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第1章 迷宮創生編

第52話 パーティー演習①

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 う・・ううん・・・。
「おはようございます。ヤマト様♡」
 朝起きると、隣には赤髪の美少女ロザリーがいた。

「もう起きたてたのか。おはようロザリー」
「はいっ! 朝からヤマト様の寝顔♡ 見れて嬉しいです! 夢だったんですよ。こうして愛する男の人と朝を迎えるのをね♡」
「そうか、それは良かったね」
「はいっ!」
 とびっきりの笑顔を見せるロザリー。俺の悪魔の手が、彼女のおっぱいを揉み始めるまでは・・・

「ああんっ♡ 朝から・・・」
「昨日は2回しただけで寝ちゃっただろう? もっとロザリーを感じたいんだ!」
「仕方がないヤマト様ですね♡・・私には2回でも、愛のあるセックスなら大満足なんですけどね♡」

 寝起きセックスを楽しんだ俺たちは、そのまま一緒にお風呂に入り、もう1回戦した後、食堂にきている。
 皆に挨拶を済ませ、いつもの定位置に座る。

「今日はパンとシチューか、美味しそうだな」
「昨日は海鮮だったので、朝はパンにしました。良質な小麦粉とミルクが手に入ったので、腕を振るって作りました♪」
 嬉しそうに説明するアルデリアちゃん。パンの香ばしい匂いと、野菜の入ったクリームシチューは食欲がそそられる。



 窓の外は、しとしとと雨が降っており、雨足が時折強まったり弱まったり、村雨のような雨が降り続いている。どこか遠くで雷鳴も聞こえてくる。
「今日は、外での作業は中止かな?」
「この雨では仕方がないな」
 ラッセリア先生とそんな話をしていると、リュネールさんが提案を持ちかけてきた。

「ダンジョンの施設を使わせてくれよ」
「施設?」

「ああ、言葉が足りなかったな。俺たちの目標はプレジールの塔の攻略、打倒ディアドラだろう? 俺たち3人とヤマト殿はともかく、シルエラさんとミスティの力は未知数だし、それに皆で連携の練習も必要だろ?」
「なるほど、確かにふたりの力を見る必要があるね。ダンジョン内でパーティー演習すれば雨に濡れることもないし」
「だろ?」

 確かに良い案だ。シルエラとミスティのレベル上げも必要だし、今日はその案で行こう。

「雨には濡れないけど、お股は濡れちゃうわよ♡」
「ちょ、ステラ真面目な話をしている時に横から・・・まあ、そうだな・・そんなこともあるかもしれんな」
「あら? リュネール何を想像しているのかしら?」
「ステラてめえ」
「なによ!」

 喧嘩するほど仲が良いふたりはほっといて、シルエラとミスティを呼んでこよう。



 武装したリュネールさんたちの他に、シルエラ、ミスティが揃う、ふたりとも戦装束である。
 シルエラは巫女装束に盾とメイス、神官系の装備。
 ミスティは精霊使いだ。軽装備に弓とショートソード。
 俺はいつもの服装にいつもの剣・・・なんだこの差。
 まあ俺の装備はいいか、いらないし・・・別に寂しくなんかないよ! ホントだよ。

 皆の準備ができたところで転移装置を使い迷宮第3層、地底湖&鉱山エリアへとやってきた。
「ここが、ヤマト殿の迷宮区なんだな」
「リュネールさんたちは、初めてだったね。我がダンジョンへようこそ!」
 俺は左手を前にして腹部に当て、右手は後ろに回し執事のようにお辞儀をする。

 そのポーズを見た女性陣は喜んでいる。1人を覗いて・・
「ヤマト殿は、執事役より魔王役だろ?」
 そんなことを呟くリュネールさん。

「我がダンジョンへようこそ! 我を倒したかったら、我が元へ来るがよい! もし来れたら相手をしてやろう!」
 ここはリュネールさんに乗っかって、その設定で悪ぶってみる。

「ハイっ! 私、魔王様に囚われたお姫様役やりたいです!」
 ミスティが挙手して話に乗ってくる。
「お姫様役はシルエラだろう? ミスティは、そうだな・・囚われた姫を守る騎士、くっころエルフな!」
「なっ!? なによそれ!」
 ここで笑いが起こるのはいつものことだ。

「でも、もし私が捕まったら・・助けて、助けに来てくれるんでしょう?」
「当り前だろ? なんでそんなこと聞くんだ?」
「ありがと♡ 何となく聞きたかっただけだよ・・・そっか、当たり前なんだ・・・えへへ♡」
 赤面するミスティ、可愛いぽんこつエルフだ。

「さあ、コントは終わりにして本題に入ろうか!」
 俺の発言に、皆の顔が引き締まる。

「で、どうするんだ?ゴーレムとでも戦うのかい?」
「そうだね。まずはシルエラとミスティの力を皆に見せてあげて欲しい。相手は弱いクレイゴーレムを用意するよ」

 俺のスキル、ゴーレムビルドを使い、3体のクレイゴーレムを作りだす。1m程の泥人形だ。
 1体の泥人形を前面に出し、残りは待機させる。

「まずは、ミスティ1人で戦ってみてくれ」
 俺の見る限りミスティなら余裕だろう。

 名前:ミスティ・フォレステート
 性別:♀
 種族:エルフ族
 年齢:17歳
 クラス:精霊使い
 LV:16
 HP:460/460
 MP:480/480
 SP:270/270
 STR:D  VIT:D  AGI:C
 DEX:C  INT:D  LUK:C
 スキル:魔法(水D・風・土E・光E)
 精霊魔法:C
 MP自動回復:小
 弓術:C  剣術:E 狙撃
 気配察知・罠察知・罠解除

