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第百五話 エル
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「エルだと!?」
ロンバルドは驚愕の表情で、目の前の黒い巨大な生物に問いかけた。
それというのも、エルという名と、この巨大な姿形に聞き覚えがあったからだった。
それは、メリッサ大陸全土に古くから伝わる土着の神話に登場する『神』であった。
「こらこら、呼び捨てにするでない。様を付けんかい。様を」
エルはあごを上げて首を後ろに反らし、ずいぶんと偉そうな態度で口をむにゅっとひん曲げながら、ロンバルドを諫めた。
「エル――黒猫?ならば、本当にあの神話のエル?まさか、実在するというのか……」
ロンバルドは目を何度もしばたかせながら記憶の断片をつなぎ合わせて、自らを『エル』と名乗る黒い生物の正体についての解答を得ようとした。
「だから、様を付けろと言うておろうが、わからん奴だな。次に呼び捨てにしよったら、ぶっ叩くぞ?」
「あっ、いや、その、エル様、本当にあなたは神話に出てくる猫の王である、あのエル様なのですか?」
「神話か。まあそうじゃな。わしがそのエルじゃ」
ロンバルドは驚きのあまり二の句が継げず、ただ黙ってエルの巨体をぼうっと眺めた。
それはシェスターたちも同様で、あまりのことに思考が止まり、何事が起きたのかわからないでいた。
すると、その三人の様を見たエルが、口元をむにゅっと曲げつつ言った。
「なんか言わんかい」
「あ、いや、その、なんというか、言葉が出ないと言うか」
「お前さん、さっきからノリが悪いのう」
「はあ」
「後ろの奴らもじゃ。お前ら揃いも揃ってノリが悪いぞ。まあ、突然このわしが目の前に現れたら驚くのも無理はないが、それにしてもお前ら本当にノリが悪いのう」
ロンバルドは二の句が継げず、かといってシェスターたちも固まっているため、エルがまた口元をむにゅっと曲げた。
「だから、なんか言わんかい」
一行の代表者たるロンバルドが、慌てて頭をフル回転させ、問いかけた。
「いや、その、神話世界の住人たるあなたが、なぜこんな所に?」
「それはこちらの台詞じゃ。おぬしらわしの庭で何をしておった?」
「庭?このルーグの森はあなたの庭なのですか?」
エルは小首をかしげ、訝しげに言った。
「ルーグ?ここは今そういう名で呼ばれておるのか?」
ロンバルドは後ろを振り返り、ロトスに助けを求めた。
ロトスは心底驚ききっていたものの、ロンバルドの視線を受け、怯えながらも答えた。
「あ、あのう、わたすはそう聞いておりますでっす。わたす自身は詳しく知っておるわけではありませんが、前にこの森の横を通ったときに、同僚に聞いたのでっす。この森は、かつて栄えた古代タミール族の聖地で、名はルーグと……」
「タミール!懐かしい名前じゃな。じゃが、おかしいのう。奴らもこの地をそんな名では呼んでおらんかったがな」
ロンバルドは驚愕の表情で、目の前の黒い巨大な生物に問いかけた。
それというのも、エルという名と、この巨大な姿形に聞き覚えがあったからだった。
それは、メリッサ大陸全土に古くから伝わる土着の神話に登場する『神』であった。
「こらこら、呼び捨てにするでない。様を付けんかい。様を」
エルはあごを上げて首を後ろに反らし、ずいぶんと偉そうな態度で口をむにゅっとひん曲げながら、ロンバルドを諫めた。
「エル――黒猫?ならば、本当にあの神話のエル?まさか、実在するというのか……」
ロンバルドは目を何度もしばたかせながら記憶の断片をつなぎ合わせて、自らを『エル』と名乗る黒い生物の正体についての解答を得ようとした。
「だから、様を付けろと言うておろうが、わからん奴だな。次に呼び捨てにしよったら、ぶっ叩くぞ?」
「あっ、いや、その、エル様、本当にあなたは神話に出てくる猫の王である、あのエル様なのですか?」
「神話か。まあそうじゃな。わしがそのエルじゃ」
ロンバルドは驚きのあまり二の句が継げず、ただ黙ってエルの巨体をぼうっと眺めた。
それはシェスターたちも同様で、あまりのことに思考が止まり、何事が起きたのかわからないでいた。
すると、その三人の様を見たエルが、口元をむにゅっと曲げつつ言った。
「なんか言わんかい」
「あ、いや、その、なんというか、言葉が出ないと言うか」
「お前さん、さっきからノリが悪いのう」
「はあ」
「後ろの奴らもじゃ。お前ら揃いも揃ってノリが悪いぞ。まあ、突然このわしが目の前に現れたら驚くのも無理はないが、それにしてもお前ら本当にノリが悪いのう」
ロンバルドは二の句が継げず、かといってシェスターたちも固まっているため、エルがまた口元をむにゅっと曲げた。
「だから、なんか言わんかい」
一行の代表者たるロンバルドが、慌てて頭をフル回転させ、問いかけた。
「いや、その、神話世界の住人たるあなたが、なぜこんな所に?」
「それはこちらの台詞じゃ。おぬしらわしの庭で何をしておった?」
「庭?このルーグの森はあなたの庭なのですか?」
エルは小首をかしげ、訝しげに言った。
「ルーグ?ここは今そういう名で呼ばれておるのか?」
ロンバルドは後ろを振り返り、ロトスに助けを求めた。
ロトスは心底驚ききっていたものの、ロンバルドの視線を受け、怯えながらも答えた。
「あ、あのう、わたすはそう聞いておりますでっす。わたす自身は詳しく知っておるわけではありませんが、前にこの森の横を通ったときに、同僚に聞いたのでっす。この森は、かつて栄えた古代タミール族の聖地で、名はルーグと……」
「タミール!懐かしい名前じゃな。じゃが、おかしいのう。奴らもこの地をそんな名では呼んでおらんかったがな」
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