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三人で
悪魔の誘惑
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「先週したのに……今月もう二回目になっちゃう……」
このままでは流されてしまう。与えるだけではいけない。時には拒むことも必要だと自分に言い聞かせても既に力が入らない。本気で拒絶しなければ慶は絶対にやめないとわかっているはずなのに、それができない。
体調が悪いわけでもなく、単純に実結の心の問題である。それに気付いているからか、慶が気遣ってくれる様子はない。
淫らな行為に耽るのが罪悪に思えるのに、慶はそんなことを考えもしないのだろう。堕落させる悪魔のように実結を誘惑してくる。目の前にいる和真も天使とは言えない。
「最低でも月一はしないと絶対に我慢できないってだけで、本音はもっとしたいです。って言うか、少なすぎます」
「なんか騙された気がする……」
「騙してません。ちゃんと倍率の話もしましたし、サービスも要求してます」
月に一回くらいなら仕方ないと思ってしまったのが間違いだったのかもしれない。サービスとは言っても今の実結が彼にしてやれることは『よしよし』と撫でてやることや手を繋ぐことぐらいだ。二人ですることにまだ抵抗感がある。
性的な意図を持つと恐怖が消えないことは理解してくれているらしいが、要求をやめるわけではない。
もっと話をすれば彼のことがわかるかもしれないのに、他の対話方法を持ち合わせていないかのように慶は触れ合いを求めてくる。尤も、慶の謎を紐解く勇気はまだないのだが。
和真の前では平気とわかっているからこそ、大胆に迫ってくる。そして、こうして抱き締めていても満足していないのは明らかだ。
「欠乏ポイントがガンガン貯まってるので消化してください」
慶は楽しげだが、些細なことで倍率が上がる非常に厄介なポイントは実結の悩みの種だった。溜まって嬉しいとは思えない。むしろ負債に近いもので、体で借金を返させられているのも同然だった。
「夏休みが楽しみです。いっぱい、俺と一緒に汗をかきましょうね」
弾んだ声に気が遠くなるようだった。夏休みなんてこなければ良いのにと願ってしまうほどには実結にとっての楽しみではない。
「若い子の性欲って凄いな……はは……」
実結が憂鬱になるほどには慶の性欲は強いのだろう。和真も毎度のことながら呆れた様子で乾いた笑いを漏らしている。
「先輩がじじいなだけです」
「大人だって言ってくれ。実結ちゃんに負担かけたくないんだ」
そんな気遣いに実結の胸は高鳴るが、未然に防いでくれないのだから本心は見透かされてしまっているのかもしれない。
「実結先輩だって若いんだから回数こなせばついてこれるようになりますよ。折角、エッチな体してるんだし」
「そ、そんなことないもん……」
異性を魅了できるような体つきではないことは実結も自覚している。慶が言っているのがそういうことでないこともわかっている。けれど、淫乱だと言われているようで認めたくはなかった。
「こんなに敏感なのに?」
「ひ、あ……っ!」
遂に服の裾から侵入してきた指がブラジャーをずらし、直接先端に触れる。
「け、慶君が触るから……!」
「えー、俺のせいなんです?」
「だめっ……ぁ、あ……」
くりくりと先端を弄ばれて実結は喉を反らす。もぞもぞと身を捩っても一向に抜け出せる気配はない。慶は隙を見せてくれない。
「ほら、俺のズボンまで濡らす前に決断してくださいね」
「そ、そんなにならないもん……」
「そうですか? ここ、もう湿ってるんですけどね」
「やっ! 触らないで……ぁんぅっ!」
意地悪く囁いてショーツの上から秘部を撫でられては実結の負けが決まったも同然だった。足をバタバタと動かしても無駄だった。
「とか言って、本気で嫌がらないと和真先輩も止めてくれませんよ」
