372 / 402
第二章
649
しおりを挟む
「じゃあもしかしてB・Bは、この町に長逗留しているの?」
B・Bは即座に首を横に振った。
「いや、まだ三日目だ。だがここは初日に見つけて以来、これで三日連続で来たことになるな」
「かなり気に入っているんだね」
「ああ、見晴らしがいいのでな。気分がいい」
「そうだね」
レノアは笑顔で同意するなり、本題に入った。
「それで、グレイザー公爵は今は何処におられるの?」
「グレイザー公爵領内に隠れ家があってな。そこに潜んでおられる」
「大丈夫なの?」
「問題ない。見つかる可能性はない場所だ。だから心配しなくていい」
「Sランクの君が言うんなら、大丈夫そうだね」
「ああ。そこは信用してくれていい」
「でもそれじゃあ、オルダナ王国内におられる王女殿下と合流するってわけにはいかないね」
B・Bは厳しい表情でうなずいた。
「そうだな。今から公爵閣下にオルダナへ移動していただくというのは、あまりにも危険が過ぎるだろう」
レノアも厳しい顔でうなずく。
「仕方がないね。でもいずれ僕らが蜂起した際には、一緒に立ち上がっていただけるだろうか?」
B・Bは笑顔でうなずいた。
「無論だ。公爵閣下もその時に備えて、秘密裏に準備をされているからな」
「そうか!それは心強いよ!」
「王女殿下がオルダナでご健在であることは、公爵閣下も存じていらっしゃる。それ故、いつか殿下が蜂起の鬨の声を上げられた際に、真っ先に駆けつけ、助勢せんと力を蓄えているんだ」
「ありがたいよ。そうとなれば、ベルガンからすれば内憂外患となる。それにエルブリーズ」
レノアがそう言った瞬間、B・Bの眉根がギュッと寄せられた。
「エルブリーズ?エルブリーズがどうかしたか?」
レノアは笑顔で言った。
「実は僕らはこれからエルブリーズに向かうところなんだ」
「エルブリーズになんの用があるんだ?」
B・Bの問いに、レノアがにやりと口角を上げた。
「蜂起の際に、エルブリーズに北方から牽制してもらうのさ」
B・Bは腕を組んで考え込んだ。さらに組んだ左手を上に持っていき、顎をさすった。
「そう上手くいくかな?」
「難しいね」
レノアはあっさりと認めた。
B・Bはさらに顎をさすりながら言う。
「エルブリーズは、ベルガンに輪をかけた大国だ。そう簡単に話に乗るとは思えないが」
「簡単じゃないね」
またもレノアが素直に言った。
そこでB・Bは組んだ腕を解いた。
「どうやら相当に自信があるらしい。どんな手を使うつもりだ?」
レノアは軽く肩をすくめた。
B・Bは即座に首を横に振った。
「いや、まだ三日目だ。だがここは初日に見つけて以来、これで三日連続で来たことになるな」
「かなり気に入っているんだね」
「ああ、見晴らしがいいのでな。気分がいい」
「そうだね」
レノアは笑顔で同意するなり、本題に入った。
「それで、グレイザー公爵は今は何処におられるの?」
「グレイザー公爵領内に隠れ家があってな。そこに潜んでおられる」
「大丈夫なの?」
「問題ない。見つかる可能性はない場所だ。だから心配しなくていい」
「Sランクの君が言うんなら、大丈夫そうだね」
「ああ。そこは信用してくれていい」
「でもそれじゃあ、オルダナ王国内におられる王女殿下と合流するってわけにはいかないね」
B・Bは厳しい表情でうなずいた。
「そうだな。今から公爵閣下にオルダナへ移動していただくというのは、あまりにも危険が過ぎるだろう」
レノアも厳しい顔でうなずく。
「仕方がないね。でもいずれ僕らが蜂起した際には、一緒に立ち上がっていただけるだろうか?」
B・Bは笑顔でうなずいた。
「無論だ。公爵閣下もその時に備えて、秘密裏に準備をされているからな」
「そうか!それは心強いよ!」
「王女殿下がオルダナでご健在であることは、公爵閣下も存じていらっしゃる。それ故、いつか殿下が蜂起の鬨の声を上げられた際に、真っ先に駆けつけ、助勢せんと力を蓄えているんだ」
「ありがたいよ。そうとなれば、ベルガンからすれば内憂外患となる。それにエルブリーズ」
レノアがそう言った瞬間、B・Bの眉根がギュッと寄せられた。
「エルブリーズ?エルブリーズがどうかしたか?」
レノアは笑顔で言った。
「実は僕らはこれからエルブリーズに向かうところなんだ」
「エルブリーズになんの用があるんだ?」
B・Bの問いに、レノアがにやりと口角を上げた。
「蜂起の際に、エルブリーズに北方から牽制してもらうのさ」
B・Bは腕を組んで考え込んだ。さらに組んだ左手を上に持っていき、顎をさすった。
「そう上手くいくかな?」
「難しいね」
レノアはあっさりと認めた。
B・Bはさらに顎をさすりながら言う。
「エルブリーズは、ベルガンに輪をかけた大国だ。そう簡単に話に乗るとは思えないが」
「簡単じゃないね」
またもレノアが素直に言った。
そこでB・Bは組んだ腕を解いた。
「どうやら相当に自信があるらしい。どんな手を使うつもりだ?」
レノアは軽く肩をすくめた。
33
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。