2 / 41
第一章――ようこそ、学園へ
第1話 空飛ぶ馬車から落ちかけて、君と出会う
しおりを挟む
情けない悲鳴と、反転する景色。
そしてセシュナは、中空へと放り出された。
「うわぁぁああああぁぁあああぁぁっ!!」
――見渡す限りの青空に浮かぶ一両の馬車から。
すぽん、と。
――見た目はごく普通の、二頭立て馬車だった。幌には七星を模したティンクルバニア学園の校章が描かれている。
とても空を飛べるような仕掛けがあるとは思えない。
セシュナが聞いたところによると、今日開かれる始業式のために用意された特別便だという。
試しに乗り込んでみたら乗客は全員制服姿の少年少女だった。
知り合いのいないセシュナは学生証を握りしめて、客席の隅っこ――昇降口の近くに一人で座っていたのだが。
それが、仇になった。
強い風と共に馬車が揺れたと思ったら、もう空中にいたのだ。
「ひぃぃいいいぃぃぃいぃぃっ」
「――掴まってくださいっ」
呼ぶ声に反応したというより、振り回した手がたまたま触れた、ぐらいの感覚だったけれど。
伸ばされた手を、しっかと掴み取る。
「お、おお、落ち、ありが、落ちるがとう!」
「落ち着いて! 暴れないで、じっとして。――誰か、手を貸してください!」
遅れて何本か、手が差し伸べられる。
数人が力を合わせて引き上げてくれる間、セシュナは足元が宙に晒される不安感と、暴風に弄ばれる恐怖に苛まれていた。
それでも、つい、恐る恐る、下を覗きこんでしまう――
「――すごい」
眼下に広がるのは、果てしない荒野だった。
赤茶けた大地、申し訳ばかりに点在する草原、長きに亘って風雨に削られ奇相を呈す丘陵。うねりねじれつつも伸びる街道には、学園に向かう馬車の列が続いている。
列の先頭から辿っていけば、やがて海風を遮るなだらかな山脈と、青く滲んだ大空が目に入る。
不安も恐怖もすっかり忘れて、好奇心の命ずるまま、セシュナはその光景に見入っていた。
「こんなの、見たことない」
「下を見ないで! 早く、早く登ってください!!」
叱咤の声に、我を取り戻し。
セシュナは扉の縁に肘を懸けて、自分の身体を引き上げた。
と。
またしても馬車が揺れる。
「うわっ、っと」
滑りそうになる肘を諦め、指で床を掴むようにしながら、無理やり車内へと飛び込む。
思ったよりも勢い良く転がり込んで――
セシュナの顔面を受け止めてくれたのは、信じられないほど柔い感触と、華やかな石鹸の香りだった。
「――ふぎゃっ!? な、なに、何これ!?」
訳が分からないまま、とにかく顔を上げる。
「なんか、すっごい柔らかい――」
目の前にいたのは、少女だった。
何の衒いもない美少女。宝飾店の店先に飾れそうなほど、輝きに満ちた碧眼。長く豊かな金髪が、星を散らしたような光を放つ。まるで肖像画からそのまま抜け出てきたような面差しは、伝説の聖女ミリアに勝るとも劣らない。
そんな美貌が眼前、鼻先――息がかかるどころか、唇も触れ合いそうな距離にある。
(……ちょっ、まっ、待)
近い。いくら何でも近すぎる。
いや、それ以前に。
セシュナは、ほとんど美少女を押し倒していた。
それだけでも一大事だというのに、その直前には柔らかい何かに顔を埋めていたわけで。
(すっごい、柔らかい、柔らかくて、ふわふわして、いい匂いの……何か)
つまりそれは、何というか、その。
お互いが驚愕に目を見開いているのは、少女の瞳に映り込んだ間抜け面のおかげで、はっきりと分かった。
「――きゃあああああぁぁぁあああぁっ」
絹を裂くような悲鳴と、全身のばねを使った強烈な押し出し。
胸の中心に一撃食らって、彼はもう一度馬車から放り出された。
「またああぁぁぁあぁあっ!?」
またしても押し寄せる猛烈な突風。
乗車口の端に何とかしがみついて、自力で車内に戻る。
「し、し、し、死ぬ……死んだ」
そのまま床に倒れ込み、彼は深く息を吐いた。
「ご、ごご、ごめんなさいっ! 大丈夫ですか? 怪我してませんか?」
「ああ、えと、うん。だ、大丈夫……」
一番にセシュナを気遣ってくれたのは、突き飛ばした張本人だった。傍らに膝をついたまま、御者台を振り返って。
「飛行魔法の制御が荒いんじゃないですか、ニザナキ君! 気をつけてください!」
「じゃかぁしい! 遅刻したないってわーわー喚いてたんは、どこのどいつや!」
刺々しい返答は、聞いたこともない不思議な訛り方をしている。
