【短編集】婚約破棄【ざまぁ】

彼岸花

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婚約破棄された私

前編

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「婚約を白紙にしたい」

七年間婚約していた彼女に告げると、彼女はとても驚いた。
無理もないことだ。
彼女は私のことを愛しているのだから。

――――――


彼女は愛している私の妻になるべく、この七年間の厳しい皇太子教育に教育に耐えていた。
大国の皇帝となる私を支えるために、学ぶべきことはたくさんある。
覚えるだけではなく、それを磨かなくてはならない。どれもこれも大変なことで、婚約者である私への愛がなければ、到底続けられないものだ。

そんな彼女の私への深い愛を知りながら、私は別の女性を愛してしまった。

わたしには彼女がいるというのに。分かってはいたのだが、自分の気持ちをどうしても抑えられなかった。
愛しい女性と初めて出会ったのは、招かれた伯爵家の夜会。
その夜会の場で彼女と出会ってしまった。

私は一目で彼女に惹かれ、そして彼女も同じだった。私は愛しい女性にダンスを申し込み、そしてその日のうちに結ばれた。

「皇太子殿下とは知らず……」

私の正体に気付いた愛しい女性は身を引こうとしたが、私も愛しい女性も離れることができず、何度も逢瀬を繰り返した。そして互いに別れられないことを確信した。

婚約者に対して罪悪感はあった。早く別れたほうがいいと思ったが、私のことを愛している彼女に別れを切り出すのは、あまりにも残酷だ。彼女が私との別れを苦にし、世をはかなんでしまったらどうしよう。
私の心は愛しい女性のものだが、婚約者の彼女のことは決して嫌っていない。
むしろ大事に思っていた……いや、いまでも大事に思っている。
彼女には幸せになって欲しいと思う。本当なら私が幸せにしてやらなくてはならないのだが、他所の女性に心を奪われた私と共にいても、彼女は苦しむだけ。

いや、彼女なら私が他所の女性に心を寄せていたとしても、私の側に居たいというかもしれない。いや、必ず言うだろう。

だが彼女には私のことを忘れて、幸せを掴んで欲しい。
私は彼女に婚約を白紙にしたいことを告げることにし、彼女を呼び出した。
最近は愛しい女性にばかり時間を割いていたので、こうして彼女と顔を合わせるのは久しぶりだ。
彼女はいつもと変わらなかった。
きっと彼女は私から別れを告げられるなどとは、思ってもいないのだろう。
私が別れを告げたら、彼女はどれほど取り乱すことか。解っていても、別れを告げなくてはならない、彼女の為に。

「婚約を白紙にしたい」

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