【R18】Fragment

Nuit Blanche

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省エネ男子はケダモノだった

省エネ男子はケダモノだった 3

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 この男は顔色まで変えられるのか。超演技派俳優か。全然、省エネじゃない。
 草食系か、はたまた絶食系かってところだったのに、どう見ても肉食獣。しなやかで豹か何かじゃないかって感じ。ネコはネコでもネコ科のやばいやつ。

「英音って呼んで」

 国生君を寝かせるはずだったのに、私が軽々運ばれて跨がられて今に至る。コートもジャケットも脱がされてしまった。
 私を見下ろす国生君は野生を忘れた飼い猫じゃない。肉食獣そのもの。
 だから、それはお願いじゃなくて、きっと命令。
 元々先輩としてはなめられてると思ってたけど、完全に立場逆転的な。

「ほら、早く」

 急かしてくる国生君の色気のハンパない……若い子怖い。
 ネクタイを外す仕草とかうっかり見とれちゃう。そうしたら国生君と目が合ってしまった。

「何? 縛られたいの?」
「まさか!」

 イケメンだから萌え仕草がハマりすぎて卑怯だと思っただけで特殊な性癖はない。大した経験もないけど、至ってノーマルだと胸を張って言える。

「だったら呼んでよ」

 簡単でしょ? って国生君が笑う。多分、国生君的に言うとその方が字数は少ない。
 呼んだら負けだって感じるのに、呼んだところでこの状況から逃げられるとも思えないのに。
 猫ちゃんをお家に返してあげるくらいのつもりが猛獣の巣に誘い込まれてた。

「あやと、くん……」
「呼び捨てでいいのに」

 国生君はちょっと不満そうだったけど、後輩だからって何だか気が引けた。
 だって、私たちはそういう親しい間柄じゃない。ただの先輩と後輩だったはずなのに、国生君は何を考えてるんだろう。

「呼んだから……もうふざけるのはやめて」

 先輩だからちゃんと言わなきゃってそう思ったけど、国生君の目つきが鋭くなった気がした。何これ、怖い。

「ふざける? まさか。本気だけど」

 本気なら尚更質が悪いわ! と思ったけど……圧倒されて言えないとか、私、先輩として情けなさすぎない?

「伝わってないなら、もっと頑張らないとか……」
「面倒だよ……!」

 仕事以外で頑張るとか国生君が最も嫌う面倒臭いことのはず。
 それを思い出してやめてくれればいいんだけど……
 シャツを脱ぎ捨てた国生君の体は綺麗だった。無駄なく引き締まってる。面倒臭がって省エネモードになるくせにそういう努力は惜しまないのか。

「欲しいもの手に入れるのに面倒とかないから」

 きっぱり言われた。
 ……って、どういうこと?

「欲しいものって……」

 国生君は何が欲しいの?性欲処理の相手? セフレ?
 そんなの、国生君にとっては楽に手に入れられるはずのもの。いや、適当な相手だと後が面倒なのかも。少なくとも私は言いふらしたりしない。国生君と飲みに行ったことだって誰にも言ってない。そういう口の堅さを信頼されてるのかもしれないけど、私にとっては大変不都合な状況。

「わからないなら説明するの面倒臭い」

 そこは面倒臭いのかよ!
 くっ……面倒臭い。国生君が面倒臭い。

「説明してくれないとわからないよ……!」
「もういい、黙って」

 何て言い草。もういいって、黙ってって……私がうるさい分からず屋みたいだけど、悪いのは国生君で間違いない。
 なのに、顔が近づいてきて、唇が塞がれた。

「んっ……! んぁ……っ!」

 アルコールのせい? 酸欠のせい? って言うか、国生君のせい?
 クラクラしてわけがわからなくなってくる。

「ふぁぅっ! だめっ!」

 意識がぼんやりしてきた私の胸に国生君の手が触れる。手フェチの同僚が涎を垂らしていた細くて長くて骨ばった指が私の大したボリュームもない胸を揉みしだいてる。
 慌てて突き放そうとするけど無駄だった。

「だめっ、こくしょ、んぅっ!」

 キスされながら服越しに先端を引っかかれるのがもどかしい。そこもアソコもジンジンする。必死に抵抗しても無駄だった。どこにそんな腕力隠してたんだろう?

「英音って呼んでって言ったのに」

 拗ねたように言われるけど、もう可愛いなんて思えない。
 ペットだった完全に手を噛まれてる。男――ううん、雄。

「何で……!」
「最初から狙ってたのに何でわかんないの?」

 また乱暴にキスされてシャツのボタンを外されて下着までずらされるのはあっという間だった。
 手馴れてるよね……? モテてたのは間違いないし、こうやっていつも連れ込んでるの?
 だからって、何で私……?

「国生君が私なんかを……」
「勝手に決めつけんなよ」

 国生君が怒ってる。ぞくっとした。
 怖いって言うよりも、見たことのなかった後輩の顔に、秘められていた雄の顔に期待してるのかもしれない。

「実力行使するって言ったから。覚悟して」

 ――国生君は本気だ。
 その目を見て逆らえないって思った。年下とかそんなの関係ない。草食動物って言うかむしろ草くらいに思ってたのに、食物連鎖の頂点に立つ王者の風格を持つとか反則すぎる。
 そうして私はなす術もなく食べられるのだと悟った。
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