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79 事後処理
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「ふう~、よかった。ちょっと心配したよ」
俺は、土煙の中から姿を現わしたリリーサに向かって、手で額の汗を拭いながら言った。
実はリリーサが危ないと思って、汗がにじみ出ていたんだ。
するとリリーサが、あごを傲然と上げて当然のように言い放った。
「心配する必要なんてないじゃない。まったく問題なかったわ!」
俺は思わず苦笑を浮かべた。
どう考えてもギリギリの戦いだったろうに。
まったく、負けず嫌いな性格だな。
俺はゆっくりとリリーサに近付いた。
すると、マール邸の中が少し騒がしくなっている。
リリーサもそのことに気づき、後ろを振り返った。
どうやらマール邸の中の衛士たちが、俺たちの争いに気付いて迫ってきているようだ。
たぶん、門衛が知らせたんだろう。
俺はゆっくりとリリーサに近付くと、その足下のメイデン王子に視線を落とした。
「それで、この後この人をどうする?」
リリーサは肩をすぼめた。
「そうね。とりあえずはマールの屋敷へ運ばせましょう。丁度衛士たちがこっちに来るみたいだし」
「そうだね。色々と尋問しないといけないしね」
すると、今度は俺の背後から声がした。
「いやあ~驚いた。お前たち凄いな~あんな多人数の兵隊さんたちをやっつけちまうなんて」
振り返って見ると、それは馬車屋のおじさんだった。
「おじさん、まだ帰っていなかったの?」
俺の問いに、おじさんが頭を掻きながら答えた。
「そりゃあだって、子供たちを残して帰れないだろうよ~」
俺はリリーサと顔を見合わせて笑った。
「大丈夫さ。言ったろ?俺たちは最強だって」
「そりゃあ確かに言っていたがなあ~、そんなの信じられなかったし、どうしようかと思ってたんだが、その人、メイデン王子だろ?マズいんじゃないか?」
するとリリーサが笑顔で言った。
「大丈夫よ。だってわたしを襲った張本人よ。問題ないわ」
するとおじさんが首を傾げた。
「お前さんを襲ったっていうか、お前さんたちが襲ったように思うんだが?」
「違うのよ。話すと長いんだけど」
するとその時、衛士たちが固く閉ざされた門を開けてこちらへ向かって駆けてきた。
「リリーサ王女様!これは一体どうしたことでしょうか?」
驚いた様子で周囲に転がる黒焦げの兵たちを眺めながら、衛士の一人が尋ねた。
リリーサはようやくメイデン王子の背中から降り、色々と説明した。
俺も補足し、衛士たちがうなずいた。
「は!では後のことは我らで対処いたします!」
「任せたわ。とりあえずメイデンは捕縛して屋敷に運んでちょうだい。それと、マールにはこのことは内緒よ。驚くといけないから」
「は!かしこまりました!」
リリーサは、事後を衛士たちに託すと、驚きまくって口を大きくあんぐりと開けたおじさんに向かって言ったのだった。
「実はそういうことなのよ。わかってもらえるかしら?」
おじさんは驚愕の表情のまま、何度も大きくうなずいた。
俺は苦笑しつつ、言った。
「一応おじさんは証人になるし、一緒に屋敷に来てもらったらどうだろう?」
「そうね。確かにメイデンがマール邸を襲った状況をしっかりと見ていたわけだし」
「そういうことだから、おじさん、一緒に来てもらってもいいかな?」
おじさんはまだ大きく口を開けたまま、うなずいた。
そうだよなあ。
驚くよなあ。
まさか自分が乗せていた人物が、王女様だとは思わないよなあ。
するとリリーサが、もうここに用はないとばかりに、屋敷に向かって歩き始めながら言った。
「じゃあそういうことだから、おじさん付いてきてね」
おじさんは何度も大きくうなずいた。
うん。当分このままだな。
なら放っておこう。
しばらくしたら慣れるさ。
俺はすでに屋敷に向かって歩き出したリリーサの背を追いかけ、声を掛けた。
「これだけの人数だと、結構手間がかかりそうだね?」
「そうね。たぶんだけど、ファルカンのところに応援を頼むんじゃないかしら」
「なるほど。両家を合わせれば、結構な衛士の数になるか」
「そういうことよ」
「しかしそれにしても、急転直下の展開だね?」
「そうね。でも主犯とおぼしきメイデンは捕まえたけど、黒幕はまだわからないし、ネルヴァたちの行方も気になるわ」
「うん。それなんだよな。ネルヴァたちは一体何処で、何をしているのか。それが本当に気掛かりなんだよなあ。メイデン王子が知っていてくれたら助かるんだけど」
「そうね。そのことも含めて、メイデンを尋問しましょう」
「そうだね。そうすることにしよう」