「やめっ、おねがっ、やぁんっ……!」
実結が感じるところを慶は的確に攻めてくる。拒否する隙など与えるつもりは始めからないのだろう。彼は実結を落とす方法を知っていて、確実に実行できる。そういった容赦なさは和真にはないものだ。
「ここ、もうぬるぬるなのに、やめていいんですか?」
ぬるついた液体を塗り広げるようにされて、実結はいやいやと首を横に振る。くちゅくちゅと音が聞こえるほどになってしまった。下着にしみが出来てしまっているだろうが、考えたくなかった。
「今日は、ぁ……しない、からぁ……っ!」
顔が熱く、息も上がってしまっている。それでも実結は悪魔の誘惑に抗ってみようとした。
「我慢は体に悪いですよ」
「んぅっ……!」
下着越しに花芽を摘ままれてしまっては耐えきれなくなる。一気に絶頂に近付いたのがわかる。このままでは、抱かれる選択肢しかなくなってしまう。最初からそれしかないのかもしれない。時には飼い主としての威厳を見せたかったのだが、意味のない反抗だと思い知らされるだけだったのかもしれない。
体はもう受け入れようとしているのに、心はまだ抵抗感を持っている。実結の中で天使と悪魔が拮抗している。
「モラルとか難しいこと考えるのやめましょうよ。楽しめる時に楽しまないと」
実結の葛藤を察したように、慶が悪魔のように吹き込んでくる。
「お前は欲望に忠実すぎだろ」
「俺は実結先輩の忠犬なんですー」
慶は反論するが、絶対に違うと実結はツッコミを入れたかった。一度、噛み付かれて恐怖心を抱いているくらいに慶は狂犬だ。あるいはペットにされているのは自分かもしれないと思うほどに実結は自分の立場の弱さを感じている。
「あとは育った環境の違いですかね?」
「なんか闇が深いよな……」
しみじみと和真は呟く。彼も触れ難い物を感じているのだろう。
「実結先輩はまだ深淵を覗く勇気がないみたいですね」
「あ……」
指摘されてしまえば、勇気がないことを言い訳に逃げている気がして実結は反応に困った。
「責めてないですよ。実結先輩が俺を捨てない限りは待ちますから。心の準備ができたら言ってくださいね」
声は優しいが、捨てることは実結には許されていないも同然だ。実結を確実に捕らえたからこそ、猶予を与えてくれる。そして、手を止めてくれないのだから慶は和真が言ったようにサディストの気質があるのだろう。
「っ、あ、だめ……指、やぁ……」
「トロトロにしてるくせに何言ってるんですか。欲しかったんでしょ? いや、もっと大きいのが欲しいんですよね?」
ショーツを避けて進入してきた二本の指が実結の中を掻き回し、弱い部分を掠めていく。やっと中に触れてもらえたと思ってしまうことも物足りないとも感じてしまっていることも事実だった。既に大きな熱に満たされる喜びを知ってしまった体は正直過ぎた。
「ちがっ……は、ぁんっ」
「こんなに濡らしてるのに何が違うんです? 俺だから嫌? 和真先輩にされたい?」
目の前に濡れた指を掲げられて実結はふるふると首を横に振る。
「見て」
慶の声は実結に対して絶大な強制力を持っている。二本の指の間で自分の体液が糸を引く様から目を背けたいのに、できない。
「やあぁっ……」
「そんなに嫌なら、ここで終わりにしましょうか。無理強いは良くないですもんね」
服の下から手が抜けて胸への刺激が止み、やっと解放されたはずなのに実結は動くこともできなかった。体は完全に続きを期待してしまっている。それこそ我慢は体に悪いと言われた意味がわかるのに、それでもプライドが邪魔をするのか、求めることはできない。
このままでは流されてしまう。与えるだけではいけない。時には拒むことも必要だと自分に言い聞かせても既に力が入らない。本気で拒絶しなければ慶は絶対にやめないとわかっているはずなのに、それができない。
体調が悪いわけでもなく、単純に実結の心の問題である。それに気付いているからか、慶が気遣ってくれる様子はない。
