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三人で
止められない欲
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耳に触れる吐息のくすぐったさに身を捩るが、背後から抱き込まれているせいで自由に動くことはできない。
服越しながら背中から伝わる熱につられるように体温が上昇していくようだ。
そして、尻に押し当てられた物が硬く主張してきている。
このままではまずい。自分では止められない。
だからこそ、助けを求めるように和真を見て、実結は悟った。
自分は助からないのかもしれない、と。
「俺のベッドなのに変な感じ」
椅子に座って和真はじっとベッドに座っている実結と慶を見詰めてくる。
部屋の主を前に、彼のベッドで何をしているのだろうと実結は思う。すっかり和真の家に入り浸っている内に遠慮や羞恥というものは薄れてしまったのかもしれない。尤も、慶は初めから遠慮などしていなかったのかもしれないが。
和真も今の内にと思っているところがあるらしく、快く迎え入れてくれる。
実結の希望で三人一緒に出かけることもあったが、近頃は天気が悪いから家で過ごそうという流れになっている。
そして、一緒に映画を観るはずが結局セックスに持ち込まれたのが先週のことだ。拒否する余地はあった。実結が嫌だと言えばしない。それだけのことだ。
しかし、嫌ではないから困るのだ。求められれば受け入れてしまう。和真がしたいと言うのなら尚更だった。
「寝取られとか興奮しちゃう人です?」
クスクスと笑い声が実結の耳をくすぐる。問いかけは和真に対する物であるはずなのに、わざとやっているのだろう。
「俺に特殊な性癖はないよ」
「そうですかね?」
慶は疑わしげだが、体を重ねれば今まで知らなかった面を見ることもある。
性のことに疎かっただけに実結は性癖もよくわかっていないが、和真は至ってノーマルに思える。慶の方が些かアブノーマルに思えるくらいだ。
「実結ちゃんが可愛いすぎるから」
熱い視線を向けられながらの言葉に実結は一気に爆発しそうなほどの熱が顔に集まるのを感じた。溶けるのが先か、焼き焦がされるのが先なのか。
お互いの気持ちを打ち明けて和真は躊躇いなく言葉をくれるようになった。叶わないと思いながらも片想いを続けてきた憧れの和真に妹分としてでなく、異性として見られることは実結にとってこの上ない喜びだった。自分もまた拗らせてしまったのかもしれないと感じるほどに。
「だから、慶の憎らしさも中和されて見てられるのかも」
「うわっ、可愛い後輩を憎らしいとか言うんですか」
「お前、自分で可愛いと思ってるのか? 河西のこと、あざといとか言えないぞ」
「あれと一緒にされたくないんですけど」
慶は不満げだが、和真はまたからかって遊んでいるつもりなのだろう。そういう楽しみを見出したらしく何かと慶に構っては嫌がられている。慶は嫌がらせを受けているなどと称しているが、周りも面白がって見ているのだから彼の味方はいないとも言える。
「実際、憎たらしいだろ。ね? 実結ちゃん」
同意を求められて実結は困惑して視線をさまよわせた。何しろその憎たらしいと言われている慶に後ろからしっかりと抱き締められてしまっているのだ。逃げられない状況で素直に頷けるほど実結は肝が据わっているわけでもない。
「実結先輩は俺のこと、可愛がってくれてますよ。ねぇ?」
今度は慶に同意を求められるが、頷くことを強要されていると感じるほど実結は追い詰められた気分だった。可愛い後輩だと思っていたのは最初だけだ。
告白されてから何となく気まずくなり、それが連日のことともなれば対応に困るものだ。
「あ、後で撫でてあげるから……手も繋いでいいから……」
それで機嫌を直してほしい。実結にとっては精一杯の譲歩だった。
「キスがいいです」
それでは足りないと言わんばかりの要求に実結はすぐに答えられず、最適な言葉を必死に探す。
可愛らしいおねだりだと思えたら良かったのか。慶のキスはいやらしすぎるし、それだけでは済まなくなる。それがわかっているからこそ迂闊に答えられずに和真に助け船を求めようとしてしまう。
しかし、既に慶の手は胸を這い、尖り始めた先端の所在を突き止めてしまった。
「だ、だめ……」
何度となく攻められてきた自分の弱点を実結もわかっている。むずむずした疼きが広がって、陥落させられてしまうと危機感を覚える。
抱き締められるだけで、そういう気分になってしまうことを知られたくなかった。慶にとっては補給なのだろうが、実結は気が気ではない。
「学校では俺の彼女のはずなのに、和真先輩が邪魔してくるし、家では二人が恋人みたいな空気になるし、俺、実結先輩不足なんですけど。こんなんじゃ全然足りないんですけど」
