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45 貴族たち
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当初の予定通り、俺とリリーサはネルヴァたちの弟子だと説明された。
衛兵たちはなにも疑問に思わずにうなずいた。
そうして俺たちは、衛兵たちによって無事に登録を済ますことが出来た。
この登録を済ますことで、今後は自由に王宮内に出入りすることが出来る。
その際リリーサは、リーザという名前で登録した。
本名のままではまずいので偽名で登録したのだが、まさか彼らもこの目の前にいる人物が、わずか一年前までこの王宮で暮らしていた王女様ご本人だとは思わなかったろう。
そもそも目の前の大賢者と剣聖が、自分たちの弟子だと言っているのだ。
信じないわけがない。
まさか彼ら二人が、自分たちに対して嘘を言っているだなんて夢にも思わなかったろう。
彼らがリリーサの顔を良く確認しなかったのは仕方がないと言わざるを得ないだろう。
そうして俺たちはしっかりとした身分証明書を手に入れ、意気揚々と王宮内へと入っていったのだった。
王宮の中は巨大な建物が林立していた。
さらにそれらの建物よりも遙かに高い尖塔が、いくつも天に向かって伸びていた。
「ここが王宮……」
俺はその偉容に圧倒され、言葉を失った。
あまりの建物の多さに、その全貌がまったく掴めないでいた。
「こんなにデカいとは」
するとリリーサが鼻高々に、俺に話しかけてきた。
「どう?凄いでしょ?」
「凄いね。でもどうしてこんなにデカい必要があるんだろう?」
「どうしてって言われても」
リリーサが首を可愛らしく横に傾けた。
俺はその様子を眺めて、にやけそうになるのを必死にこらえた。
それくらい可愛い。
特に月明かりの下で見るリリーサは、心底可愛らしく俺には見えた。
何か、いつもよりも可愛く見えるのは、俺が疲れているからかな?
そんなことをぼんやりと馬の背に頬を付けながら考えていると、リリーサがようやく思いついたように言った。
「たぶん、親戚が多いからよ」
「親戚?王家の?」
「そう。まあいわゆる貴族ね」
「ああ、そうか。貴族の人たちも王宮内に住んでいるのか」
「ええ、そうよ。大貴族は除くけどね」
「ふうん、大貴族は別なんだ?」
「そうよ。その代表的なのが貴族自治領を治める公爵たちよ」
「それか。王家自治領と同じく五つあるっていう貴族自治領を治める大貴族たちね」
「そう。他にもこのアクアマリンの郊外に所領を持っている大貴族たちもいるわよ。いわゆる侯爵ね」
「なるほど。ということは、この王宮内にいる貴族は伯爵以下の貴族って訳だ」
「そう。伯爵、子爵、男爵ね。それらがそれぞれに居館を与えられて住んでいるの。ちなみに居館がいくつあるかは聞かないでね?数えたこともないから」
「何か無限にありそうだね」
「そうね。大きいのから小さいのまで、ホント無限にありそうだわ」
俺たちは辺りを見回し、その建物の数の多さとその大小を見比べて、うんざりした。
そうして話している間にも、俺たちは王宮内を馬でどんどん移動していった。
途中で流れる川を二度ほど越え、さらに進んだ。
「まさか王宮内に川が流れているとは思わなかったよ。それも二本も」
俺が半ば呆れ気味に言った。
するとリリーサが何食わぬ顔で言った。
「そう?だって王宮よ。広いんだもの川ぐらい流れているわよ」
「いや、いくら何でも広すぎるんじゃない?ここまで大きくする必要ないと思うんだけど」
「だからさっき言ったじゃない。貴族が沢山いるのよ。仕方がないじゃない」
そうか?だったらその貴族が多すぎるんじゃないか?
