転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第八十二話 バザール

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 テーベより南下すること四日、ガイウス一行は首都アレキサンドラに到着した。

「さすがに首都だけあって、活気があるね」

 ガイウスはアレキサンドラの中心、王宮近くの広場で行われているバザールを見回しながら、感心したように言った。

「いろいろな出店があって、面白いね」

 アベルもきょろきょろと興味深げに辺りを見渡しつつ、楽しげに言った。

 バザールは、一軒辺りおよそ二メルクルほどの小さな間口でテントを張って出店していて、隣り合った店同士が鮨詰め状態となっていた。

「ざっと二、三百軒はありそうかな?」

 ガイウスは傍らのロデムルに問いかけた。

「それくらいはあろうかと」

「だよね。それにしてもいくら国全体が衰退しつつあるといっても、さすがに首都ともなると違うようだね」

「いえ坊ちゃま、それは違います」

「え?違う?」

「活気があるのは、この広場のバザールだけでございますので」

「そうなの?」

「そもそもは街中に点在していたはずの店々が、不景気のあおりで店を構えていられなくなり、次々と店を畳んでしまったのです。それで皆この広場に集まり、テントを張って商売をしているという訳です。ですから、このバザールこそがダロス王国衰退の象徴といっても、決して過言ではありません」

「ということは、アレキサンドラの街中には、お店がないの?」

「無論、まったくないという訳ではありません。しかし他の国々に比べますと、相当に少なくなっているといえます。さらに街のいたるところに空き家が点在している様子。もっともテーベに比べれば、いくらかましといえますが」

「テーベも?そうか、それは気がつかなかったよ。じゃあ街道沿いの村々もそうだったのかな?」

「いえ、田舎のほうが、まだましといえるでしょう。人間というものは貧しくなってまいりますと、まず贅沢品を控えるようになりますが、食料を買わないというわけにはまいりません。ですので農業中心経済の田舎の方が、まだましというわけです。それに田舎は、基本的に村単位で自給自足ですので」

「なるほどね。都市部のほうが色々な職種がある分、国の衰退に敏感に反応するってわけか」

「そうです。もっとも、じきに田舎の方も貧しくなってくるとは思いますが、まだいくらか余裕があると思われます」

「ふうん、じゃあ僕らが今向かっている病院なんてどうなのかな?」

「我々が目指す病院は、王立ですので問題はないかと思いますが、小さな医院などでは経営は苦しくなっていると思われます。と申しますのも、おそらく治療費を払えぬ患者が増えているだろうと考えられますので」

「そうか。なるほど」

 そうこうする内に一行は広場を通り抜け、南の大通りへと差し掛かった。

 ガイウスは辺りを見回し、ひときわ高い建物を発見した。

「あれかな?件の王立中央病院は」

 ガイウスの言葉に、カルラが反応した。

「さあて、どうだかね。とはいえ、他にそれらしい建物があるわけじゃなし、あそこへ行ってみる他ないようだね」

「じゃあとりあえず行ってみようよ」

 ガイウスの提案に反対する者はなく、一行は広場南のひときわ高層の建物を目指して進んだ。
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