何かと介入してくる和真によって実結は楽しく過ごしていたが、慶にとってはそうでないことも薄々わかっていたつもりだった。
彼が不満を募らせればろくなことにならないともよくわかっているつもりだった。
「俺のことペットだと思ってるんですよね?」
「そういうわけじゃ……」
捨て犬扱いしたことがあるのは事実だが、人間扱いしていないわけではないはずだった。
「和真先輩は彼女が飼ってるダメ犬の面倒を一緒に見てると思ってますよ。だから、あんなに余裕なんです。ペットがじゃれてるとしか思ってないんです」
そうなのだろうか、と実結が答えを求めて見れば和真は笑みを浮かべている。それは肯定なのだろうか。真意を探ろうとして実結は目を奪われてしまった。
その笑顔が好きなのだと自覚した一瞬、慶の存在を忘れてしまっていた。
「ひゃうっ!」
和真に見惚れていることを咎めるように、あるいは思い出させるように耳を噛まれ、実結は悲鳴に近い声を上げる。
飛び上がりそうな体は慶にしっかりと抱き込まれ、どこにも行くことができない。
だが、和真は笑みを崩さなかった。
「彼女のペットに嫉妬しても仕方ないよな。駄犬なんだし」
和真が妙に強調すれば、慶の腕に力が籠もる。
「俺を躾られると本気で思ってるんです?」
低くなった慶の声を怖いと感じるのは初めて犯された日のことを思い出してしまうからなのかもしれない。
ニコニコと笑って甘えてくれば可愛いこともある後輩だが、目が笑っていないことがある。その上、意識的に威圧してくるのことがあるのだから質が悪い。彼に恐怖を感じたからこそ実結は逆らうことができなかった。
普段は敬語を使い、後輩らしく振る舞っていても凶暴な本性を隠していることを実結も和真も知っている。だからこそ、背後にいても異様な存在感がある。表情が見えないのは幸か不幸かわからないほどだ。
「思ってるけど――俺に躾けられるのが怖い?」
和真の笑顔がニヒルな物へと変わる。慶を見ているはずなのに、射抜かれてしまうと実結は直感した。それは恐怖ではなく、ときめきなのかもしれない。
「まさか。下手な挑発はやめた方がいいですよ。困るの、実結先輩なんで」
「ひぃ、あ……」
耳に舌を這わされ、ぶるりと実結は震える。胸の尖りを服越しに擦る手も止まらない。引き剥がそうとしても慶の手はびくともしない。
そうして生み出される官能の疼痛は下腹部に熱を集中させていく。体は実結の意志に反して準備を始めてしまっている。そうなってしまえば、実結には止めることはできない。
服越しながら背中から伝わる熱につられるように体温が上昇していくようだ。
そして、尻に押し当てられた物が硬く主張してきている。
このままではまずい。自分では止められない。
だからこそ、助けを求めるように和真を見て、実結は悟った。
自分は助からないのかもしれない、と。
「俺のベッドなのに変な感じ」
椅子に座って和真はじっとベッドに座っている実結と慶を見詰めてくる。
部屋の主を前に、彼のベッドで何をしているのだろうと実結は思う。すっかり和真の家に入り浸っている内に遠慮や羞恥というものは薄れてしまったのかもしれない。尤も、慶は初めから遠慮などしていなかったのかもしれないが。
和真も今の内にと思っているところがあるらしく、快く迎え入れてくれる。
実結の希望で三人一緒に出かけることもあったが、近頃は天気が悪いから家で過ごそうという流れになっている。
そして、一緒に映画を観るはずが結局セックスに持ち込まれたのが先週のことだ。拒否する余地はあった。実結が嫌だと言えばしない。それだけのことだ。
しかし、嫌ではないから困るのだ。求められれば受け入れてしまう。和真がしたいと言うのなら尚更だった。
「寝取られとか興奮しちゃう人です?」
クスクスと笑い声が実結の耳をくすぐる。問いかけは和真に対する物であるはずなのに、わざとやっているのだろう。
「俺に特殊な性癖はないよ」
「そうですかね?」
慶は疑わしげだが、体を重ねれば今まで知らなかった面を見ることもある。
性のことに疎かっただけに実結は性癖もよくわかっていないが、和真は至ってノーマルに思える。慶の方が些かアブノーマルに思えるくらいだ。
「実結ちゃんが可愛いすぎるから」
熱い視線を向けられながらの言葉に実結は一気に爆発しそうなほどの熱が顔に集まるのを感じた。溶けるのが先か、焼き焦がされるのが先なのか。
お互いの気持ちを打ち明けて和真は躊躇いなく言葉をくれるようになった。叶わないと思いながらも片想いを続けてきた憧れの和真に妹分としてでなく、異性として見られることは実結にとってこの上ない喜びだった。自分もまた拗らせてしまったのかもしれないと感じるほどに。
