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第九十一話 煉瓦亭にて
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「このファイルから察するに、命に別状はなさそうだね」
ガイウスは改めてファイルをめくりながら、生き残りの病状についての考察を開始した。
「はい、お坊ちゃま。ですので転院が出来たものと思われます」
ナスリが隣のテーブル席のソファーに腰を下ろしながら答えた。
「ただ、意識は戻っていないようだね?」
「はい、お坊ちゃま。どうやら原因不明のようです」
「あのさ、ナスリ。いちいちお坊ちゃまって付けなくていいんだけど」
「いえ、そうは参りませんお坊ちゃま。これは臣下としてのけじめですので」
「あっそ、まあナスリがそうしたいって言うならそれでいいや」
「はい、ありがとうございます。お坊ちゃま」
ガイウスは、カルラとロデムルが必死に笑いをこらえているのを横目で見て、ナスリに聞こえないように軽く舌打ちをした。
「じゃあ話の続きだけど、このバース村の生き残りのロメロさんって人。アベルが言うには村一番の変わり者だそうだけど、カルラだったら魔法でこの人の意識を回復させることが出来るかな?」
「難しいだろうね。あたしも一応一通りの治癒魔法は使えるが、そもそもは攻撃魔法の方に特化しているからね。ダロス王国の王立病院の魔導師たちで駄目だったものを、あたしが治せるとは思えないね」
「そうか。なら転院先に忍び込んだところで、どうしようもないってことか」
「いや、そうでもないだろう」
「えっ?何か他に方法でもあるの?」
「一人可能性のある男が、いる」
「えっ?もしかして、僕?」
「はんっ!調子に乗るんじゃないよ!お前さん治癒魔法はほとんどぺーぺーみたいなもんじゃないか!それをよくもまあ、いけしゃあしゃあと言えたもんだねえ。恥ずかしくないのか、この馬鹿!」
ガイウスはカルラの口撃に、久しぶりに顔面を激しく痙攣させ、白目を剥く状態となった。
そのため、すかさずロデムルが助け舟を出した。
「カルラ様、どうぞその辺でご容赦を。それで、その心当たりの人物とは、もしやシグナスのことでしょうか?」
「ふん、さすがだねロデムル。その通りさ。この馬鹿ガイウスがテーベでみすみす逃げられたシグナスは、あたしとは真逆でね。一通りの攻撃魔法も扱えるが、その専門は治癒魔法の方なのさ」
「ということは、つまりカルラ様がテーベで見つけたシグナスの痕跡とは――」
「恐らくは、その生き残りのロメロの意識を回復させるために、呼ばれたんだと思うね」
「なるほど、では点と点が繋がりましたな」
「そうだね。あとはどうやって忍び込むかだが――」
するとようやくそこでガイウスが、瀕死の状態からなんとか回復した。
「カルラなら簡単でしょ?」
「お前さん、本当に何も知らないんだねえ。まあ仕方ないっちゃ仕方がないがね。あそこには結界が張られてるんだよ。それも厳重なのがね」
「結界か。それは、カルラにも破れないほどのものなの?」
「絶対に無理って訳じゃないがね。かなり難しいね。なにせ結界張るのに特化してる奴らが、何十人単位で張り巡らしているからね」
「そうなのか。じゃあ、どうする?」
「正面突破しかないね」
「どうやって!?」
「忘れたのかい?あたしらはエルムールで、このダロス王国の大貴族たるシュトラウス公爵から、書状を書いてもらったんだよ?」
「そうか!あの書状があれば、ダロス王国内の何処へでも行けるんだった!」
「そうさ、何処へでもだ。たとえそれが、ダロス王国の王が住まう、王宮の中であっても、な」
ガイウスは改めてファイルをめくりながら、生き残りの病状についての考察を開始した。
「はい、お坊ちゃま。ですので転院が出来たものと思われます」
ナスリが隣のテーブル席のソファーに腰を下ろしながら答えた。
「ただ、意識は戻っていないようだね?」
「はい、お坊ちゃま。どうやら原因不明のようです」
「あのさ、ナスリ。いちいちお坊ちゃまって付けなくていいんだけど」
「いえ、そうは参りませんお坊ちゃま。これは臣下としてのけじめですので」
「あっそ、まあナスリがそうしたいって言うならそれでいいや」
「はい、ありがとうございます。お坊ちゃま」
ガイウスは、カルラとロデムルが必死に笑いをこらえているのを横目で見て、ナスリに聞こえないように軽く舌打ちをした。
「じゃあ話の続きだけど、このバース村の生き残りのロメロさんって人。アベルが言うには村一番の変わり者だそうだけど、カルラだったら魔法でこの人の意識を回復させることが出来るかな?」
「難しいだろうね。あたしも一応一通りの治癒魔法は使えるが、そもそもは攻撃魔法の方に特化しているからね。ダロス王国の王立病院の魔導師たちで駄目だったものを、あたしが治せるとは思えないね」
「そうか。なら転院先に忍び込んだところで、どうしようもないってことか」
「いや、そうでもないだろう」
「えっ?何か他に方法でもあるの?」
「一人可能性のある男が、いる」
「えっ?もしかして、僕?」
「はんっ!調子に乗るんじゃないよ!お前さん治癒魔法はほとんどぺーぺーみたいなもんじゃないか!それをよくもまあ、いけしゃあしゃあと言えたもんだねえ。恥ずかしくないのか、この馬鹿!」
ガイウスはカルラの口撃に、久しぶりに顔面を激しく痙攣させ、白目を剥く状態となった。
そのため、すかさずロデムルが助け舟を出した。
「カルラ様、どうぞその辺でご容赦を。それで、その心当たりの人物とは、もしやシグナスのことでしょうか?」
「ふん、さすがだねロデムル。その通りさ。この馬鹿ガイウスがテーベでみすみす逃げられたシグナスは、あたしとは真逆でね。一通りの攻撃魔法も扱えるが、その専門は治癒魔法の方なのさ」
「ということは、つまりカルラ様がテーベで見つけたシグナスの痕跡とは――」
「恐らくは、その生き残りのロメロの意識を回復させるために、呼ばれたんだと思うね」
「なるほど、では点と点が繋がりましたな」
「そうだね。あとはどうやって忍び込むかだが――」
するとようやくそこでガイウスが、瀕死の状態からなんとか回復した。
「カルラなら簡単でしょ?」
「お前さん、本当に何も知らないんだねえ。まあ仕方ないっちゃ仕方がないがね。あそこには結界が張られてるんだよ。それも厳重なのがね」
「結界か。それは、カルラにも破れないほどのものなの?」
「絶対に無理って訳じゃないがね。かなり難しいね。なにせ結界張るのに特化してる奴らが、何十人単位で張り巡らしているからね」
「そうなのか。じゃあ、どうする?」
「正面突破しかないね」
「どうやって!?」
「忘れたのかい?あたしらはエルムールで、このダロス王国の大貴族たるシュトラウス公爵から、書状を書いてもらったんだよ?」
「そうか!あの書状があれば、ダロス王国内の何処へでも行けるんだった!」
「そうさ、何処へでもだ。たとえそれが、ダロス王国の王が住まう、王宮の中であっても、な」
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