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第十五話 捕囚
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「うっ……うぅ……」
低いうめき声を上げながらガイウスは、ようやく長い眠りから目を覚ました。
「……う…………いってぇ……」
寝起きざまに首筋に強い鈍痛を覚えたガイウスは、首をさするため腕を動かそうと試みたが、「ガチャリ」という音がしただけで、彼の両手は思い通りには動いてくれなかった。
「手錠か」
だがまだ彼の意識は混濁した状態であったため、なぜ手錠に繋がれる羽目になったかは思い出せなかった。
そこで彼は意識をしっかり取り戻そうとして、何度も激しく瞬きをしたり、首を横に強く振ったりしながら、ゆっくりと身体を起こして周囲を見渡したものの、そこはまったく見覚えのない部屋の中だった。
「どこだ、ここは?」
ガイウスはそこでようやくはっきりとした意識を取り戻した。
そして後ろ手に手錠をはめられているため、ゆっくりとではあるがしっかりと立ち上がった。
さらには自らが今置かれている状況について、考察をはじめた。
「ここは地下室か。だがどこのだろうか」
そこでガイウスは、自らのもっとも新しい記憶を脳内から引き出すことに成功した。
「そうかっ!俺はあいつらにやられたんだ」
ガイウスは思い出し、悔しそうに唇を噛んだ。
だがそれよりも先に、現状分析をする事の方が重要だと思い直し、すぐに考察を再開した。
「ということはここはダロス王国か?いや、いくらなんでもダロスは遠い。最低でも数週間はかかるはずだ。その間、俺がずっと気絶していたとは考えづらい。ならここは――」
その時、金属製の扉に備え付けられた小窓が、甲高い金属のこすれる音と共にゆっくりと開いた。
「どうやらお目覚めのようだな」
小窓の奥から、聞き覚えのある声が響いた。
「まあね。あまりいい目覚めじゃなかったけどさ」
「そうか。それはすまなかったな。これでも出来るだけ手加減はしたんだがな」
ガイウスは改めて自らの敗北を、その時の勝者によって思い起こされ、悔しさを滲ませながら唇を噛んだ。
「ずいぶんと悔しそうだな。そうしていると普通の子供のようだが」
「普通じゃなくて悪かったな」
「別に悪くはないさ。ただ、不思議に思っているだけだ」
「俺も不思議に思っていることがある。ここはどこだ?ダロスじゃないようだけど?」
「お前なら、すぐに判るだろう」
「もう一つ。当然ユリアは無事なんだろうな?」
「ああ。心配には及ばない。今のところは、な」
「今のところ?どういう意味だ?ユリアはお前たちにとっては大事な道具だろう。あのクラリスって子の家となにかの取引に使うために誘拐したんだろうからな。ならば、最後まで大事に扱うんじゃないのか?」
「それもいずれ判るだろう。では、な」
言うなり、リーダーは素早く小窓を閉めた。
「おい!ちょっと待て!どういうことだ!?ユリアはなんのために誘拐されたんだ!?おいっ!聞いてんのかっ!?」
だがリーダーは答えず、立ち去る硬質な足音だけが石造りの室内に耳障りに響いた。
「くそっ!あの野郎。それにしてもユリア誘拐の動機はなんだ?ユリアを誘拐してわざわざ殺す意味なんてないだろうし。ちっ、だめだ。まったく判らない」
ガイウスは硬い石畳の床の上で、しばし煩悶した。
低いうめき声を上げながらガイウスは、ようやく長い眠りから目を覚ました。
「……う…………いってぇ……」
寝起きざまに首筋に強い鈍痛を覚えたガイウスは、首をさするため腕を動かそうと試みたが、「ガチャリ」という音がしただけで、彼の両手は思い通りには動いてくれなかった。
「手錠か」
だがまだ彼の意識は混濁した状態であったため、なぜ手錠に繋がれる羽目になったかは思い出せなかった。
そこで彼は意識をしっかり取り戻そうとして、何度も激しく瞬きをしたり、首を横に強く振ったりしながら、ゆっくりと身体を起こして周囲を見渡したものの、そこはまったく見覚えのない部屋の中だった。
「どこだ、ここは?」
ガイウスはそこでようやくはっきりとした意識を取り戻した。
そして後ろ手に手錠をはめられているため、ゆっくりとではあるがしっかりと立ち上がった。
さらには自らが今置かれている状況について、考察をはじめた。
「ここは地下室か。だがどこのだろうか」
そこでガイウスは、自らのもっとも新しい記憶を脳内から引き出すことに成功した。
「そうかっ!俺はあいつらにやられたんだ」
ガイウスは思い出し、悔しそうに唇を噛んだ。
だがそれよりも先に、現状分析をする事の方が重要だと思い直し、すぐに考察を再開した。
「ということはここはダロス王国か?いや、いくらなんでもダロスは遠い。最低でも数週間はかかるはずだ。その間、俺がずっと気絶していたとは考えづらい。ならここは――」
その時、金属製の扉に備え付けられた小窓が、甲高い金属のこすれる音と共にゆっくりと開いた。
「どうやらお目覚めのようだな」
小窓の奥から、聞き覚えのある声が響いた。
「まあね。あまりいい目覚めじゃなかったけどさ」
「そうか。それはすまなかったな。これでも出来るだけ手加減はしたんだがな」
ガイウスは改めて自らの敗北を、その時の勝者によって思い起こされ、悔しさを滲ませながら唇を噛んだ。
「ずいぶんと悔しそうだな。そうしていると普通の子供のようだが」
「普通じゃなくて悪かったな」
「別に悪くはないさ。ただ、不思議に思っているだけだ」
「俺も不思議に思っていることがある。ここはどこだ?ダロスじゃないようだけど?」
「お前なら、すぐに判るだろう」
「もう一つ。当然ユリアは無事なんだろうな?」
「ああ。心配には及ばない。今のところは、な」
「今のところ?どういう意味だ?ユリアはお前たちにとっては大事な道具だろう。あのクラリスって子の家となにかの取引に使うために誘拐したんだろうからな。ならば、最後まで大事に扱うんじゃないのか?」
「それもいずれ判るだろう。では、な」
言うなり、リーダーは素早く小窓を閉めた。
「おい!ちょっと待て!どういうことだ!?ユリアはなんのために誘拐されたんだ!?おいっ!聞いてんのかっ!?」
だがリーダーは答えず、立ち去る硬質な足音だけが石造りの室内に耳障りに響いた。
「くそっ!あの野郎。それにしてもユリア誘拐の動機はなんだ?ユリアを誘拐してわざわざ殺す意味なんてないだろうし。ちっ、だめだ。まったく判らない」
ガイウスは硬い石畳の床の上で、しばし煩悶した。
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