1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ

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第二章

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 ゼロスが言う。

「問題はその転移者が、今も採掘をしているかどうかだが……」

「俺があの窪地にいた間は、当然だが誰もいなかった。それが何故かはわからない。でも、小屋は綺麗に掃除されていたし、長期間放置されているようには見えなかった」

「短期間だけ不在だったとしたら、何故特異点の性質が発揮されなかったかが問題となる」

「なるほど。ひとや事象を引き寄せるのなら、俺が転移した瞬間に、そのSランクとなった転移者が待ち構えていてもおかしくはない。いや、それどころか待ち構えていないとおかしいな」

 ゼロスは変わらず厳しい表情を崩さない。

 遠くの一点を見つめ、考え込んでいる。

 と、何かを思いついたかのように首をめぐらし、俺を見た。

「何者かに、操作されている可能性はないか?」

「操作?」

 いる。思いつくのがひとり……いや、ひとかどうかもわからない奴が、いる。

「あいつかもしれない」

 俺の言葉にゼロスが素早く問いかける。

「あいつとは?」

「前に話しただろう?俺の頭の中に響く不思議な声のことを」

 ゼロスがうなずいた

「いずれ我がもとに……と言ったという、例のあれか」

「あれ以外に思いつかないし、考えられない。あいつは、勝手に俺の心に話しかけてくるが、俺からの呼びかけにはまったく反応しないんだ」

 ゼロスが、一層厳しい表情となった。

 とても険しく、獰猛な肉食獣が獲物を狙っているかの如き顔をしている。

「もしや、その者は……神なのか?」

 俺は、静かにゆっくりと首を縦に振った。

「間違いないだろう。エニグマがそう言っていたんだ。あいつが神であるのは、波長からして間違いないだろうと。ただ、どのような神なのかは、エニグマにもよくわかっていないようだった」

 俺の言葉を噛みしめるように、ゼロスが何度もうなずいた。

「つまり、神はたくさんいるということだな?」

 俺はうなずいた。

「そのようだ。ただその実数なんかは、エニグマにもわかっていないようだった」

「よくわからない神か……それでは手掛かりがないな」

 俺はエニグマの言葉を頭の中で反芻する。

「いや、エニグマは言っていた。かなり高位な神であるのは間違いないだろうと」

「かなり高位か……それならば、お前の事象を操作することも可能か……」

 俺の事象の操作か……嫌な話だ。もてあそばれている感が半端ない。

 俺は、誰かのおもちゃになんて、なりたくはない。

 だがゼロスの予想が確かなら、俺はあいつのおもちゃってことになる。

 非常に不愉快だ。はらわたが煮えくり返る思いだ。
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