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猛獣に狙われて4
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「マジかよ……あいつ、イケメンのくせに下手なのか。残念なやつ」
ぽつりと光希は零すが、希彩は彼がそんな風に言われるのが嫌だった。恐らく遼もそういったことが嫌だったのだと希彩は考えていた。
「お互い初めてだったから……だから、仕方なかったんだよ」
初めては痛いと聞いていたから希彩も覚悟していた。
遼もそれこそ先程の光希のように『優しくする』『努力する』と言って希彩を気遣ってくれた。けれど、我慢しようと、受け入れようと思っていたのに希彩は泣いて彼を困らせてしまった。互いに未熟だったのだ。否、自分が悪いのだと希彩は今でも遼に対して申し訳なく思い続けていた。
「でも、それで終わっちゃったんでしょ?」
体を重ねて数日、急に冷たくなって、一方的に別れようと言われて、何も言えずに希彩は終わりを受け入れるしかなかった。
「ってか、それ、いつのこと?」
「中学の時……」
「そんな話聞いたことないな。俺、この前、あいつの前で希彩ちゃんの話ししたけど、無反応だったし」
光希が何を言ったのか気になるものの、希彩は聞くのが怖かった。遼の反応にしてもそうだ。
きっと彼は自分の存在を忘れようとしているのかもしれない。同じ学校を選んだことを後悔しているのかもしれない。そうは思っても、もう過去のことだ。
「みんなに隠れて付き合ってたから……長く続かなかったし……」
当時から遼は人気者で、いつも周りを女子が取り囲んでいた。希彩はそこに加われるはずもなく、彼と関われたのは偶然だった。そんな状況で希彩がいじめられないようにと遼は配慮して内緒の付き合いをしていた。だから、デートもどこかに遊びに行けるわけでもなく、家で映画を観たり話をしたりをするぐらいだった。それでも、希彩は幸せだったのだ。あの時までは。
「あのさ、まさかと思うけど、キスも歯が当たった?」
全部見抜かれてしまうのかと思いながら希彩は頷く。あと、どれだけ質問に答えれば良いのか。
「そっか、知らなくて怖い思いさせたね」
ごめんね、とようやく指が抜かれ、頭が撫でられる。
それは不思議と嫌ではなく、けれど、やはりこんな状況が終わることを希彩は願っていた。もうこんなことしないでくれるのなら、また関わりのないクラスメートに戻れるなら、それで良かった。
「お詫びに俺が本当のキスと気持ち良いってこと、教えてあげる」
光希が優しく微笑み、顔が近付く。その目に吸い込まれてしまいそうで、希彩は反応ができないまま唇が重なった。
一度離れてもう一度、何度も唇が触れる。香水の匂いが頭を麻痺させて、酸素を取り込もうとした唇の隙間から舌が入り込み、まるで生き物のように、翻弄される。
こんなキスを希彩は知らなかった。藁に縋るように光希のシャツを掴んでも彼はやめようとしない。
どうしたら良いのかわからず、希彩は目を閉じてされるがままになる。その目に滲む涙は先程までとは違い、生理的なものだ。
やっと唇が離れ、涙を舐められた時には希彩はもうわけがわからない状態だった。
そんな中、光希がもぞりと動く。
「な、何して……!」
力なく開かれた足の間、花弁を指で開き、顔を近付ける光希に希彩は驚く。
「気持ち良いこと教えてあげる」
「み、見逃してくれるって……」
「うん。だから、希彩ちゃんがイッたら終わり」
「そんな……!」
「じゃないと、辛いと思うよ?」
そう言って笑って、光希は蜜に濡れた秘部に舌を這わせる。
「汚い、から……!」
そんな場所を舐められるなど信じられない。しかし、力の抜けた希彩の体はビクビクと震えるばかりで光希を拒む事ができない。
「希彩ちゃん、ちゃんと声抑えてね」
「え……あっ、んぅっ!」
言われた意味がわからなかった希彩だが、次の瞬間、花芽に舌先が触れ、咄嗟に掌を口に当てる。
「ふっ、んっ、んぁっ」
