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第九十三話 怠慢
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1
「あっちの方に通用口があるよ。まあ別に正面玄関から入ってもいいけど、なんとなく面倒そうだし、通用口にしない?」
ガイウスはシュトラウス公爵の書状を持っているとはいえ、漠然とした不安を抱き、通用口からの侵入を提案した。
「ふむ、そうさな。確かに正面玄関から入れば、用向きはなんだとか、こちらの素性であるとか、書状があっても色々と聞き込まれそうだしな。そうなればぼろが出ないとも限らん。いいだろう、通用口から入るとしよう」
カルラも、ガイウスの提案に同意した。
そうなればロデムルにももちろん異論があるわけもなく、一行は巨大に聳え立つ宮殿の西の端に位置する通用口へと向かうこととなった。
「それにしても遠いね。まだ遥か彼方だよ」
「ぶちぶちと文句ばっかり言うんじゃないよ!これからこの広い宮殿を隈なく探すんだからね。わかってんのかい?」
「はーい。おとなしく歩きまーす」
「ふん、ちょっと言い方が気に食わないが、まあいいだろう。さあ行くよ」
カルラに促され、二人は後に続いた。
そしてしばらくの間、本当に皆無言となって歩いた。
時間にしておよそ十五分、ようやく一行は目的地の宮殿西の通用口近くへと到着していた。
「ふう。やっとだよ。まったくもう」
「また文句かい!うるさいよ、まったく!」
「いままでずっと黙って歩いたんだから、少しぐらいいいじゃないか」
「お前さんの愚痴は聞き飽きたんだよ。さあ、さっさと中に入るよ」
カルラがそう言うと同時に、後ろで控えていたロデムルが、そそくさと早足で通用口へと向かった。
そして通用口へたどり着くと、高さ四M程もある巨大な扉の前にそそり立つ衛兵に向かって、手際よく書状を見せた。
衛兵は書状を軽く覗き込むとすぐさま警戒を解き、扉の前から退いた。
ロデムルは流麗な動作で扉を開くと一礼し、カルラとガイウスを先に建物の中へと招じ入れた。
ロデムルは二人が中へ入ったのを確認すると、垂れていた頭を上げ、自らの身体を中へと滑り込ませると、音も立てずにドアをすっと閉めた。
一行はついに、ダロス王国宮殿内へと足を踏み入れた。
2
「通用口なのに、ずいぶんと広いね」
ガイウスは扉を抜けた先の部屋を見回し、半ば呆れ気味に呟いた。
そこは広さ三百平方M程もある、巨大な空間であった。
「ふむ、なるほど。どうやらここはいろいろな物資を搬入する部屋のようだね。どうりで扉があまりにも巨大な造りだったわけだ」
カルラの言葉に、ロデムルが続いた。
「小麦に塩、ワインなどが大量に搬入されているようです。おそらく一旦業者がここに搬入し、後に宮殿内の係りの者が所定の場所へ移動するのでしょうが、あまりにも物資が多岐にわたり大量に置いてありますな」
「どういう意味?」
ガイウスがロデムルの言葉の真意を判りかねて尋ねた。
「それぞれの物資を搬入してきた業者は、おそらくは同一ではないはずです。小麦は小麦業者が、ワインならばワイン業者が運んできたはずです。ならば別々の業者がそれぞれ別々の時間に納入しに来たにもかかわらず、宮殿内の係りの者がすぐに所定の場所に運ばず、ここにほったらかしにしているのでは、と思ったものですから」
「ああ、つまり怠慢ってことか」
「おそらくダロスの憂鬱は、この宮殿内にも蔓延しているということでしょう」
「そりゃ衰退するわ」
ガイウスは、今度こそは完全にあきれ果てた。
「あっちの方に通用口があるよ。まあ別に正面玄関から入ってもいいけど、なんとなく面倒そうだし、通用口にしない?」
ガイウスはシュトラウス公爵の書状を持っているとはいえ、漠然とした不安を抱き、通用口からの侵入を提案した。
「ふむ、そうさな。確かに正面玄関から入れば、用向きはなんだとか、こちらの素性であるとか、書状があっても色々と聞き込まれそうだしな。そうなればぼろが出ないとも限らん。いいだろう、通用口から入るとしよう」
カルラも、ガイウスの提案に同意した。
そうなればロデムルにももちろん異論があるわけもなく、一行は巨大に聳え立つ宮殿の西の端に位置する通用口へと向かうこととなった。
「それにしても遠いね。まだ遥か彼方だよ」
「ぶちぶちと文句ばっかり言うんじゃないよ!これからこの広い宮殿を隈なく探すんだからね。わかってんのかい?」
「はーい。おとなしく歩きまーす」
「ふん、ちょっと言い方が気に食わないが、まあいいだろう。さあ行くよ」
カルラに促され、二人は後に続いた。
そしてしばらくの間、本当に皆無言となって歩いた。
時間にしておよそ十五分、ようやく一行は目的地の宮殿西の通用口近くへと到着していた。
「ふう。やっとだよ。まったくもう」
「また文句かい!うるさいよ、まったく!」
「いままでずっと黙って歩いたんだから、少しぐらいいいじゃないか」
「お前さんの愚痴は聞き飽きたんだよ。さあ、さっさと中に入るよ」
カルラがそう言うと同時に、後ろで控えていたロデムルが、そそくさと早足で通用口へと向かった。
そして通用口へたどり着くと、高さ四M程もある巨大な扉の前にそそり立つ衛兵に向かって、手際よく書状を見せた。
衛兵は書状を軽く覗き込むとすぐさま警戒を解き、扉の前から退いた。
ロデムルは流麗な動作で扉を開くと一礼し、カルラとガイウスを先に建物の中へと招じ入れた。
ロデムルは二人が中へ入ったのを確認すると、垂れていた頭を上げ、自らの身体を中へと滑り込ませると、音も立てずにドアをすっと閉めた。
一行はついに、ダロス王国宮殿内へと足を踏み入れた。
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「通用口なのに、ずいぶんと広いね」
ガイウスは扉を抜けた先の部屋を見回し、半ば呆れ気味に呟いた。
そこは広さ三百平方M程もある、巨大な空間であった。
「ふむ、なるほど。どうやらここはいろいろな物資を搬入する部屋のようだね。どうりで扉があまりにも巨大な造りだったわけだ」
カルラの言葉に、ロデムルが続いた。
「小麦に塩、ワインなどが大量に搬入されているようです。おそらく一旦業者がここに搬入し、後に宮殿内の係りの者が所定の場所へ移動するのでしょうが、あまりにも物資が多岐にわたり大量に置いてありますな」
「どういう意味?」
ガイウスがロデムルの言葉の真意を判りかねて尋ねた。
「それぞれの物資を搬入してきた業者は、おそらくは同一ではないはずです。小麦は小麦業者が、ワインならばワイン業者が運んできたはずです。ならば別々の業者がそれぞれ別々の時間に納入しに来たにもかかわらず、宮殿内の係りの者がすぐに所定の場所に運ばず、ここにほったらかしにしているのでは、と思ったものですから」
「ああ、つまり怠慢ってことか」
「おそらくダロスの憂鬱は、この宮殿内にも蔓延しているということでしょう」
「そりゃ衰退するわ」
ガイウスは、今度こそは完全にあきれ果てた。
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