「わーわーは言ってません! ただ、新学期初日からの遅刻は、委員長として示しがつかないと言うか……もう」
彼女は小さく文句を言ったあとで、もう一度こちらに手を差し伸べてくれた。
「立てますか?」
「あっ、うん。その、ありがとう、ごめん、さっきのはわざとじゃなくて、その」
少女の手から、ひんやりとした感触が伝わってくる。
そんなことを意識してしまうと、さっきの恥ずかしさがぶり返してきて、頬が熱くなる。
「いえ、こちらこそ、本当にごめんなさい。でも、あなたが無事でよかったです」
安堵に緩んだ少女の表情は、まるで春先の陽射しのようだった。
更に赤らんだ自分の顔を隠そうと、空いた手で口元を隠す。
――故郷から学園まで一ヶ月の道中で、荒れ道を行く馬車の揺れにも、嵐の海にも、荒野の砂埃にも慣れたつもりでいたけれど、同年代の女の子との付き合い方は、まだ良く分からない。
「私は、イザベラ。イザベラ・デステです。教養過程の第三学年、トーマス教師に教えを受けています」
言って、彼女――イザベラは優しく笑った。制服の一部である銀の指輪を嵌めた手を胸元に添えるのは、学園流の挨拶なのだろう。
彼も、なんとか身なりを整えて――いや、実はまだ制服も着ていないけれど――ばたついた挙句、胸に手を当てて。
「セシュナです。セシュナ・ヘヴンリーフ。今日から学園にお世話になります」
「えっ――もしかして、留学生ですか!? あなたが、あの、旧大陸のハルーカ公国から来るっていう!」
彼女の口からその言葉が出てきたのは、本当に意外だった。
雪と魔物とシチューしかないセシュナの故郷など、旧大陸でも知らない人間がいるぐらいの辺境だ。
なんという博識。流石、新大陸の最高学府に通う学生だ。
「そう。だけど、えっ、どうして――?」
「噂になってますよ! あなたが学園に送った『霊素中毒によって変質した動植物の行動生態』、先生方が大騒ぎしていましたもの! あれだけの膨大なサンプルと詳細な観察記録だけでも充分に素晴らしいのに、更にあの着眼点! 最初はどこかの研究者のイタズラじゃないかって騒ぎになったぐらいで――」
堰を切ったような称賛の嵐。
セシュナはどこから答えればいいのか分からず、しばらく聞き手に回っていたが。
「それで、どうですか新大陸は!? 魔法なんて特に珍しいんじゃないですか!? 旧大陸ではもうほとんど見られないって聞きましたけど!」
とりあえず、感想を口にする。
「う、うん。すごい、本当にびっくりした。まさか呪文一つで馬車が空を飛ぶなんて」
一瞬、自分の頭がおかしくなったのかと不安になった。
何せ馬車が飛んだのだ。ふわふわっと。車も馬も貨物も乗客も、全て一纏めに。
更には、飛ぶ鳥よりも迅速に。
客室の窓に目を移すと、巨大な翼を広げた鷹が馬車と並ぶように風を切っていく。
その光景さえ、セシュナにとっては神秘以外の何物でもない。
「……ホント、まだ信じられないよ」
窓に顔を押し付けながら、セシュナは感嘆の溜息を漏らした。
「ふふっ、そうですか? すごいですか? 窓、開けて外の景色を見てみます?」
隣についてきたイザベラが、嬉しそうに窓の留め金を外している。
「オイ阿呆ども、学習しろや! 窓から落っこちてもワイは助けんぞ――」
またしても御者台から何か聞こえたが、イザベラは気にする素振りも見せなかった。
烈風に、今度は顔から突っ込む――
「――――」
感動は、言葉にはならなかった。
鷹の雄姿だけではない。
馬車を追い越して飛んで行く大きな翼、その向こうに。
眩いばかりの朝の光。
そして、広がる光景。
道中の山頂から見えていたものとは、まるで違う――赤茶けた土と岩、そして申し訳程度に草木が生えた荒野の向こう、遥か彼方に地平線が霞んでいた。
一昨日までの嵐に雲を奪われた晴天は、荒涼とした赤い大地と比べるまでもなく、滲むように濃密な青だった。
(空が違う――ずっと、色が濃くて、大きい気がする)
それも、セシュナには驚きだった。
――街道は荒野の真っ只中を抜けて、やがて水の流れる川へと行き当たる。
その交点を囲うように、城塞があった。
長く伸びた白亜の塔を中心に、綺麗な同心円を描く街並み。砦の外壁だったのだろう白壁を越えても、混沌とした建築の渦はまだ終わらない。
あれが、ティンクルバニア学園。
百年の昔、さる伝道師によって建てられた学府を発祥とする学園都市。
新大陸最大にして最高の学び舎。
そして、これから彼が暮らす場所。