「私ひとりで?」
「そそ、余裕だろ?」
「ふふん良くわかってるじゃない。こんなの朝飯前よ」
 一歩前に進むミスティ。その表情は自信に満ちている。

「いつでも良いわよ」
「なら、戦闘開始!」
 俺の合図で、待機状態の泥人形がゆっくりと動きだす。

 ミスティは、冷静に弓を構えると矢をつがえるなり、一息に矢を放つ。
 泥人形との距離は約50mくらいだろうか? それでもミスティの放った矢は、見事に泥人形の眉間に突き刺さる。
 続けざまに放たれた第2射、第3射は泥人形の顔面&左胸に命中してその動きを止めていた。
 これがゴーレムでなく人体だったら・・・こわっ! ミスティの水浴びを覗いた時のことを思いだした。あの時も矢は眉間を正確に狙ってきてたし、怖いよミスティ・・・ぽんこつエルフのくせに。

「おおっ!」
 皆が驚き拍手が起きると、ミスティはドヤ顔だ。まあ見事な弓の腕前なのは認めるけどさ。

「次は私の番かしら」
 シルエラだ。だが、戦闘経験のないシルエラでは、泥人形の相手は難しいだろう。

 名前:シルエラ
 性別:♀
 種族:人間族
 年齢:16歳
 クラス:大聖母の巫女
 LV:8
 HP:320/320
 MP:354/354
 SP:190/190
 STR:E  VIT:E  AGI:E
 DEX:E  INT:S  LUK:S
 スキル:魔法(光C・土E)
 回復魔法 治癒能力向上
 MP自動回復:小
 魔法抵抗値上昇:小 状態異常耐性:小
 あげまん 内助の功

「なら、訓練のために1体と戦ってみようか」
「わかったわ!」
 大丈夫かな~ 心配だな~

「そんな心配そうな顔しないでくださいよ。私だって役に立ちたいのですよ」
「シルエラは戦闘しなくても、皆の回復や補助魔法使えるだろう? それじゃダメなのか?」
「私だって戦えますよ!」
「なら危なくなったら止めるからな!」
「ええ、それでいいわ」

「お願いします」
 俺の合図を皮切りに泥人形とシルエラが動きだす。

 互いに距離を詰め、泥人形がその拳を振り下ろした瞬間、シルエラの防御魔法が発動して泥人形を弾き返したのだ。
「えいっ!」
 弾かれて体勢を崩した泥人形に、メイスを両手で持って殴り付けるシルエラ。
 ぐしゃっと潰れる泥人形に、俺は目を丸くしてポカンと口を開け開いてしまう。
 それほど衝撃的な出来事だったのだ。

「どうですか?」
 皆も同じような感覚だったらしく、言葉を失っている。
「ヤマト様?」
「ああ、凄いよシルエラ」
 我に返った俺はシルエラを褒め称える。これは評価を上方修正しないといけない。

 リュネールさんたちも、シルエラとミスティの力を認めたみたいだった。
 後は連携かな? パーティー戦などの集団では、連携プレーが重要になってくる。

「じゃあ、今度はパーティーで戦ってみようか」
「OK」「いいわよ」
 それぞれ返答が返ってくる。

「俺を除く、5人で蟹と戦ってくれ。リュネールさんたちにはお馴染みのジャイアントクラブだから、問題ないとしてもシルエラたちは初めてだ。フォロー頼むよ」
「ヤマト殿は戦わないのか?」
「俺はダンジョンマスターだからね。モンスターも俺には逆らえないし、倒しても経験値も入らないから、見守る側に回るよ」

「ふ~ん、そっか、ヤマト様はやっぱり魔王様のように、モンスター側で私たちをいたぶり、凌辱するつもりなのね・・やあん♡」
「おいっ!」
 そう語ったステラさんは、両腕を組んで体を左右に揺らしている。まったく何てこと言うんだ。
 想像しちゃうじゃないか・・・・。

「あっ! あのにやけ顔はやらしいこと考えてる! やっぱり魔王様だ!」
「こらこら!」
 やばい、皆の俺を見る目がジト目だ・・・
「まあ、ヤマト様ですしねぇ・・仕方ありませんね」
「お~い、もしもし?」
「日頃の行いですね」
 クスクス、ケラケラと笑うシルエラたち。皆の俺のイメージってどんなんだよ!・・・畜生! こうなったらホントに視姦してやる!

 DPを消費して、ジャイアントクラブを召喚する。
 うん、美味しそうな巨大蟹だ。最初の1体を呼び出せば、後は増やすだけだの作業だ。
 取り敢えずは、20体の蟹軍団を作成する。ドロップ品は確率だが、美味しい蟹身になってくれることを祈るのみ。

「蟹ですわよ。蟹! ああっ、あの時の蟹身がこんなに沢山・・・はやく倒しましょう!」」
「よだれが出るな。今夜は蟹ずくし決定だな!」
 皆も、巨大蟹の大群をを前にして萎縮するどころか、食欲・食材としか見ていないようだった。
 
 狂喜乱舞する彼女たち。巨大蟹たちは数で勝るとはいえ、自分たちを食材としか見ていない彼女たちに怯え、後退りし始めているのもいた。
 
 地底湖になんとも言えない戦闘前の空気が漂っていた。
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