再び指も挿入され、襲いかかってくる容赦のない感覚はこれまで希彩が感じたことのない強い快楽だった。
「ほら、こっちは我慢しないでイッて」
「んんぅっ!!」
花芽に吸い付かれ、何かが駆け上がるような、暴発する感覚に恐怖しながら、それを止めることはできなかった。
「はぁ……んっ!」
ビクビクと体が震え、荒い呼吸を繰り返す間、指が抜かれ、それさえ絶頂の余韻に飲まれる希彩には強い刺激だった。
「今のがイクってこと。大丈夫、希彩ちゃんの体は悪くない。気持ち良くないのは男の方の問題」
ぼんやりと光希の声を聞きながら希彩はただ天井を見上げる。ひどく恐ろしい感覚だった。
ほっとしたような、悲しいような気分に浸るところ視界に光希の顔が入り込む。
「今度する時は、もっといっぱいイかせてあげるからね」
「今度なんて……」
もう二度と彼とこんなことはしたくない。そう希彩は思うのに光希は笑む。それが優しく見えてしまうのはなぜだろうか。
「俺、希彩ちゃんのこと、好きになっちゃったみたい」
さらりと衝撃的な告白は爆弾が投下されたかのようだった。
「冗談はもうやめてよ……」
声を上げて泣き出したくなるほどに希彩は混乱していた。頭はパンク寸前だ。処理能力の限界を超えようとしている。
「冗談じゃない。本気。だから、今、君を抱くのをやめることにする」
ティッシュで濡れた秘部を拭われ、下着を履かされ、乱れた制服を直されるのは恥ずかしかったが、希彩はただされるがままだった。
しかし、本当にこれ以上の行為をされることがないのだと、ほっとしていた。
「必ず落とすから覚悟してね」
「そ、そんなの困る……!」
「抱くのは希彩ちゃんの心を手に入れた時でいいから」
じゃあね、と額にキスを落とされ、希彩は呆然とする。
「必要ないものは没収するね」
これ以上の抗議は聞かないとばかりに離れる光希の手の中には希彩の眼鏡があった。
「か、返して!」
眼鏡をちらつかせながら光希は笑って保健室から出て行く。
追いかけるどころか、慌てて起こした希彩の体はまたベッドに倒れていく。
結局、その日、希彩は早退することになり、眼鏡をしてないことを指摘されると寝惚けて落として壊してしまったと言い訳するしかなかった。
ぽつりと光希は零すが、希彩は彼がそんな風に言われるのが嫌だった。恐らく遼もそういったことが嫌だったのだと希彩は考えていた。
「お互い初めてだったから……だから、仕方なかったんだよ」
初めては痛いと聞いていたから希彩も覚悟していた。
遼もそれこそ先程の光希のように『優しくする』『努力する』と言って希彩を気遣ってくれた。けれど、我慢しようと、受け入れようと思っていたのに希彩は泣いて彼を困らせてしまった。互いに未熟だったのだ。否、自分が悪いのだと希彩は今でも遼に対して申し訳なく思い続けていた。
「でも、それで終わっちゃったんでしょ?」
体を重ねて数日、急に冷たくなって、一方的に別れようと言われて、何も言えずに希彩は終わりを受け入れるしかなかった。
「ってか、それ、いつのこと?」
「中学の時……」
「そんな話聞いたことないな。俺、この前、あいつの前で希彩ちゃんの話ししたけど、無反応だったし」
光希が何を言ったのか気になるものの、希彩は聞くのが怖かった。遼の反応にしてもそうだ。
きっと彼は自分の存在を忘れようとしているのかもしれない。同じ学校を選んだことを後悔しているのかもしれない。そうは思っても、もう過去のことだ。
「みんなに隠れて付き合ってたから……長く続かなかったし……」
当時から遼は人気者で、いつも周りを女子が取り囲んでいた。希彩はそこに加われるはずもなく、彼と関われたのは偶然だった。そんな状況で希彩がいじめられないようにと遼は配慮して内緒の付き合いをしていた。だから、デートもどこかに遊びに行けるわけでもなく、家で映画を観たり話をしたりをするぐらいだった。それでも、希彩は幸せだったのだ。あの時までは。
「あのさ、まさかと思うけど、キスも歯が当たった?」
全部見抜かれてしまうのかと思いながら希彩は頷く。あと、どれだけ質問に答えれば良いのか。
