転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第百四十九話 メノンティウス

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「メノンティウスか、ずいぶんと変わった名だな」

 ガイウスは、噛んで含めるようにゆっくりとその名を口にした。

 メノンティウスはするどい視線でもってガイウスを捉え、目を細めて凝視した。

 ガイウスは鋭く冷たい視線を感じて癇に障ったのか、イラッとした物言いで咎めた。

「うん?なんだ?俺の顔に何か付いてでもいるのか?」

 メノンティウスは含み笑いをしつつ、口を開いた。

「まあ、そう突っかかるな、転生者よ。シグナスから聞き及んでいるであろう?我々はお前を仲間に誘いに来たのだよ。決して争いに来たのではない」

「断る!貴様らの仲間になどなる気はない!」

 メノンティウスはガイウスの剣幕にもまったく動ぜず、さらに話しを続けた。

「お前が怒っているのは、カルラのことについてか?」

 メノンティウスのこの言に、すかさずガイウスは噛みついた。

「貴様、カルラを知っているのか?シグナスはカルラを殺したのは自分ではないと言っていた。まさか、カルラを殺したのは貴様か!?メノンティウス!」

 メノンティウスは、口元に意味ありげな笑みを浮かべた。

「やはりカルラのことを気にしてか。なに、それなら心配はいらん。あれ・・は死んではいないからな」

 メノンティウスはねめつけるような視線を送り、ガイウスの心中を推し量るように見つめた。

 ガイウスは、そんなメノンティウスの意思のある視線を感じたため、うっとうしく思いながらも心中を気取られまいとして、わざと猛り狂った。

「ふん!嘘をつくな!そんな嘘をつくってことは、やはりカルラを殺したのは貴様だということだな!?」

 メノンティウスは狼のような尖った口を大きく開き、頭上に生やした巻角を震わせながら大きく笑った。

 そしてひとしきり笑い終えると口元を歪め、再び心中を探るような眼差しをガイウスに送りつつ言った。

「知っていたか、ガイウス・シュナイダー。実はカルラが死んでなどいないことを」

「しつこいな。カルラを殺したくせしやがって!」

「へたな芝居はやめろ。そうか、あの猫か。やはりやっかいな奴だな、あれは」

 ここでガイウスは怒りの芝居を解き、反対にねめつけるような視線をメノンティウスに送った。

「ふん、シグナス同様、どうやら貴様もエルは苦手らしいな?」

 メノンティウスは苦笑いでもって応じた。

「まあ、な。神話上の生き物などというのは、総じて厄介な存在だからな」

「貴様だって、悪魔ならば、神話上の生き物だろうに」

 メノンティウスは、このガイウスの言葉に一瞬だけ意外そうな顔つきを見せ、その後数度小さくうなずき、納得したような表情を浮かべた。

「なるほどな。やはり転生者の記憶というのは、曖昧模糊なのだな」

 ガイウスは眉根をギュッと寄せた。

「どういう意味だ?」

 だがメノンティウスはそれには答えず、ただいやらしくにやにやとした笑みを浮かべた。
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