玄関前の通路の対面側に、講師の少し大きめの部屋と、生徒用の小部屋を3部屋、共用のトイレと風呂場を作成する。
 簡易部屋なので、そんなに魔力を消費することなく作成できた。

 後はシルエラのご褒美タイムだ♡
「あん♡ そこ・・・感じちゃう♡・・・あっ♡ あっ♡ あっ♡ ああん♡」
「はぁはぁ・・ねぇヤマトさま・・・・あの・・冒険者さ・・んの胸・・ずっと見てましたよね・・・あっ♡」

 ギクッ!
「男性の方が女性の胸を見るのは、仕方がないことだとは思いますが、私のことも忘れないで下さいね♡」
「ああ、もちろんだとも」

 シルエラはやきもちは焼くが、別に怒っている訳ではないようだ。濃厚なキスをしてシルエラおっぱいを堪能する。もみもみ。



 次の日の朝、朝食を食べて野菜の収穫をして、販売用食材の準備をする。
 シルエラのスキル「大地の祝福」の恩恵を受けた畑で育った野菜は、成長が早くて美味い!
 畑の周りには夜に畑を荒らしに来て、スタン効果のある網に触れ伸びた状態でゴーレムに捕獲された猪や鹿がいた。
 よし! お肉もGETだぜ!!

 建設予定地に到着して、土木作業車の無事と作業の進展具合を確認する。
 造成地はかなりの範囲が終わっており、上下水道の設置工事に入っている。それが終われば道路の舗装工事に取り掛かろう。

 メイン道路となる街道の拡張、舗装工事を行う。今後の事を考えて、道幅はかなり広めに作ってある。
 区画整理した一画に、建物の基礎となる土台を作っていく。

 まずは宿泊施設としてホテルの建設を進めていく。
 大型のクレイゴーレムを使い、鋼材を使用した鉄骨を梁や柱などの骨組みとして組み上げ、魔法を使った鉄筋コンクリートで壁面を建築していく。
 土魔法のお蔭で強度と耐震性もバッチリだ!


 そんな折、行商人に交じり濃姫様から派遣された応援部隊が到着したとの連絡があった。

「やあ、初めまして! 君が宮代大和君かい? 私はラッセリア、安土で技術学校の講師を勤めている者だ。今回は帰蝶様より、依頼を受けてこの地に参った次第だ。生徒共々よろしく頼む」
「宮代大和です。よろしく頼みます」

 鑑定も使いまくっていたら、LVが上がって少し詳細が見れるようになってきた。

 名前:ラッセリア
 性別:♀
 種族:ドワーフ族
 年齢:25歳
 クラス:錬金術師/技術学校錬金科講師
  LV :18

 挨拶をしてきた女性は、応援部隊の技術学校の講師で、眼鏡と白衣を着た先生だ。
 ドワーフと言うと樽のイメージがあるが、身長は160cmくらいで別に太い感じはしないが胸は大きそうだ。白衣の隙間から見えるストッキングが悩ましい大人な女性だ。

「技術学校2年のレアイナです」
「同じく技術学校2年のミレイナです」
「「よろしくお願いします」」

 名前:レアイナ   /ミレイナ
 性別:♀      /♀
 種族:ドワーフ族  /ドワーフ族
 年齢:14歳     /14歳
 クラス:鍛冶職人  /裁縫職人
  LV :10       /10

 こちらは、技術学校の生徒さんで双子かな?
 薄い茶色のショートヘアの活発な子がレアイナちゃん。
 青紫のミドルヘアの子がミレイナちゃん。
 どちらも小柄な女の子で胸も小ぶりだね。


「技術学校2年のアルデリアですぅ」

 名前:アルデリア
 性別:♀
 種族:栗鼠族
 年齢:15歳
 クラス:調理師
  LV :11

 最後は太い尻尾が特徴のリスの亜人ちゃん。
 眠そう顔をして欠伸している。モフモフしたい可愛い女の子だ。

「技術学校でも優秀な生徒を連れてきた。実技訓練も兼ねているので、色々経験を積ませてあげて欲しい。ここなら良い勉強になるはずだ!」
「それはそうとこれは、砦でも作っているのかい? 見たこともない鉄の柱の構造物や、土木作業をしている箱はなんだい?」
「あれは魔動機と言って、魔法で動く作業ゴーレムだよ。効率を考えたらこんな形になったんだけどゴーレムの一種です。あの建物は宿泊施設を建設中なんだ」
「宿泊施設? あのデカさで? 鉄の柱とあの壁は何だい?」
「5階建ての建物と、鉄筋コンクリートって言って骨組みを鉄骨で作って、砂利と石灰と水を混ぜて固めたコンクリートで、強度と加工のし易さが売りなんだよ」
「鉄筋コンクリートって・・・噂では聞いたことがあるが新技術じゃないか! 君、ゴーレムといい凄いんだね! 他には何かないのかい?」

 ラッセリア先生は、食いつくように質問とメモを取っている。
 根が真面目なのだろう。説明が長くなりそうなので、休憩を兼ねえて食事をとりながら説明しよう。

 遠くから来た生徒達も食事と聞いて、嬉しそうな顔をしている。
 さっきまで眠そうにしていたリスの可愛い子は急に元気になったぞ。面白い子だな。まあ旅で疲れただろうし、美味しいご飯を作ってあげよう。
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