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第二章
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僕のこと?
別に、何を聞かれても構わないと思った。
隠していることなんて、特にはないし。
「いいよ。僕が知っていることなら、君に話すよ」
するとエニグマがニンマリと悪魔的な微笑を口元に湛えた。
「本当だね?君が知るすべてのことを僕に話してくれるんだね?」
「しつこいな。話すって言っているじゃないか」
すると、再びエニグマが笑みを引っ込めた。
「これは契約だよ。正式な……ね。それでもいいかい?」
その瞬間、背筋に悪寒が走った。
契約――。これはまずい奴なんじゃないか?
悪魔との契約なんて、いいことのはずがない。
僕は慌てた。
「いや!ちょっと待って!契約ってなに?」
エニグマは落ち着いている。
「そんなに深く考えることではないよ。ただの約束とほとんど変わらないものだ」
僕は直感的に怪しいと思った。
「本当に?でも約束ではなく、契約と言ったのには意味があるはずだよね?ほとんど変わらないってことは、両者には多少なりと違いはあるってことだよね?」
勢い込む僕に、エニグマが苦笑する。
軽く首を横に倒し、呆れたような表情で言う。
「まあね。確かにまったく同じものではないよ。でもほとんど同じだ。違うのは……」
またもエニグマが言葉を区切った。
そしてわずかに下を向き、上目遣いに僕を見つめた。
「強制的に質問に答えなければならなくなるってだけさ」
僕は眉をキュッと寄せた。
そしてエニグマをきつく見据える。
「強制的って、どういうこと?」
「言葉のとおりさ。君が答えるのを拒否しようとしても、契約によって強制的にしゃべらされてしまうのさ」
僕は訝しんだ。
エニグマは僕に何を語らせたいんだ?
僕には秘密なんてない。
あるとしたらこの世界に転移した存在だってことくらいだ。
だけどそのことは、エニグマはすでに承知のことだ。
今更聞きたくもないだろう。
他に何かあるのか?
エニグマが僕から聞き出したいことが。
僕はこの世界に来てからのことを思い返してみた。
すると、一つだけ思い当たるふしがあった。
それは、謎の声のことだった。
僕の頭の中に何度か話しかけてきた謎の声。
『いつか我がもとへ――』
確か最後にそんなことを言っていた。
あの声のことをエニグマは聞きたいんじゃないだろうか。
それは、僕には別に不都合じゃない。
答えたって別に構わないと思う。
でも、本当にそうなんだろうか。
あの謎の声について、話してしまってもいいのだろうか。
僕はしばしの間、考え込んだ。
そして結論を出した。
問題ない。
もしかしたら、あの声についてエニグマは何かしら知っているかもしれない。
僕も、あの声については知りたい。
なら互いの情報を出し合って照らし合わせた方がいい。
だけど――。
「契約っていうからには、双方ともにってことだよね?」
僕の問いに、エニグマがニコリと微笑み、軽やかな声で言う。
「その通り。強制的に答えなくてはいけなくなるのは、君だけじゃない。僕だって同じさ」
別に、何を聞かれても構わないと思った。
隠していることなんて、特にはないし。
「いいよ。僕が知っていることなら、君に話すよ」
するとエニグマがニンマリと悪魔的な微笑を口元に湛えた。
「本当だね?君が知るすべてのことを僕に話してくれるんだね?」
「しつこいな。話すって言っているじゃないか」
すると、再びエニグマが笑みを引っ込めた。
「これは契約だよ。正式な……ね。それでもいいかい?」
その瞬間、背筋に悪寒が走った。
契約――。これはまずい奴なんじゃないか?
悪魔との契約なんて、いいことのはずがない。
僕は慌てた。
「いや!ちょっと待って!契約ってなに?」
エニグマは落ち着いている。
「そんなに深く考えることではないよ。ただの約束とほとんど変わらないものだ」
僕は直感的に怪しいと思った。
「本当に?でも約束ではなく、契約と言ったのには意味があるはずだよね?ほとんど変わらないってことは、両者には多少なりと違いはあるってことだよね?」
勢い込む僕に、エニグマが苦笑する。
軽く首を横に倒し、呆れたような表情で言う。
「まあね。確かにまったく同じものではないよ。でもほとんど同じだ。違うのは……」
またもエニグマが言葉を区切った。
そしてわずかに下を向き、上目遣いに僕を見つめた。
「強制的に質問に答えなければならなくなるってだけさ」
僕は眉をキュッと寄せた。
そしてエニグマをきつく見据える。
「強制的って、どういうこと?」
「言葉のとおりさ。君が答えるのを拒否しようとしても、契約によって強制的にしゃべらされてしまうのさ」
僕は訝しんだ。
エニグマは僕に何を語らせたいんだ?
僕には秘密なんてない。
あるとしたらこの世界に転移した存在だってことくらいだ。
だけどそのことは、エニグマはすでに承知のことだ。
今更聞きたくもないだろう。
他に何かあるのか?
エニグマが僕から聞き出したいことが。
僕はこの世界に来てからのことを思い返してみた。
すると、一つだけ思い当たるふしがあった。
それは、謎の声のことだった。
僕の頭の中に何度か話しかけてきた謎の声。
『いつか我がもとへ――』
確か最後にそんなことを言っていた。
あの声のことをエニグマは聞きたいんじゃないだろうか。
それは、僕には別に不都合じゃない。
答えたって別に構わないと思う。
でも、本当にそうなんだろうか。
あの謎の声について、話してしまってもいいのだろうか。
僕はしばしの間、考え込んだ。
そして結論を出した。
問題ない。
もしかしたら、あの声についてエニグマは何かしら知っているかもしれない。
僕も、あの声については知りたい。
なら互いの情報を出し合って照らし合わせた方がいい。
だけど――。
「契約っていうからには、双方ともにってことだよね?」
僕の問いに、エニグマがニコリと微笑み、軽やかな声で言う。
「その通り。強制的に答えなくてはいけなくなるのは、君だけじゃない。僕だって同じさ」
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