１×∞（ワンバイエイト） 経験値１でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました！

第二章

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　やむをえまい。

　俺が俺であるために、俺自身がこの道を選んだのだから。

　この道以外はないんだ。いや、この道以外を行くつもりが、俺はないんだ。

　だったら、行くしかないだろう。

　これはおそらく、俺にとってのイニシエーション――通過儀礼になるだろう。

　アフリカ大陸の何処かの国の若者が、足首に縄を巻いて高所から飛び降りるバンジージャンプのように。

　あれは娯楽ではなく、大人への階段を昇るための通過儀礼なのだという。

　粗末な道具で行われるため、無論死に至ることもある。

　しかし、だからこそ、それをクリアした者は周りから尊敬を集める。

　そして成長し、大人になる。

　それがイニシエーションだ。

　俺は今、そのイニシエーションの真っ最中なのかもしれない。

　好意を寄せた者に、拒絶される。それは、子供を少しだけ大人にするだろう。

　今の俺が、まさにそうだ。

　ならば、俺はこれを糧としよう。この糧を得て、成長していこう。

　アリアスとの関係性は、もう壊れてしまったのだから。

　俺は、ソファーに身体を預けながらも必死にアリアスに説明するレノアを見ながら、そう思った。

　レノアが万言を費やして説明しても、アリアスはかたくなにそれを拒絶している。

　堂々巡りだ。

　ギャレットは、話にまったく参加していない。驚きと焦りの綯い交ぜになった表情を浮かべ、おろおろしている。

　彼には、この状況が理解できないのだろう。

　いや、俺の変化に対応できないのだ。さきほどからギャレットは俺を見ない。明らかに意図的に視線を外している。

　しかし、これも仕方のないことだ。

　変化は、軋轢を生む。それがどのようなことであっても。

　ましてやひとの変化は、混乱を伴なった大いなる衝突となり、何かが壊れるものだ。

　何か――多くの場合、関係性が壊れる。

　どんなに良好な関係性であっても、片方が著しく変化すれば、関係性はいびつとなる。

　そして、いずれ壊れる。それが早いか遅いかの違いだけだ。

　ギャレットとの関係性も、今後は壊れていくだろうか。

　彼は年長者だ。年若いレノアですら受け入れてくれたのだから、彼もいずれは受け入れてくれるのではないか。

　いや、レノアが受け入れられたのは、彼の知性に負うところが大きい。

　無論、ギャレットに知性がないと言っているわけではない。だがレノアほどではないだろう。

　ならばどう転ぶか。今は慌てふためいているが、落ち着いたときにどうか。

　受け入れてくれるのならば、アリアスとの緩衝材になってくれそうな気がする。

　アリアスはギャレットを強く信頼しているからだ。彼の言葉なら、彼女も聞くかもしれない。