転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第九十二話 王宮

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「お前たち、何者だ?」

 遥か高く聳え立つ冷たい石組みの城門の前で、重装備の衛兵たちが、ガイウスたち三人の行く手を阻もうと、手に持つ長槍を交差させた。

 ガイウスは、ナスリにアベルの世話を頼み、首都アレキサンドラの中心に位置する王宮へ、カルラとロデムルを伴い、訪れていた。

 すると三人の先頭を行くロデムルが、恭しく頭を下げつつ、手にした書状を衛兵に手渡した。

「うん?これは!いや、失礼した。シュトラウス公爵のお身内の方とは露知らず、とんだご無礼をいたしました。どうかご容赦を」

 衛兵は、書状を見るなり先ほどまでの剣呑な態度とはうって変わった礼儀正しい物言いとなった。

「いえ、とんでもない。お役目ご苦労様です」

 ロデムルがまたも恭しく頭を垂れると、衛兵も一礼を返した。

「どうぞ、お通りください」

 衛兵の言葉にロデムルは三度目のお辞儀をすると、悠然とした態度で歩き始めた。

 ガイウスとカルラも衛兵にお辞儀をしつつ、その脇を通り抜けてロデムルに続いた。

 そして三人は、難なく難攻不落の城門を潜り抜けた。

 
「ずいぶんとあっさり通れたね」

 ガイウスは少々拍子抜けした様子で言った。

「この国は、強烈なまでの階級社会だからね。大貴族の書状なんてものがあろうもんなら、どこへだって入れるのさ」

 カルラは少々吐き捨てるような物言いで言った。

「なるほどね。本当にダロスってのは、ヴァレンティンとは何もかも違う国なんだね」

「そうさな。ヴァレンティンは逆にもっとも進歩的な国だからね。この二国で比較すると、ダロスの問題点が一層浮き彫りになるね」

「ところで、この後はどうするの?」

「結界の中に入った以上、魔法を使えば気付かれるからね。足で探るしかないね」

「了解。とはいえ、一体どこを探ればいいのか。ちょっと見当もつかないな」

「そうだねえ、なにせ途方もなく広いからねえ。でもまあ、手当たり次第に探っていくしかないね」

「やっぱそうなる?まあ、そうなるか。ちょっとうんざりだけれども」

 ガイウスは、城門を潜り抜けた先に広がる広大な庭園を歩きながら、自分たちの進行方向に存在する途轍もなく巨大な宮殿を眺め、深く大きなため息を吐いた。

「僕、こんなにでかい建物見たことないよ。ねえ、宮殿ってみんなこんなに大きなものなの?」

「いいや、ここが特別なだけで他の国はそんなことはないさ。この国の連中は、たぶん昔っから見栄っ張りなんだろうね」

「やっぱりね。なんでこんなにでかいの造るかなあ。ほんと迷惑なんだけど」

「まあ、ぼやいたところで始まらん。しらみつぶしに探るよ」

 ガイウスは、カルラの言葉に一応納得をしてうなづいたものの、次いで再び深いため息を吐いた。
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