俺は大きくうなずくと、リリーサと共にマール邸の門を潜るのであった。
俺は、土煙の中から姿を現わしたリリーサに向かって、手で額の汗を拭いながら言った。
実はリリーサが危ないと思って、汗がにじみ出ていたんだ。
するとリリーサが、あごを傲然と上げて当然のように言い放った。
「心配する必要なんてないじゃない。まったく問題なかったわ!」
俺は思わず苦笑を浮かべた。
どう考えてもギリギリの戦いだったろうに。
まったく、負けず嫌いな性格だな。
俺はゆっくりとリリーサに近付いた。
すると、マール邸の中が少し騒がしくなっている。
リリーサもそのことに気づき、後ろを振り返った。
どうやらマール邸の中の衛士たちが、俺たちの争いに気付いて迫ってきているようだ。
たぶん、門衛が知らせたんだろう。
俺はゆっくりとリリーサに近付くと、その足下のメイデン王子に視線を落とした。
「それで、この後この人をどうする?」
リリーサは肩をすぼめた。
「そうね。とりあえずはマールの屋敷へ運ばせましょう。丁度衛士たちがこっちに来るみたいだし」
「そうだね。色々と尋問しないといけないしね」
すると、今度は俺の背後から声がした。
「いやあ~驚いた。お前たち凄いな~あんな多人数の兵隊さんたちをやっつけちまうなんて」
振り返って見ると、それは馬車屋のおじさんだった。
「おじさん、まだ帰っていなかったの?」
俺の問いに、おじさんが頭を掻きながら答えた。
「そりゃあだって、子供たちを残して帰れないだろうよ~」
俺はリリーサと顔を見合わせて笑った。
「大丈夫さ。言ったろ?俺たちは最強だって」
「そりゃあ確かに言っていたがなあ~、そんなの信じられなかったし、どうしようかと思ってたんだが、その人、メイデン王子だろ?マズいんじゃないか?」
するとリリーサが笑顔で言った。
「大丈夫よ。だってわたしを襲った張本人よ。問題ないわ」
するとおじさんが首を傾げた。
「お前さんを襲ったっていうか、お前さんたちが襲ったように思うんだが?」
「違うのよ。話すと長いんだけど」
するとその時、衛士たちが固く閉ざされた門を開けてこちらへ向かって駆けてきた。
「リリーサ王女様!これは一体どうしたことでしょうか?」
驚いた様子で周囲に転がる黒焦げの兵たちを眺めながら、衛士の一人が尋ねた。
リリーサはようやくメイデン王子の背中から降り、色々と説明した。
俺も補足し、衛士たちがうなずいた。
「は!では後のことは我らで対処いたします!」
「任せたわ。とりあえずメイデンは捕縛して屋敷に運んでちょうだい。それと、マールにはこのことは内緒よ。驚くといけないから」
「は!かしこまりました!」
リリーサは、事後を衛士たちに託すと、驚きまくって口を大きくあんぐりと開けたおじさんに向かって言ったのだった。
「実はそういうことなのよ。わかってもらえるかしら?」
おじさんは驚愕の表情のまま、何度も大きくうなずいた。
俺は苦笑しつつ、言った。
「一応おじさんは証人になるし、一緒に屋敷に来てもらったらどうだろう?」
「そうね。確かにメイデンがマール邸を襲った状況をしっかりと見ていたわけだし」
「そういうことだから、おじさん、一緒に来てもらってもいいかな?」
おじさんはまだ大きく口を開けたまま、うなずいた。
そうだよなあ。
驚くよなあ。
まさか自分が乗せていた人物が、王女様だとは思わないよなあ。
するとリリーサが、もうここに用はないとばかりに、屋敷に向かって歩き始めながら言った。
「じゃあそういうことだから、おじさん付いてきてね」
おじさんは何度も大きくうなずいた。
うん。当分このままだな。
なら放っておこう。
しばらくしたら慣れるさ。
俺はすでに屋敷に向かって歩き出したリリーサの背を追いかけ、声を掛けた。
「これだけの人数だと、結構手間がかかりそうだね?」
「そうね。たぶんだけど、ファルカンのところに応援を頼むんじゃないかしら」
「なるほど。両家を合わせれば、結構な衛士の数になるか」
「そういうことよ」
「しかしそれにしても、急転直下の展開だね?」
「そうね。でも主犯とおぼしきメイデンは捕まえたけど、黒幕はまだわからないし、ネルヴァたちの行方も気になるわ」
「うん。それなんだよな。ネルヴァたちは一体何処で、何をしているのか。それが本当に気掛かりなんだよなあ。メイデン王子が知っていてくれたら助かるんだけど」
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「そうだね。そうすることにしよう」
俺は大きくうなずくと、リリーサと共にマール邸の門を潜るのであった。
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