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48 調査開始
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「あら、おはよう。遅いわよ。アリオン」
リリーサが俺の顔を見るや、速攻で言ってきた。
「……おはよう……」
俺は眠い目をこすりながら朝の挨拶を返す。
「おはよう!」「おはようございます」
マールとファルカンも笑顔で挨拶してきた。
俺も精一杯の笑顔を作って挨拶を返す。
「おはよう。朝から楽しそうだね」
マールとファルカンは、早速朝からリリーサと楽しそうに話をしている。
ファルカンは昨日、このマール邸に泊まった。
三人で積もる話でもあったのだろう。
おそらく夜半まで話し続けていたに違いない。
それにも関わらず、まだ話をしている。
そんなに話すことってあるのかね。
まあいいや。
俺は、リリーサたちとは少し離れたところにあるソファーに腰を下ろした。
朝一のため、まだゆったりとまどろんでいたかったからだった。
するとそこへレイナが額の汗を拭いながら颯爽と現れた。
どうやら朝の修練を終えた後らしい。
「起きたかアリオン」
「ああ、おはよう」
「おはよう。お前、まだ出かけなくていいのか?」
「俺、まだ朝飯前なんだけど」
「遅く起きたお前が悪い。罰として張り込み中にでも食うんだな」
今日の俺の予定は、リリーサ暗殺の黒幕候補の一人、ジトー侯爵の調査だ。
ジトー侯爵は遊び人で、いつも朝まで遊び回っているという話だ。
うん?待てよ。となると……。
「ジトー侯爵ってさ、もしかしてあまり朝遅いと、家に帰っちゃうんじゃ」
すると俺の後背からネルヴァの声が聞こえてきた。
「そうですね。そろそろ出発しませんと。いや、もう遅いくらいかもしれませんね」
「まずい。朝まで遊び回っているんじゃ、家に帰ったらそれ以降寝ずっぱりじゃないか?」
「そうです。なので急いでいただかないと」
すると遠くからマールが、耳ざとく俺たちの会話を聞き取ったのか、何やら言ってきた。
「どうしたのアリオン?もしかして何処かに出かけるの?」
「あ、ああ。ちょっとね、出かけてくるよ」
俺は少し言葉を濁した。
それというのも、マールとファルカンにはリリーサ暗殺未遂事件のことは伏せてある。
当然、俺たちが王宮に来た理由についても、リリーサがマールたちに会いたがったからということになっている。
故に俺たちが今日、暗殺未遂事件の黒幕候補の調査に出かけることなど、当然のことながら内緒の話なのであった。
するとリリーサが、うまく俺に話を合わせてきた。
「あ、ああ、そうなのよ。アリオンたちはちょっとお仕事があってね。出かけなくちゃならないのよ」
「そうなの?お仕事なら仕方がないけど、アリオンとも遊びたかったわ」
なんと可愛らしい。
判りやすくうなだれてしょげている。
俺はちょっと後ろ髪を引かれる思いながら言ったのだった。
「ごめんマール。帰ったら……そうだな。夕食の後にでも遊ぼう」
するとマールが喜色満面となった。
「本当!絶対よ!」
「ああ。約束するよ」
「うん!じゃあ待っているね」
「ああ。じゃあ行ってくるよ」
「行ってらっしゃい!」
マールが大きく手を振って俺を送り出してくれた。
見ると、リリーサやファルカンも手を振ってくれている。
俺は何となく嬉しくなり、本心から笑みを零してマール邸を後にしたのであった。
「さてと、ここら辺がいわゆる中心街か」
伊達に首都の中心ではない。
俺は朝っぱらであるにも関わらず、人通りが多いことに辟易しながら、辺りを見回した。
すると目の前にパン屋があった。
俺は、実にかぐわしい小麦の香ばしい匂いに誘われ、パン屋に足を向けた。
「いいね。種類がもの凄く豊富だ」
俺はトレイに手軽に食べられそうなおかずパンを乗せつつ、その品揃えの多さに感嘆の声を上げた。
すると俺の声を聞きつけ、パン屋のおばちゃんが話しかけてきた。
「そうだろう?家の品揃えは他とは比べものにならないよ」
俺はもう一つおかずパンをトレイの上に乗せると、カウンターへと持って行った。
「ホントだね。こんなに沢山の種類、俺は見たことがないよ」
するとおばちゃんがトレイを受け取りながら、破顔一笑して言った。
「うれしいこと言ってくれるね。これ、おまけしてあげるわ」
おばちゃんはそう言うと、俺のトレイに美味そうな肉詰めパンを載せてくれた。
「はは。ありがとう」
俺はお礼を言うと、お勘定をしつつ、おばちゃんに聞いてみた。
「ところで、ジトー侯爵って知ってる?」
「そりゃあもちろん知っているさ。でもそれがどうしたって言うのさ?」
「ジトー侯爵の良く行く店とか知らないかなって思って」
「ジトー侯爵の行く店かい?それなら、そうだね、この先の通りを曲がったところにある高級クラブのミゼットに最近じゃあよく来るって話だよ」
「へえ、そうなんだ。良く知っているね」
「そりゃあねえ。あんな色男、中々いないじゃないか。それにたま~にだけど、そのミゼットの帰りに家のパンを買って帰ることもあってね。とってもいい人だよ~。あたしら庶民にも当たりが良くってさ」
「へえ~そうなんだ?これはちょっと驚いたな。ところで今日はまだ来てない?」
「ああ、来てないよ。でも毎日来るわけじゃないよ。たま~にだよ」
「そうだったね。ならまあ、とりあえずそのミゼットだっけ?そこに行ってみるよ」
「ちょいと、ジトー侯爵に会ってどうするのさ?」
