双子の姉の身代わりという人生から逃げるため、空飛ぶ絨毯作ります

ねり梅

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「さて、腹ごしらえも済んだことだし、本題にはいるぞ。王室の書庫では収穫があったが、図書館ではどうだった?」
「では私から。図書館では、紋章についての本はあったのですが、このバッジの紋章については記載はありませんでした。我が国の歴史書にはブラウニ国についての記述は100年以上前を境に途絶えてます」


マシューが報告している間、カマロンも頷いていた。サバラン王子が視線を向けると、1歩進み出て話し始めた。


「マシューが報告した通りです。が、1つだけ気になることがありました。管理してる役人曰く、ブラウニ国に関する本は以前まであったそうです」
「カマロン、その役人は耄碌もうろくしてるとっ」
「カマロン、続けろ」


サバラン王子の鋭い視線にマシューは肩を竦めて下がった。カマロンも、マシューが今言ったように耄碌してる老人の戯言とされていて誰も真剣に取り合っていない話であることを強調してから話し出した。


「ブラウニ国に関する本や資料は閲覧制限された棚に保管されていたそうです。数年前にドレーン伯爵、その後にビトレソリネス公爵が借りた記録があるそうです。が、それ以降は借りられた記録が無いのに、その本は消失しておりました。その役人の話では、半年程前までは確実にあったが、ある日、休み明けに書棚の整理をしていると無くなっていたと。奇妙なのは、ここからです。他の役人達は、ブラウニ国の本があったことさえ知らないそうです」
「数年前に2人が借りた記録があるというのは?」
「その老役人のメモ書きです。貸出記録は閲覧制限の棚と一般の棚とで分けて2つあり、どちらも魔導具を使って管理しているのですが、その魔導具の記録は1年しか遡れないんです。老役人が本を探してくれと頼まれ案内した時のメモだけ。しかも文字は掠れていてほとんど識別できません」


全員が顔を見合わせて唸った。その役人についてマシューが補足で説明をしてくれた。その役人は何十年も勤めている聞いたことの無い家名の貧乏貴族で、どういう経緯で図書の管理をしているのか調べても不明だったという。


(うーん、謎めいた人物だわ)


「しかし、その老人が嘘をつく理由が無いだろう。そのメモは見れるか?」
「メモは貰ってきてませんが、代わりにこれを渡されました」


サバラン王子におずおずと手渡されたのは紙の束だった。横から覗くと、一応綴じられていたが、あちこち黄ばんでいたり、よれていたりとボロボロな冊子だった。


「ですが、これ読めないんですよ。古代文字でもありませんし本当に呆けてしまって自分が何をしているのかも分かってないのだと思います」
「マシュー、これを渡す時、その老役人は何か言ってませんでしたか?」
「いえ、特に何も・・・・・・」


真剣に取り合う必要は無いと言わんばかりの2人に対して、ジルバとサバラン王子、そしてシエルは、本腰を入れて調べ始めた。そこに書かれていた文字を見て、顔色が変わった。


「かがみ・・・・・・」
「あぁ。ジルバ、解読しろ」


頷いて踵を返すと、急ぎ足で部屋を出ていった。その後ろ姿をぽかんと見つめるマシューとカマロン。すぐにハッとして何か問いたげな視線を向けてきた。口を挟む間もなく、サバラン王子が話し始めた。


「他になにか気づいたことはなかったか?無いな、よし。ジルバが戻ってくる前にこちらの成果を伝える。推測の域を出ないものもあるが、とりあえず最後まで聞いてくれ」


サバラン王子がまず話したのは、黒い花が咲いた所では魔物が出たことと、黒い花には治癒魔法が効く可能性が高いということ。2人が質問したそうな表情をしながらも呑み込んだことを確認して、続きを話した。


黒い花は、黒魔術の使用により産み出されている可能性が高いことと、紫の月の日に黒い花が消え、大量の魔物が現れたという記述があったこと。サバラン王子がひと区切りつけた瞬間、マシューとカマロンが疑問を一気にぶつけてきた。

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