転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

文字の大きさ
128 / 153

第百二十六話 空の色

しおりを挟む
「ところで、こうして各組のリーダーは決まったが、全体のリーダーがまだ決まっていない。この異常事態に対処するには、各組バラバラでは話にならないと思う。よって全体のリーダーを決めたいと思うんだが、どうだろうか?」

 一組のアルベルトが、精悍な顔つきにふさわしい凛とした声で提案した。

「異議なし。あたしはガイウスを推薦するよ」

 二組のジョディーが、ぶっきらぼうな物言いで言った。
 
 すかさず提案者のアルベルトが、それに同意した。

「僕も同感だ。どうだろう、ガイウスがリーダーとなるのに不服な者はいるだろうか?」

 すると当のガイウスが、意義を申し立てようとした。

「いや、ちょっと待ってくれ。俺は……」

 ところが、それにバランスが割って入った。

「だまれガイウス。先ほどの様子で、皆がお前をリーダーと認めたのだ。おとなしくリーダーを引き受けろ。この馬鹿者」

 バランスのこの発言に、マックスが驚いた様子で突っ込みを入れた。

「へえー!こりゃ驚きだ。バランスも、ようやくガイウスの凄さがわかったんだな?」

 バランスは、長広舌を早口で捲くし立てた。

「だまれ、マックス。わたしは別にガイウスのことなんか認めちゃいないが、皆が認めている以上ガイウスがリーダーになるのが妥当だといっているだけだ。それにいざという時、ガイウスが魔法を使うために一々リーダーに許可を取っていたら、対処できたはずの事態が手遅れになってしまうことも考えられるだろう。だがガイウスがリーダーならば、誰に許可を取らずとも緊急事態に対処が出来る。だから今回の異常事態におけるリーダーには、ガイウスがなるのがもっとも適していると思っておるだけだ。どうだ、わかったか!この馬鹿者が!」

「い、いや、それつまりガイウスの凄さを認めたってことじゃん」

 バランスの気迫に気圧されたマックスは、口尖らせながら小声で言った。

「まあまあ、それくらいにしようよ。じゃあガイウスがリーダーということで、皆異論はないな?ガイウスもそれでいいな?」

 アルベルトの巧みな促しに、ガイウスも首を縦に振らざるを得なかった。

「まあ、そういうことなら、リーダー役にならせてもらうよ」

「よかった。じゃあ今後の方針を決めようか?といっても、一体何からすればいいのかまったく思いつきもしないんだが」

 アルベルトはそういって、辺りを見回した。

 そこには、ただひたすらに地平の果てまで草原が続いているだけだった。

 ガイウスも、見渡す限りの草原を一通り眺め回した後、上を見上げて言った。

「どうやらここは、異空間のようだな」

「異空間!?なんだそれは!?」

 マックスの驚きの反応に、ガイウスは冷静に言葉を続けた。

「空を見てくれ。一見澄み切った青空に見えるが、この空は、偽者だ」

「偽者!?この空がか?本当か?」

 マックスの当然の疑問に、またもガイウスが冷静に返した。

「よく見てくれ。天頂部分と、地平近くの青空の色が、まったく一緒なんだよ。こんなことは通常ありえないんだ」

 ガイウスは右手で持って天頂と、地平を順に指し示しながら言った。

 アルベルトが難しい顔をしながら、ガイウスの言葉を肯定した。

「なるほど、そうか。天頂部の空の色に比べて地平近くの空の色というのは、水蒸気や塵埃の影響で白っぽくなるはずなのに、見ると天頂部と同様実に青々とした空色をしている。これは確かにおかしい」

「その通りだ。つまり我々は、誰かが作った異空間に取り込まれた――というわけさ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~

夏見ナイ
ファンタジー
佐藤健太、32歳。会社ではリストラ寸前の窓際サラリーマン。彼は人生逆転を賭け『探索者』になるも、与えられたのは戦闘に役立たない地味スキル【無限収納】だった。 「倉庫番がお似合いだ」と馬鹿にされ、初ダンジョンでは荷物持ちとして追放される始末。 だが彼は気づいてしまう。このスキルが、思考一つでアイテムや武器を無限に取り出し、敵の魔法すら『収納』できる規格外のチート能力であることに! サラリーマン時代の知恵と誰も思いつかない応用力で、地味スキルは最強スキルへと変貌する。訳ありの美少女剣士や仲間と共に、不遇だった男の痛快な成り上がり無双が今、始まる!

転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!

克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。 アルファポリスオンリー

学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった

竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。 やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。 それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。

処理中です...