俺はニヤリと笑うと、パン屋を出ながら言ったのだった。
「なあに、ちょっとその男振りを見てやろうかと思ってさ」
リリーサが俺の顔を見るや、速攻で言ってきた。
「……おはよう……」
俺は眠い目をこすりながら朝の挨拶を返す。
「おはよう!」「おはようございます」
マールとファルカンも笑顔で挨拶してきた。
俺も精一杯の笑顔を作って挨拶を返す。
「おはよう。朝から楽しそうだね」
マールとファルカンは、早速朝からリリーサと楽しそうに話をしている。
ファルカンは昨日、このマール邸に泊まった。
三人で積もる話でもあったのだろう。
おそらく夜半まで話し続けていたに違いない。
それにも関わらず、まだ話をしている。
そんなに話すことってあるのかね。
まあいいや。
俺は、リリーサたちとは少し離れたところにあるソファーに腰を下ろした。
朝一のため、まだゆったりとまどろんでいたかったからだった。
するとそこへレイナが額の汗を拭いながら颯爽と現れた。
どうやら朝の修練を終えた後らしい。
「起きたかアリオン」
「ああ、おはよう」
「おはよう。お前、まだ出かけなくていいのか?」
「俺、まだ朝飯前なんだけど」
「遅く起きたお前が悪い。罰として張り込み中にでも食うんだな」
今日の俺の予定は、リリーサ暗殺の黒幕候補の一人、ジトー侯爵の調査だ。
ジトー侯爵は遊び人で、いつも朝まで遊び回っているという話だ。
うん?待てよ。となると……。
「ジトー侯爵ってさ、もしかしてあまり朝遅いと、家に帰っちゃうんじゃ」
すると俺の後背からネルヴァの声が聞こえてきた。
「そうですね。そろそろ出発しませんと。いや、もう遅いくらいかもしれませんね」
「まずい。朝まで遊び回っているんじゃ、家に帰ったらそれ以降寝ずっぱりじゃないか?」
「そうです。なので急いでいただかないと」
すると遠くからマールが、耳ざとく俺たちの会話を聞き取ったのか、何やら言ってきた。
「どうしたのアリオン?もしかして何処かに出かけるの?」
「あ、ああ。ちょっとね、出かけてくるよ」
俺は少し言葉を濁した。
それというのも、マールとファルカンにはリリーサ暗殺未遂事件のことは伏せてある。
当然、俺たちが王宮に来た理由についても、リリーサがマールたちに会いたがったからということになっている。
故に俺たちが今日、暗殺未遂事件の黒幕候補の調査に出かけることなど、当然のことながら内緒の話なのであった。
するとリリーサが、うまく俺に話を合わせてきた。
「あ、ああ、そうなのよ。アリオンたちはちょっとお仕事があってね。出かけなくちゃならないのよ」
「そうなの?お仕事なら仕方がないけど、アリオンとも遊びたかったわ」
なんと可愛らしい。
判りやすくうなだれてしょげている。
俺はちょっと後ろ髪を引かれる思いながら言ったのだった。
「ごめんマール。帰ったら……そうだな。夕食の後にでも遊ぼう」
するとマールが喜色満面となった。
「本当!絶対よ!」
「ああ。約束するよ」
「うん!じゃあ待っているね」
「ああ。じゃあ行ってくるよ」
「行ってらっしゃい!」
マールが大きく手を振って俺を送り出してくれた。
見ると、リリーサやファルカンも手を振ってくれている。
俺は何となく嬉しくなり、本心から笑みを零してマール邸を後にしたのであった。
「さてと、ここら辺がいわゆる中心街か」
伊達に首都の中心ではない。
俺は朝っぱらであるにも関わらず、人通りが多いことに辟易しながら、辺りを見回した。
すると目の前にパン屋があった。
俺は、実にかぐわしい小麦の香ばしい匂いに誘われ、パン屋に足を向けた。
「いいね。種類がもの凄く豊富だ」
俺はトレイに手軽に食べられそうなおかずパンを乗せつつ、その品揃えの多さに感嘆の声を上げた。
すると俺の声を聞きつけ、パン屋のおばちゃんが話しかけてきた。
「そうだろう?家の品揃えは他とは比べものにならないよ」
俺はもう一つおかずパンをトレイの上に乗せると、カウンターへと持って行った。
「ホントだね。こんなに沢山の種類、俺は見たことがないよ」
するとおばちゃんがトレイを受け取りながら、破顔一笑して言った。
「うれしいこと言ってくれるね。これ、おまけしてあげるわ」
おばちゃんはそう言うと、俺のトレイに美味そうな肉詰めパンを載せてくれた。
「はは。ありがとう」
俺はお礼を言うと、お勘定をしつつ、おばちゃんに聞いてみた。
「ところで、ジトー侯爵って知ってる?」
「そりゃあもちろん知っているさ。でもそれがどうしたって言うのさ?」
「ジトー侯爵の良く行く店とか知らないかなって思って」
「ジトー侯爵の行く店かい?それなら、そうだね、この先の通りを曲がったところにある高級クラブのミゼットに最近じゃあよく来るって話だよ」
「へえ、そうなんだ。良く知っているね」
「そりゃあねえ。あんな色男、中々いないじゃないか。それにたま~にだけど、そのミゼットの帰りに家のパンを買って帰ることもあってね。とってもいい人だよ~。あたしら庶民にも当たりが良くってさ」
「へえ~そうなんだ?これはちょっと驚いたな。ところで今日はまだ来てない?」
「ああ、来てないよ。でも毎日来るわけじゃないよ。たま~にだよ」
「そうだったね。ならまあ、とりあえずそのミゼットだっけ?そこに行ってみるよ」
「ちょいと、ジトー侯爵に会ってどうするのさ?」
俺はニヤリと笑うと、パン屋を出ながら言ったのだった。
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