ヤクザとJK?!

あさみ

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一章 ヤクザとの出会い

忘れ物を

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源と何だかんだあったが宿題が分からなければ教えてくれるしさっき怒ったせいか妙に優しい、さっきあんなことを言ったのはきっと私が気に入らないからだろう。奏斗さんの親戚ってだけで大切にされている私を少し妬んだのだろうか、それなら悪いことをしたと思う、謝りたかったがなんと言えば良いのか分からぬまま時間が過ぎていった、奏斗さんが来て源は去っていった
「奏斗さん・・・」
「なんだ?」
奏斗さんはさっきと同じように私を膝の上に座らせてくれた、そして何も知らないから笑顔を向けてくれる、何故かは分からないが少し安心した
「源さんって私の事嫌いなんでしょうか?」
「・・・源が何かしたのか?何をされたんだ、俺が怒ってくるから言え」
「いえ・・・そこまでではなくて、私をヤクザの世界と交わらないようにしようとしてくれたんです」
その言葉を聞いた奏斗は少し驚きつつもじっと桃の言葉を待った
「勿論ヤクザは怖いし私なんかがこんなところに居られるのは奏斗さんのお陰ってだけで私自身に何かあるわけじゃ無いから、そう考えるとここに居る皆さんが私の事を良くは思ってないなって」
「はぁ・・・」
呆れたようなため息をつき私を立たせ奏斗が座っていた場所に座らさせ正面から見えるように方ビザを付いて真剣な声色で名前を呼んだ
「桃。あのな、ここは確かにヤクザの住家だ、だけどここに居るやつらはそんな悪いやつらじゃない、桃はまだ知らないか?ここのあり方。『家族を大切に』」
知っている、さっき源と話していた時にこんな事になる原因の一つでもある。知ってます、と頷く
「そうか、あのな桃ここに居るやつはみんっな家族だ!どんな奴であろうと木ノ葉組ここに入れば皆!家族同然になる、そして俺の親戚って時点でお前もここの家族だ!」
「は、はぁ・・・」
急に何を言い出すのかと思えば本当に何を言っているのか分からない、ただ真剣なのは伝わってくる
「桃は親父さん達が居なかったんだってな、婆さんから聞いてた」
「ん・・・」
急に言われたその言葉に反応した、親が居ない。この事は思い出したくも無いのに亡くなった直後はいつも周りから大変だの辛いだのと同情された、しかし誰も私を引き取ろう等と言ってくれなかった、そして結局筋書通りお婆ちゃんの家に行くことになった、この時は子供ながらに大人のズルさを知った、卑怯でズルくて自分の事だけで手一杯な大人達、思い出すだけで恐怖に襲われる、そんな思いのせいで震えている私を奏斗は抱きしめた、あっけに取られているうちに話は進んだ
「だから俺達が親のようにお前にとって信頼できる人になる!源だってそうさ、勿論桃が嫌なら嫌で良い、ただ木ノ葉組俺達が桃を娘のように大切にするだけだ」
「ま、待って待って!話の終着点が見えない!」
「あ、す、すまん。勢い付いてしまった、その・・・マンションからここに引っ越さないか?」
「・・・ふぇ?」
結局終着点を聞いても理解出来ない・・・














結局その日は遠慮しますと言って帰ってきた、冷静になれば誰かと一緒に過ごしたいとは毎日のように思ったいた、しかし、いざそれが出来るとなると遠慮がちだ。理由は・・・
「って明日学校だ、準備しなきゃ」
奏斗の言った言葉の意味を考えるのも良いが今は学校に行かなくては、現国に体育、世界地理に古文に数A・・・
「あれ?数学が無い・・・あっ!」
忘れたことに気づき、忘れた場所に行くのが憂鬱になった、しかし明日必要なのだから取りに行かなくてはいけない、仕方なくもう一度行こうと腹を括った、外に出るともう夕焼けが黒く染まる時間帯だった、急がないとまた暗くなってしまう、徒歩で約6分、走れば4分でも着くだろう、穿き慣れたスニーカーを穿いて走った、走っていると何も考えなくていいから正直な所走るのは嫌いではない、ゆっくりと闇に染まる道を全力疾走した、見えた日本家屋の門のはさっきの二人とは違う人が居たのでハッとした
「(そう言えばさっきはさっきで奥田さんが居たから入れたけど普通のヤクザが学生なんか入れてくれない!)」
止まろうとしたが急には止まれず結構近くまで来てしまった、門番の二人が睨み付けるので怖くて後ずさりしたが
「何だ貴様?って桂吾けいご!この子って頭の親族じゃなかったっけ」
「ん、あぁ確かこんな顔だったな、嬢さん、桃・・・だっけ?」
「は、はい、あの、昼過ぎにここに来て忘れ物をしたので取りに来ました」
怖かったが知ってくれているのなら少なくとも暴力にはならないだろう、そう思い安心した
「そうか、どこに忘れたんです?」
「えっと、広い部屋で長い木の机と浅い椅子が沢山並んでるところに数学のテキストとノートを忘れました」
「んー・・・それだけだと検討がつきませんね、案内を用意するので待っててください、瀬峰せみ、任せたぞ」
「はい!」
「・・・」
「・・・あの、お嬢さん、普段奏斗さんって貴方にどんな態度とってますか?」
「え、えーと、や、優しいですよ」 
「そうですか・・・」
「はい」
「・・・」
「・・・」
会話が続かず桂吾が戻ってくるまで無言で居た、実際にはそんなに経っていないはずなのにとても長く感じた。
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