俺はそんな素朴な疑問を抱いた。
だがそんな俺の思索を妨げるように、リリーサが言ったのだった。
「この先にマールの居館があるわ」
リリーサが、さも嬉しそうに言った。
そういえば先程から他の建物が見えなくなってきた。
やはり王女の居館ともなると特別なんだな。
それに周囲の生け垣が高くなっている。
咲いている花も、なにやら高級そうだ。
俺たちは高い生け垣の間を、ゆっくりと進んでいった。
するとリリーサが、前方を指さして言ったのだった。
「ほら、あれよ。あれがマールの居館よ」
俺はリリーサが指さす、生け垣が途切れた先を眺めた。
そこには、これまでに見てきた建物よりもひときわ大きな白亜の居館があった。
「あれか。さすがにデカいね。王女の居館ともなると」
「当然よ。貴族じゃなくて、王家だもの」
あ、今なんか貴族を下に見る発言したな。
そういうの良くないと思うよ。
貴族からして見たら腹が立つと思うし。
でもこれ言ったら、途端にリリーサの機嫌悪くなるだろうな。
特に今、良い気分みたいだし。
よし、とりあえず止めとこう。
俺は心の中でぐっと押しとどめて、言わなかった。
そうこうするうちに、俺たちはマール邸へとたどり着いたのであった。
衛兵たちはなにも疑問に思わずにうなずいた。
そうして俺たちは、衛兵たちによって無事に登録を済ますことが出来た。
この登録を済ますことで、今後は自由に王宮内に出入りすることが出来る。
その際リリーサは、リーザという名前で登録した。
本名のままではまずいので偽名で登録したのだが、まさか彼らもこの目の前にいる人物が、わずか一年前までこの王宮で暮らしていた王女様ご本人だとは思わなかったろう。
そもそも目の前の大賢者と剣聖が、自分たちの弟子だと言っているのだ。
信じないわけがない。
まさか彼ら二人が、自分たちに対して嘘を言っているだなんて夢にも思わなかったろう。
彼らがリリーサの顔を良く確認しなかったのは仕方がないと言わざるを得ないだろう。
そうして俺たちはしっかりとした身分証明書を手に入れ、意気揚々と王宮内へと入っていったのだった。
王宮の中は巨大な建物が林立していた。
さらにそれらの建物よりも遙かに高い尖塔が、いくつも天に向かって伸びていた。
「ここが王宮……」
俺はその偉容に圧倒され、言葉を失った。
あまりの建物の多さに、その全貌がまったく掴めないでいた。
「こんなにデカいとは」
するとリリーサが鼻高々に、俺に話しかけてきた。
「どう?凄いでしょ?」
「凄いね。でもどうしてこんなにデカい必要があるんだろう?」
「どうしてって言われても」
リリーサが首を可愛らしく横に傾けた。
俺はその様子を眺めて、にやけそうになるのを必死にこらえた。
それくらい可愛い。
特に月明かりの下で見るリリーサは、心底可愛らしく俺には見えた。
何か、いつもよりも可愛く見えるのは、俺が疲れているからかな?
そんなことをぼんやりと馬の背に頬を付けながら考えていると、リリーサがようやく思いついたように言った。
「たぶん、親戚が多いからよ」
「親戚?王家の?」
「そう。まあいわゆる貴族ね」
「ああ、そうか。貴族の人たちも王宮内に住んでいるのか」
「ええ、そうよ。大貴族は除くけどね」
「ふうん、大貴族は別なんだ?」
「そうよ。その代表的なのが貴族自治領を治める公爵たちよ」
「それか。王家自治領と同じく五つあるっていう貴族自治領を治める大貴族たちね」
「そう。他にもこのアクアマリンの郊外に所領を持っている大貴族たちもいるわよ。いわゆる侯爵ね」
「なるほど。ということは、この王宮内にいる貴族は伯爵以下の貴族って訳だ」
「そう。伯爵、子爵、男爵ね。それらがそれぞれに居館を与えられて住んでいるの。ちなみに居館がいくつあるかは聞かないでね?数えたこともないから」
「何か無限にありそうだね」
「そうね。大きいのから小さいのまで、ホント無限にありそうだわ」
俺たちは辺りを見回し、その建物の数の多さとその大小を見比べて、うんざりした。
そうして話している間にも、俺たちは王宮内を馬でどんどん移動していった。
途中で流れる川を二度ほど越え、さらに進んだ。
「まさか王宮内に川が流れているとは思わなかったよ。それも二本も」
俺が半ば呆れ気味に言った。
するとリリーサが何食わぬ顔で言った。
「そう?だって王宮よ。広いんだもの川ぐらい流れているわよ」
「いや、いくら何でも広すぎるんじゃない?ここまで大きくする必要ないと思うんだけど」
「だからさっき言ったじゃない。貴族が沢山いるのよ。仕方がないじゃない」
そうか?だったらその貴族が多すぎるんじゃないか?
俺はそんな素朴な疑問を抱いた。
だがそんな俺の思索を妨げるように、リリーサが言ったのだった。
「この先にマールの居館があるわ」
リリーサが、さも嬉しそうに言った。
そういえば先程から他の建物が見えなくなってきた。
やはり王女の居館ともなると特別なんだな。
それに周囲の生け垣が高くなっている。
咲いている花も、なにやら高級そうだ。
俺たちは高い生け垣の間を、ゆっくりと進んでいった。
するとリリーサが、前方を指さして言ったのだった。
「ほら、あれよ。あれがマールの居館よ」
俺はリリーサが指さす、生け垣が途切れた先を眺めた。
そこには、これまでに見てきた建物よりもひときわ大きな白亜の居館があった。
「あれか。さすがにデカいね。王女の居館ともなると」
「当然よ。貴族じゃなくて、王家だもの」
あ、今なんか貴族を下に見る発言したな。
そういうの良くないと思うよ。
貴族からして見たら腹が立つと思うし。
でもこれ言ったら、途端にリリーサの機嫌悪くなるだろうな。
特に今、良い気分みたいだし。
よし、とりあえず止めとこう。
俺は心の中でぐっと押しとどめて、言わなかった。
そうこうするうちに、俺たちはマール邸へとたどり着いたのであった。
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