転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第八十三話 アレキサンドラ中央病院

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 病院へと向かう途中、ガイウスはロデムルから離れ、カルラに耳打ちするようにひそひそと聞いた。 

「ところで病院ってさ、治癒魔法士ヒーラーが魔法で治すんだよね?なら皆一瞬で治っちゃうんじゃないの?」

 ガイウスの疑問に、カルラが馬鹿にしたように答えた。

「お前さん、そんなこともしらないのかい。外傷なんかは腕の立つ治癒魔法士ならそういうこともあるが、内的な病気ともなれば、少しずつゆっくりと治すしかないだろうよ」

「ああ、そうなのか。じゃあロンバルドが治癒魔法を使えるって話だけど――」

「ふん!あいつの治癒魔法なんざ、そこそこでしかないよ。このあたしが訓練してそこそこなんだから、つまりは才能がないってことさね」

「薬とかは使わないの?」

「使うさ。ただ大して効き目がないからね。まあしょせんは副次的なものさね」

「なるほどね。やっぱりこっちの世界は医学も弱いんだな」

「あっちの世界は確か、科学、とかいうのが発展してるんだっけね?」

「あっちは魔法がまったく使えないかわりに、科学が発展してる。こっちはおそらく魔法が使えるために、科学が発展しなかったんだろうと思う」


 ガイウスが、カルラとひそひそ話しをしてる内に、一行は目的地へと到着した。


「どうやらここで間違いなさそうだね。それにしても、近くで見ると本当に大きな建物だね」

 ガイウスは目の前に聳え立つ白亜の塔を見上げ、感嘆の声を漏らした。

 カルラは一歩前へと進み、「ダロス王立アレキサンドラ中央病院」と書かれた大理石の石板を見て言った。

「さて、どうするかねえ。正直にバース村の生き残りを探しにきたと言ったところで、教えちゃくれないだろうしねえ」

 ガイウスは意外そうな表情を浮かべた。

「そうなのかなあ?だってあの噂が本当なら、偶然通りかかった旅人に、この病院に運ぶって言っちゃってる訳でしょ?なら別に隠してないんじゃないの?」

「そうかもしれないね。だがその時は、つい咄嗟に口をついて出てしまっただけかもしれないよ。そしてその後、事件は重要機密となり、生き残りは重要参考人となってしまった。なんてことだったかもしれないだろう?」

「つまり最初は本当に調査するつもりで行って、調査してみたらなんらかの機密事項を発見してしまったと?」

「かもしれない、ということさ。なにしろ他にも可能性でいったら、いくらでも考えられるんだ。うかつなことは出来ないよ」

「つまり?」

「バース村の名前を出した途端に、警戒されるかもしれないってことさ」

「じゃあどうする?バース村の名前も出さずに探し出すなんてことが、果たして出来ると思うの?」

「無理だね」

 カルラは間髪を容れずに言った。

 それをガイウスがからかいと思い、思わず大きな声を出した。

「じゃあ!」

 カルラは口角を上げ、にやりと不敵に笑った。

「なあに、味方を作ればいいのさ。味方を、な」
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