そしてセシュナは、中空へと放り出された。
「うわぁぁああああぁぁあああぁぁっ!!」
――見渡す限りの青空に浮かぶ一両の馬車から。
すぽん、と。
――見た目はごく普通の、二頭立て馬車だった。幌には七星を模したティンクルバニア学園の校章が描かれている。
とても空を飛べるような仕掛けがあるとは思えない。
セシュナが聞いたところによると、今日開かれる始業式のために用意された特別便だという。
試しに乗り込んでみたら乗客は全員制服姿の少年少女だった。
知り合いのいないセシュナは学生証を握りしめて、客席の隅っこ――昇降口の近くに一人で座っていたのだが。
それが、仇になった。
強い風と共に馬車が揺れたと思ったら、もう空中にいたのだ。
「ひぃぃいいいぃぃぃいぃぃっ」
「――掴まってくださいっ」
呼ぶ声に反応したというより、振り回した手がたまたま触れた、ぐらいの感覚だったけれど。
伸ばされた手を、しっかと掴み取る。
「お、おお、落ち、ありが、落ちるがとう!」
「落ち着いて! 暴れないで、じっとして。――誰か、手を貸してください!」
遅れて何本か、手が差し伸べられる。
数人が力を合わせて引き上げてくれる間、セシュナは足元が宙に晒される不安感と、暴風に弄ばれる恐怖に苛まれていた。
それでも、つい、恐る恐る、下を覗きこんでしまう――
「――すごい」
眼下に広がるのは、果てしない荒野だった。
赤茶けた大地、申し訳ばかりに点在する草原、長きに亘って風雨に削られ奇相を呈す丘陵。うねりねじれつつも伸びる街道には、学園に向かう馬車の列が続いている。
列の先頭から辿っていけば、やがて海風を遮るなだらかな山脈と、青く滲んだ大空が目に入る。
不安も恐怖もすっかり忘れて、好奇心の命ずるまま、セシュナはその光景に見入っていた。
「こんなの、見たことない」
「下を見ないで! 早く、早く登ってください!!」
叱咤の声に、我を取り戻し。
セシュナは扉の縁に肘を懸けて、自分の身体を引き上げた。
と。
またしても馬車が揺れる。
「うわっ、っと」
滑りそうになる肘を諦め、指で床を掴むようにしながら、無理やり車内へと飛び込む。
思ったよりも勢い良く転がり込んで――
セシュナの顔面を受け止めてくれたのは、信じられないほど柔い感触と、華やかな石鹸の香りだった。
「――ふぎゃっ!? な、なに、何これ!?」
訳が分からないまま、とにかく顔を上げる。
「なんか、すっごい柔らかい――」
目の前にいたのは、少女だった。
何の衒いもない美少女。宝飾店の店先に飾れそうなほど、輝きに満ちた碧眼。長く豊かな金髪が、星を散らしたような光を放つ。まるで肖像画からそのまま抜け出てきたような面差しは、伝説の聖女ミリアに勝るとも劣らない。
そんな美貌が眼前、鼻先――息がかかるどころか、唇も触れ合いそうな距離にある。
(……ちょっ、まっ、待)
近い。いくら何でも近すぎる。
いや、それ以前に。
セシュナは、ほとんど美少女を押し倒していた。
それだけでも一大事だというのに、その直前には柔らかい何かに顔を埋めていたわけで。
(すっごい、柔らかい、柔らかくて、ふわふわして、いい匂いの……何か)
つまりそれは、何というか、その。
お互いが驚愕に目を見開いているのは、少女の瞳に映り込んだ間抜け面のおかげで、はっきりと分かった。
「――きゃあああああぁぁぁあああぁっ」
絹を裂くような悲鳴と、全身のばねを使った強烈な押し出し。
胸の中心に一撃食らって、彼はもう一度馬車から放り出された。
「またああぁぁぁあぁあっ!?」
またしても押し寄せる猛烈な突風。
乗車口の端に何とかしがみついて、自力で車内に戻る。
「し、し、し、死ぬ……死んだ」
そのまま床に倒れ込み、彼は深く息を吐いた。
「ご、ごご、ごめんなさいっ! 大丈夫ですか? 怪我してませんか?」
「ああ、えと、うん。だ、大丈夫……」
一番にセシュナを気遣ってくれたのは、突き飛ばした張本人だった。傍らに膝をついたまま、御者台を振り返って。
「飛行魔法の制御が荒いんじゃないですか、ニザナキ君! 気をつけてください!」
「じゃかぁしい! 遅刻したないってわーわー喚いてたんは、どこのどいつや!」
刺々しい返答は、聞いたこともない不思議な訛り方をしている。
「わーわーは言ってません! ただ、新学期初日からの遅刻は、委員長として示しがつかないと言うか……もう」
