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第二章
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「ゼロス、寝ているところをすまない」
俺が話しかけると、ゼロスが素早く瞼を開いた。
「大丈夫だ。寝てはいない」
「そうか。気持ちよさそうに寝ているのかと思ったよ」
「気持ちいいのは間違いない。この芝生は庭師によってとても丁寧に、均等な長さに刈られている。それがとても心地よい」
「そうなのか。俺とかにはわからないな」
「人間でも寝転がってみればわかるのではないか?」
ゼロスに言われ、俺も寝転んでみることにした。
「なるほど。確かに気持ちいいな」
「そうだろう。日差しも柔らかでいい。絶好の日向ぼっこ日和だ」
ゼロスの言うとおり、日差しもきつくなく、とても気持ちがよかった。
俺はしばし瞼を閉じ、暖かな日差しに全身が包まれる感覚を楽しんだ。
だがそこで、用事を思い出した。
ゼロスのところに足を向けたのは、日向ぼっこするためじゃない。
俺は瞼を開き、首を少し傾けてゼロスを見た。
「少し相談したいことがあるんだ」
「ふむ、ゼークル伯爵のことか?」
「いや、違う。ゼークルはレノアが取り調べしている」
「ではなんだ?」
「俺の話だ」
するとゼロスが寝そべりながら、少しだけ首を前に伸ばした。
どうやら興味を引いたらしい。
「ほう、お前の話か」
「ああ、そうだ」
「お前の話は興味深い。だが、相談だと言ったな?」
「ああ。言ったな」
「そうか。何はともあれ、まずは聞こうじゃないか」
俺はうなずき、先ほどの話をかいつまんでゼロスに伝えた。
ゼロスは無言で聞き入り、聞き終えると重々しく口を開いた。
「難しい話だな……実はわたしも、そのことは考えていた」
「ゼロスがか?」
「うむ。わたしにとっても、お前の変化は興味深い事象だったからな」
あのときのことを思い返す。
少しの時間離れ、帰ってきたら俺の人格が入れ替わっていた。
ゼロスやレノアにとっては驚愕の事態だっただろう。
あらためて思い返すと、自分自身少し笑ってしまうほどだ。
「あのときはびっくりしたろう?」
ゼロスが苦笑を漏らす。
「あれほど驚いたのは、何十年ぶりだったか。それほどのものだったよ」
「だろうな。わずか一時間くらいだったのだろう?」
「そうだな。お前と離れ、しばらくしてお前が帰ってくるまでの時間は、大体それくらいだったと思う」
「よく信じられたな?」
「お前がカズマであるということか?」
俺はうなずいた。
「整合性のある答えは、それしかなかった」
「まったくの別人である可能性は低い。なら、本人の人格が入れ替わったと考えた方が確率が高いということだな」
俺が話しかけると、ゼロスが素早く瞼を開いた。
「大丈夫だ。寝てはいない」
「そうか。気持ちよさそうに寝ているのかと思ったよ」
「気持ちいいのは間違いない。この芝生は庭師によってとても丁寧に、均等な長さに刈られている。それがとても心地よい」
「そうなのか。俺とかにはわからないな」
「人間でも寝転がってみればわかるのではないか?」
ゼロスに言われ、俺も寝転んでみることにした。
「なるほど。確かに気持ちいいな」
「そうだろう。日差しも柔らかでいい。絶好の日向ぼっこ日和だ」
ゼロスの言うとおり、日差しもきつくなく、とても気持ちがよかった。
俺はしばし瞼を閉じ、暖かな日差しに全身が包まれる感覚を楽しんだ。
だがそこで、用事を思い出した。
ゼロスのところに足を向けたのは、日向ぼっこするためじゃない。
俺は瞼を開き、首を少し傾けてゼロスを見た。
「少し相談したいことがあるんだ」
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「いや、違う。ゼークルはレノアが取り調べしている」
「ではなんだ?」
「俺の話だ」
するとゼロスが寝そべりながら、少しだけ首を前に伸ばした。
どうやら興味を引いたらしい。
「ほう、お前の話か」
「ああ、そうだ」
「お前の話は興味深い。だが、相談だと言ったな?」
「ああ。言ったな」
「そうか。何はともあれ、まずは聞こうじゃないか」
俺はうなずき、先ほどの話をかいつまんでゼロスに伝えた。
ゼロスは無言で聞き入り、聞き終えると重々しく口を開いた。
「難しい話だな……実はわたしも、そのことは考えていた」
「ゼロスがか?」
「うむ。わたしにとっても、お前の変化は興味深い事象だったからな」
あのときのことを思い返す。
少しの時間離れ、帰ってきたら俺の人格が入れ替わっていた。
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