「だから、慶の憎らしさも中和されて見てられるのかも」
「うわっ、可愛い後輩を憎らしいとか言うんですか」
「お前、自分で可愛いと思ってるのか? 河西のこと、あざといとか言えないぞ」
「あれと一緒にされたくないんですけど」
慶は不満げだが、和真はまたからかって遊んでいるつもりなのだろう。そういう楽しみを見出したらしく何かと慶に構っては嫌がられている。慶は嫌がらせを受けているなどと称しているが、周りも面白がって見ているのだから彼の味方はいないとも言える。
「実際、憎たらしいだろ。ね? 実結ちゃん」
同意を求められて実結は困惑して視線をさまよわせた。何しろその憎たらしいと言われている慶に後ろからしっかりと抱き締められてしまっているのだ。逃げられない状況で素直に頷けるほど実結は肝が据わっているわけでもない。
「実結先輩は俺のこと、可愛がってくれてますよ。ねぇ?」
今度は慶に同意を求められるが、頷くことを強要されていると感じるほど実結は追い詰められた気分だった。可愛い後輩だと思っていたのは最初だけだ。
告白されてから何となく気まずくなり、それが連日のことともなれば対応に困るものだ。
「あ、後で撫でてあげるから……手も繋いでいいから……」
それで機嫌を直してほしい。実結にとっては精一杯の譲歩だった。
「キスがいいです」
それでは足りないと言わんばかりの要求に実結はすぐに答えられず、最適な言葉を必死に探す。
可愛らしいおねだりだと思えたら良かったのか。慶のキスはいやらしすぎるし、それだけでは済まなくなる。それがわかっているからこそ迂闊に答えられずに和真に助け船を求めようとしてしまう。
しかし、既に慶の手は胸を這い、尖り始めた先端の所在を突き止めてしまった。
「だ、だめ……」
何度となく攻められてきた自分の弱点を実結もわかっている。むずむずした疼きが広がって、陥落させられてしまうと危機感を覚える。
抱き締められるだけで、そういう気分になってしまうことを知られたくなかった。慶にとっては補給なのだろうが、実結は気が気ではない。
「学校では俺の彼女のはずなのに、和真先輩が邪魔してくるし、家では二人が恋人みたいな空気になるし、俺、実結先輩不足なんですけど。こんなんじゃ全然足りないんですけど」
何かと介入してくる和真によって実結は楽しく過ごしていたが、慶にとってはそうでないことも薄々わかっていたつもりだった。
彼が不満を募らせればろくなことにならないともよくわかっているつもりだった。
「俺のことペットだと思ってるんですよね?」
「そういうわけじゃ……」
捨て犬扱いしたことがあるのは事実だが、人間扱いしていないわけではないはずだった。
「和真先輩は彼女が飼ってるダメ犬の面倒を一緒に見てると思ってますよ。だから、あんなに余裕なんです。ペットがじゃれてるとしか思ってないんです」
そうなのだろうか、と実結が答えを求めて見れば和真は笑みを浮かべている。それは肯定なのだろうか。真意を探ろうとして実結は目を奪われてしまった。
その笑顔が好きなのだと自覚した一瞬、慶の存在を忘れてしまっていた。
「ひゃうっ!」
和真に見惚れていることを咎めるように、あるいは思い出させるように耳を噛まれ、実結は悲鳴に近い声を上げる。
飛び上がりそうな体は慶にしっかりと抱き込まれ、どこにも行くことができない。
だが、和真は笑みを崩さなかった。
「彼女のペットに嫉妬しても仕方ないよな。駄犬なんだし」
和真が妙に強調すれば、慶の腕に力が籠もる。
「俺を躾られると本気で思ってるんです?」
低くなった慶の声を怖いと感じるのは初めて犯された日のことを思い出してしまうからなのかもしれない。
ニコニコと笑って甘えてくれば可愛いこともある後輩だが、目が笑っていないことがある。その上、意識的に威圧してくるのことがあるのだから質が悪い。彼に恐怖を感じたからこそ実結は逆らうことができなかった。
普段は敬語を使い、後輩らしく振る舞っていても凶暴な本性を隠していることを実結も和真も知っている。だからこそ、背後にいても異様な存在感がある。表情が見えないのは幸か不幸かわからないほどだ。
「思ってるけど――俺に躾けられるのが怖い?」
和真の笑顔がニヒルな物へと変わる。慶を見ているはずなのに、射抜かれてしまうと実結は直感した。それは恐怖ではなく、ときめきなのかもしれない。
「まさか。下手な挑発はやめた方がいいですよ。困るの、実結先輩なんで」
「ひぃ、あ……」
耳に舌を這わされ、ぶるりと実結は震える。胸の尖りを服越しに擦る手も止まらない。引き剥がそうとしても慶の手はびくともしない。
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