彼女は小さく文句を言ったあとで、もう一度こちらに手を差し伸べてくれた。
「立てますか?」
「あっ、うん。その、ありがとう、ごめん、さっきのはわざとじゃなくて、その」
少女の手から、ひんやりとした感触が伝わってくる。
そんなことを意識してしまうと、さっきの恥ずかしさがぶり返してきて、頬が熱くなる。
「いえ、こちらこそ、本当にごめんなさい。でも、あなたが無事でよかったです」
安堵に緩んだ少女の表情は、まるで春先の陽射しのようだった。
更に赤らんだ自分の顔を隠そうと、空いた手で口元を隠す。
――故郷から学園まで一ヶ月の道中で、荒れ道を行く馬車の揺れにも、嵐の海にも、荒野の砂埃にも慣れたつもりでいたけれど、同年代の女の子との付き合い方は、まだ良く分からない。
「私は、イザベラ。イザベラ・デステです。教養過程の第三学年、トーマス教師に教えを受けています」
言って、彼女――イザベラは優しく笑った。制服の一部である銀の指輪を嵌めた手を胸元に添えるのは、学園流の挨拶なのだろう。
彼も、なんとか身なりを整えて――いや、実はまだ制服も着ていないけれど――ばたついた挙句、胸に手を当てて。
「セシュナです。セシュナ・ヘヴンリーフ。今日から学園にお世話になります」
「えっ――もしかして、留学生ですか!? あなたが、あの、旧大陸のハルーカ公国から来るっていう!」
彼女の口からその言葉が出てきたのは、本当に意外だった。
雪と魔物とシチューしかないセシュナの故郷など、旧大陸でも知らない人間がいるぐらいの辺境だ。
なんという博識。流石、新大陸の最高学府に通う学生だ。
「そう。だけど、えっ、どうして――?」
「噂になってますよ! あなたが学園に送った『霊素中毒によって変質した動植物の行動生態』、先生方が大騒ぎしていましたもの! あれだけの膨大なサンプルと詳細な観察記録だけでも充分に素晴らしいのに、更にあの着眼点! 最初はどこかの研究者のイタズラじゃないかって騒ぎになったぐらいで――」
堰を切ったような称賛の嵐。
セシュナはどこから答えればいいのか分からず、しばらく聞き手に回っていたが。
「それで、どうですか新大陸は!? 魔法なんて特に珍しいんじゃないですか!? 旧大陸ではもうほとんど見られないって聞きましたけど!」
とりあえず、感想を口にする。
「う、うん。すごい、本当にびっくりした。まさか呪文一つで馬車が空を飛ぶなんて」
一瞬、自分の頭がおかしくなったのかと不安になった。
何せ馬車が飛んだのだ。ふわふわっと。車も馬も貨物も乗客も、全て一纏めに。
更には、飛ぶ鳥よりも迅速に。
客室の窓に目を移すと、巨大な翼を広げた鷹が馬車と並ぶように風を切っていく。
その光景さえ、セシュナにとっては神秘以外の何物でもない。
「……ホント、まだ信じられないよ」
窓に顔を押し付けながら、セシュナは感嘆の溜息を漏らした。
「ふふっ、そうですか? すごいですか? 窓、開けて外の景色を見てみます?」
隣についてきたイザベラが、嬉しそうに窓の留め金を外している。
「オイ阿呆ども、学習しろや! 窓から落っこちてもワイは助けんぞ――」
またしても御者台から何か聞こえたが、イザベラは気にする素振りも見せなかった。
烈風に、今度は顔から突っ込む――
「――――」
感動は、言葉にはならなかった。
鷹の雄姿だけではない。
馬車を追い越して飛んで行く大きな翼、その向こうに。
眩いばかりの朝の光。
そして、広がる光景。
道中の山頂から見えていたものとは、まるで違う――赤茶けた土と岩、そして申し訳程度に草木が生えた荒野の向こう、遥か彼方に地平線が霞んでいた。
一昨日までの嵐に雲を奪われた晴天は、荒涼とした赤い大地と比べるまでもなく、滲むように濃密な青だった。
(空が違う――ずっと、色が濃くて、大きい気がする)
それも、セシュナには驚きだった。
――街道は荒野の真っ只中を抜けて、やがて水の流れる川へと行き当たる。
その交点を囲うように、城塞があった。
長く伸びた白亜の塔を中心に、綺麗な同心円を描く街並み。砦の外壁だったのだろう白壁を越えても、混沌とした建築の渦はまだ終わらない。
あれが、ティンクルバニア学園。
百年の昔、さる伝道師によって建てられた学府を発祥とする学園都市。
新大陸最大にして最高の学び舎。
そして、これから彼が暮らす場所。
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる