転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第百二十七話 浮遊

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「ガイウス、ここが何者かによって意図的に作り上げられた異空間だとして、問題はどうやってここから脱出するかだと思うんだが、なにか策はあるかい?」

 誰が決めたわけでもなく自然とガイウスの補佐役となったアルベルトが、現在彼らが置かれている状況を簡潔にまとめた。

「まずは偵察すべきだと思う。ここから見るに、果てしなく草原が続いているように見えるが、実際本当に果てがないのかを調べるべきだろう。それにこの偽者の空もだ。だがその前に、まずはこの芝生が本物なのか、だが」

 ガイウスはそう言うと、片膝を付いてしゃがみ込み、一握の芝生を引きむしった。

「やはり、これも偽者か」

 ガイウスがそう言った途端に、毟り取られた芝生が泡のようにフッと虚空に消え去せた。

「まじか!」

 マックスは消えた芝生を見て大層驚き、慌てて自分も真似をして芝生を引き毟った。

 すると、ガイウスの時と同様、芝生は音もなく虚空に消えた。

「まじだ!この世界は空も、芝生も、全部偽者ってわけか!?そうなんだな、ガイウス!?」

「ああ、この世界そのものを作った奴がいる。いや、奴ら、かな」

 マックスが驚き、叫ぶような声で、ガイウスに問いかけた。

「なんのために!?」

「今はまだわからない。だから、それを探るために偵察するのさ」

 アルベルトがそこで、二人の会話に割って入った。

「だが、誰が偵察を?」

「俺が行く。空を飛べるしな」

 ガイウスが何気なく言った言葉に、皆が仰天した。

「君は!空を飛べるのか!?」

 アルベルトが驚愕の眼差しをガイウスに向けつつ言った。

 ガイウスは何事もないといった風情で、事も無げに言った。

「飛べるよ」

 するとそれまで会話に加わらず黙って成り行きを見守っていた二組のリーダーのジョディーが、久しぶりに声を発した。

「ずいぶんと簡単に言うが、確か飛行魔法は、相当に高度だと聞いたぞ。本当にお前、飛べるのか?」

 ジョディーは大層疑わしげな眼差しをガイウスに向けながら、そう疑問を呈した。

 それにガイウスは、苦笑いを浮かべる。

 だがガイウスはそこでは何も言わず、論より証拠とばかりに、静かにゆっくりと浮かび上がった。

「これでいいか?ジョディー」

 ガイウスは、円を成して立つ七人の頭の辺りに足が来るくらいの高さに止まり、彼らを見下ろしてそう言った。

「お前、まじか……」

 ガイウスの親友を自認するマックスも、彼がこれほどの魔法の使い手だとは知らなかった。

 そのため、この七人の中で一番驚いたのもマックスであった。

 そこで、冷静沈着なアルベルトが、ある重大なことに気付いた。

「ガイウス!君、今呪文を詠唱したかい?」

 このアルベルトの疑問に、皆が一斉にあっと大きな声を上げた。

 そして皆口々に、ガイウスが無言で浮かび上がったと言い立てた。

 中でもマックスは、興奮気味に大声で言い立てた。

「ガイウス!お前、まさか無詠唱魔法の使い手だとでも言うんじゃないだろうな!?」

 ガイウスは、またも苦笑いを浮かべた。

「あれ、言ってなかったっけ?俺、無詠唱魔法の使い手だよ」

 マックスは、開いた口がふさがらないとはこのことだと言わんばかりに、口をあんぐりと大きく開いた。

 そして一言だけ情けない声で呟いた。

「聞いてないよ~」
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