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第百四話 黒い物体
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それは突然、ロンバルドの遥か前方に音もなく現れた。
ロンバルドは初め、高く聳え立つ木々が作る大きな影くらいに思っていた。
だがそれはすぐに自分の見間違いで、何か得体の知れぬ黒い物体が木々の根元にいるのだと判った。
だがそれが何なのかまでは、よくわからなかった。
かろうじて判ったのは、その物体が黒褐色に光り輝いていることと、とても大きな体躯であったことくらいだった。
「おい、気をつけろ。この先に何かいる」
ロンバルドは声をひそめて、後の二人に注意を促した。
次いで腰をかがめて、遥か前方の黒い物体を注視した。
シェスターとロトスも、ロンバルドに習い、腰を落とした。
とその時、黒い物体が突然上へと大きく伸び上がった。
ロンバルドは驚き、木々の隙間の陰から伸びあがったそれを、まじまじと凝視した。
「動物であることは間違いなさそうだ」
するとシェスターが、ロンバルドの背中越しにそれを見て、呟いた。
「熊、ですかね?」
ロンバルドはゆっくりと首をひねった。
「どうかな?確かにそうとも見えるが、そうでないようにも……」
と突然、黒い物体が忽然と消えた。
文字通り、瞬時にその巨体が跡形もなく消え失せた。
ロンバルドたちは驚き、目を見張って凝視するも、やはり黒い物体はすでにそこにはいなかった。
「一体、何処に……」
ロンバルドがそう呟くように言った瞬間だった。
彼の目の前に、あの黒い物体が忽然と現れた。
ロンバルドはあまりのことに、静寂な森を切り裂くかのような悲鳴を上げた。
「うわあああーーーーーーー!!!」
ロンバルドは湧き上がる恐怖を押し隠して腰に佩いた剣を抜き放つと同時に、目の前の黒い巨体の正体を見定めようと、深く凝視した。
「やはり、熊か?」
すると突然、黒い物体が不愉快そうに口を開いた。
「誰が熊じゃ。失礼な」
「しゃ、しゃべった!?」
ロンバルドは予想もしない事態に、完全に狼狽した。
後ろのシェスターやロトスも同様で、あまりのことに驚き過ぎて言葉が出ず、口を大きくあんぐりと開けている。
ロンバルドはごくりと口内に溜まった唾を飲み込むと、必死に絞り出すようにして言った。
「お前は、一体なんなのだ!?」
すると黒い物体は口を大きく歪ませ、さらに不機嫌そうに言った。
「ふん、このわしをお前呼ばわりとは重ね重ね失礼な奴じゃな。だがまあよい。わしの名は――わしの名は――う~ん、いささか長すぎて、忘れてしまったようだわい」
黒い物体は諦めの表情を浮かべてそう言うなり、鼻を鳴らして言った。
「わしのことは、エル様とでも呼ぶがいい」
ロンバルドは初め、高く聳え立つ木々が作る大きな影くらいに思っていた。
だがそれはすぐに自分の見間違いで、何か得体の知れぬ黒い物体が木々の根元にいるのだと判った。
だがそれが何なのかまでは、よくわからなかった。
かろうじて判ったのは、その物体が黒褐色に光り輝いていることと、とても大きな体躯であったことくらいだった。
「おい、気をつけろ。この先に何かいる」
ロンバルドは声をひそめて、後の二人に注意を促した。
次いで腰をかがめて、遥か前方の黒い物体を注視した。
シェスターとロトスも、ロンバルドに習い、腰を落とした。
とその時、黒い物体が突然上へと大きく伸び上がった。
ロンバルドは驚き、木々の隙間の陰から伸びあがったそれを、まじまじと凝視した。
「動物であることは間違いなさそうだ」
するとシェスターが、ロンバルドの背中越しにそれを見て、呟いた。
「熊、ですかね?」
ロンバルドはゆっくりと首をひねった。
「どうかな?確かにそうとも見えるが、そうでないようにも……」
と突然、黒い物体が忽然と消えた。
文字通り、瞬時にその巨体が跡形もなく消え失せた。
ロンバルドたちは驚き、目を見張って凝視するも、やはり黒い物体はすでにそこにはいなかった。
「一体、何処に……」
ロンバルドがそう呟くように言った瞬間だった。
彼の目の前に、あの黒い物体が忽然と現れた。
ロンバルドはあまりのことに、静寂な森を切り裂くかのような悲鳴を上げた。
「うわあああーーーーーーー!!!」
ロンバルドは湧き上がる恐怖を押し隠して腰に佩いた剣を抜き放つと同時に、目の前の黒い巨体の正体を見定めようと、深く凝視した。
「やはり、熊か?」
すると突然、黒い物体が不愉快そうに口を開いた。
「誰が熊じゃ。失礼な」
「しゃ、しゃべった!?」
ロンバルドは予想もしない事態に、完全に狼狽した。
後ろのシェスターやロトスも同様で、あまりのことに驚き過ぎて言葉が出ず、口を大きくあんぐりと開けている。
ロンバルドはごくりと口内に溜まった唾を飲み込むと、必死に絞り出すようにして言った。
「お前は、一体なんなのだ!?」
すると黒い物体は口を大きく歪ませ、さらに不機嫌そうに言った。
「ふん、このわしをお前呼ばわりとは重ね重ね失礼な奴じゃな。だがまあよい。わしの名は――わしの名は――う~ん、いささか長すぎて、忘れてしまったようだわい」
黒い物体は諦めの表情を浮かべてそう言うなり、鼻を鳴らして言った。
「わしのことは、エル様とでも呼ぶがいい」
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