転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~【改訂版】

マツヤマユタカ

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第百五十話 玉座

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「俺の記憶が曖昧だと?いや俺の、ではなく転生者は皆記憶が曖昧だと、そう言っているのか?」

 ガイウスの問いにメノンティウスはにやりと口角を上げて笑うだけで、決して答えようとはしなかった。

「おい!質問に答えろよ!」

 ガイウスの苛立ちはMAXとなった。

 だが、それでもなおメノンティウスは答えない。

 そのためガイウスは歯軋りをして、メノンティウスをにらみつけた。

 するとここでようやくメノンティウスが口を開いた。

「そうさな、お前が我らの仲間にさえなってくれたら、どの様な質問にも答えてやるのだがな?」

「ふざけるな!お前たちの仲間になど誰がなるか!そもそも俺の魔力を利用して、お前らダロスで一体何をするつもりなんだ?すでにダロス王宮はお前たちの支配下なのだろう?なら、なにもかもお前たちの思い通りじゃないか!これ以上一体何をするっていうんだ!?」

「転生者よ。何をそんなに怒っているのだ?そもそもこの世はお前にとって本来の世界ではなく、かりそめに身を置く世界なのではないか?ならばなぜお前は、その有り余る力を使って好きなことをやろうとしないのだ?なぜにそのようなくだらない倫理観に縛られ、唯々諾々と大人しく従っているのだ?よいか!お前の両親は真実の両親にあらず!かりそめに袖振り合うただけの存在にすぎぬ!本来お前を縛る何者もこの世界には存在しないのだ!今こそくだらぬ倫理観などかなぐり捨てて、己を解き放て転生者よ!いや、まつろわぬ者よ!さすれば我らはお前に古の大国、ダロスの玉座を差し出そうぞ!」

 メノンティウスは速射砲のように一気にまくし立てると、ガイウスが反応するのを待った。

「な、何を言っているんだ貴様は!そんな話に俺が乗るとでも思っているのか!?だとしたら貴様は底知れぬ大馬鹿者だぞ!」

「なぜ乗れぬのだ?お前は勝手にこのヴァレンティン共和国とシュナイダー家とに縛られているようだが、それはなぜだ?教えてやろう。それはな、お前がその可能性について、これまでただ単に考えもしなかったというだけのことさ。どうだ?そうであろう?」

「ば、馬鹿なことを言うな!何がダロスの玉座だ!そんなもの手に入れたところでなんになるっていうんだ!?くだらん!これ以上貴様と話をしても無駄のようだ。かかって来い!相手をしてやる!」

「何をそんなに慌てているのだ?別に急いで戦わずともよいではないか。転生者よ、お前はまつろわぬ者なのだぞ。まつろわぬ者とは、何者にも従わず自由に生きる者のことだ。縛られるな!己を解き放て!さすれば、我らはお前の手足となって働こうぞ!」

「やめろ!これ以上は問答無用だ!」

 ガイウスはそう言い捨てると、すぐさま両腕を赤く染め上げて臨戦態勢へと入った。

 それを見たメノンティウスは、悠然とした仕草で両腕を広げた。

「ふむ、仕方がない。それではとりあえず相手をするとしよう」

 ガイウスはメノンティウスの言葉を受けると、堰を切ったように魔法の連弾をその赤く染まった両腕から激しく繰り出した。
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