「そっか、知らなくて怖い思いさせたね」
ごめんね、とようやく指が抜かれ、頭が撫でられる。
それは不思議と嫌ではなく、けれど、やはりこんな状況が終わることを希彩は願っていた。もうこんなことしないでくれるのなら、また関わりのないクラスメートに戻れるなら、それで良かった。
「お詫びに俺が本当のキスと気持ち良いってこと、教えてあげる」
光希が優しく微笑み、顔が近付く。その目に吸い込まれてしまいそうで、希彩は反応ができないまま唇が重なった。
一度離れてもう一度、何度も唇が触れる。香水の匂いが頭を麻痺させて、酸素を取り込もうとした唇の隙間から舌が入り込み、まるで生き物のように、翻弄される。
こんなキスを希彩は知らなかった。藁に縋るように光希のシャツを掴んでも彼はやめようとしない。
どうしたら良いのかわからず、希彩は目を閉じてされるがままになる。その目に滲む涙は先程までとは違い、生理的なものだ。
やっと唇が離れ、涙を舐められた時には希彩はもうわけがわからない状態だった。
そんな中、光希がもぞりと動く。
「な、何して……!」
力なく開かれた足の間、花弁を指で開き、顔を近付ける光希に希彩は驚く。
「気持ち良いこと教えてあげる」
「み、見逃してくれるって……」
「うん。だから、希彩ちゃんがイッたら終わり」
「そんな……!」
「じゃないと、辛いと思うよ?」
そう言って笑って、光希は蜜に濡れた秘部に舌を這わせる。
「汚い、から……!」
そんな場所を舐められるなど信じられない。しかし、力の抜けた希彩の体はビクビクと震えるばかりで光希を拒む事ができない。
「希彩ちゃん、ちゃんと声抑えてね」
「え……あっ、んぅっ!」
言われた意味がわからなかった希彩だが、次の瞬間、花芽に舌先が触れ、咄嗟に掌を口に当てる。
「ふっ、んっ、んぁっ」
再び指も挿入され、襲いかかってくる容赦のない感覚はこれまで希彩が感じたことのない強い快楽だった。
「ほら、こっちは我慢しないでイッて」
「んんぅっ!!」
花芽に吸い付かれ、何かが駆け上がるような、暴発する感覚に恐怖しながら、それを止めることはできなかった。
「はぁ……んっ!」
ビクビクと体が震え、荒い呼吸を繰り返す間、指が抜かれ、それさえ絶頂の余韻に飲まれる希彩には強い刺激だった。
「今のがイクってこと。大丈夫、希彩ちゃんの体は悪くない。気持ち良くないのは男の方の問題」
ぼんやりと光希の声を聞きながら希彩はただ天井を見上げる。ひどく恐ろしい感覚だった。
ほっとしたような、悲しいような気分に浸るところ視界に光希の顔が入り込む。
「今度する時は、もっといっぱいイかせてあげるからね」
「今度なんて……」
もう二度と彼とこんなことはしたくない。そう希彩は思うのに光希は笑む。それが優しく見えてしまうのはなぜだろうか。
「俺、希彩ちゃんのこと、好きになっちゃったみたい」
さらりと衝撃的な告白は爆弾が投下されたかのようだった。
「冗談はもうやめてよ……」
声を上げて泣き出したくなるほどに希彩は混乱していた。頭はパンク寸前だ。処理能力の限界を超えようとしている。
「冗談じゃない。本気。だから、今、君を抱くのをやめることにする」
ティッシュで濡れた秘部を拭われ、下着を履かされ、乱れた制服を直されるのは恥ずかしかったが、希彩はただされるがままだった。
しかし、本当にこれ以上の行為をされることがないのだと、ほっとしていた。
「必ず落とすから覚悟してね」
「そ、そんなの困る……!」
「抱くのは希彩ちゃんの心を手に入れた時でいいから」
じゃあね、と額にキスを落とされ、希彩は呆然とする。
「必要ないものは没収するね」
これ以上の抗議は聞かないとばかりに離れる光希の手の中には希彩の眼鏡があった。
「か、返して!」
眼鏡をちらつかせながら光希は笑って保健室から出て行く。
追いかけるどころか、慌てて起こした希彩の体はまたベッドに倒れていく。
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