淫らな行為に耽るのが罪悪に思えるのに、慶はそんなことを考えもしないのだろう。堕落させる悪魔のように実結を誘惑してくる。目の前にいる和真も天使とは言えない。
「最低でも月一はしないと絶対に我慢できないってだけで、本音はもっとしたいです。って言うか、少なすぎます」
「なんか騙された気がする……」
「騙してません。ちゃんと倍率の話もしましたし、サービスも要求してます」
月に一回くらいなら仕方ないと思ってしまったのが間違いだったのかもしれない。サービスとは言っても今の実結が彼にしてやれることは『よしよし』と撫でてやることや手を繋ぐことぐらいだ。二人ですることにまだ抵抗感がある。
性的な意図を持つと恐怖が消えないことは理解してくれているらしいが、要求をやめるわけではない。
もっと話をすれば彼のことがわかるかもしれないのに、他の対話方法を持ち合わせていないかのように慶は触れ合いを求めてくる。尤も、慶の謎を紐解く勇気はまだないのだが。
和真の前では平気とわかっているからこそ、大胆に迫ってくる。そして、こうして抱き締めていても満足していないのは明らかだ。
「欠乏ポイントがガンガン貯まってるので消化してください」
慶は楽しげだが、些細なことで倍率が上がる非常に厄介なポイントは実結の悩みの種だった。溜まって嬉しいとは思えない。むしろ負債に近いもので、体で借金を返させられているのも同然だった。
「夏休みが楽しみです。いっぱい、俺と一緒に汗をかきましょうね」
弾んだ声に気が遠くなるようだった。夏休みなんてこなければ良いのにと願ってしまうほどには実結にとっての楽しみではない。
「若い子の性欲って凄いな……はは……」
実結が憂鬱になるほどには慶の性欲は強いのだろう。和真も毎度のことながら呆れた様子で乾いた笑いを漏らしている。
「先輩がじじいなだけです」
「大人だって言ってくれ。実結ちゃんに負担かけたくないんだ」
そんな気遣いに実結の胸は高鳴るが、未然に防いでくれないのだから本心は見透かされてしまっているのかもしれない。
「実結先輩だって若いんだから回数こなせばついてこれるようになりますよ。折角、エッチな体してるんだし」
「そ、そんなことないもん……」
異性を魅了できるような体つきではないことは実結も自覚している。慶が言っているのがそういうことでないこともわかっている。けれど、淫乱だと言われているようで認めたくはなかった。
「こんなに敏感なのに?」
「ひ、あ……っ!」
遂に服の裾から侵入してきた指がブラジャーをずらし、直接先端に触れる。
「け、慶君が触るから……!」
「えー、俺のせいなんです?」
「だめっ……ぁ、あ……」
くりくりと先端を弄ばれて実結は喉を反らす。もぞもぞと身を捩っても一向に抜け出せる気配はない。慶は隙を見せてくれない。
「ほら、俺のズボンまで濡らす前に決断してくださいね」
「そ、そんなにならないもん……」
「そうですか? ここ、もう湿ってるんですけどね」
「やっ! 触らないで……ぁんぅっ!」
意地悪く囁いてショーツの上から秘部を撫でられては実結の負けが決まったも同然だった。足をバタバタと動かしても無駄だった。
「とか言って、本気で嫌がらないと和真先輩も止めてくれませんよ」
「やめっ、おねがっ、やぁんっ……!」
実結が感じるところを慶は的確に攻めてくる。拒否する隙など与えるつもりは始めからないのだろう。彼は実結を落とす方法を知っていて、確実に実行できる。そういった容赦なさは和真にはないものだ。
「ここ、もうぬるぬるなのに、やめていいんですか?」
ぬるついた液体を塗り広げるようにされて、実結はいやいやと首を横に振る。くちゅくちゅと音が聞こえるほどになってしまった。下着にしみが出来てしまっているだろうが、考えたくなかった。
「今日は、ぁ……しない、からぁ……っ!」
顔が熱く、息も上がってしまっている。それでも実結は悪魔の誘惑に抗ってみようとした。
「我慢は体に悪いですよ」
「んぅっ……!」
下着越しに花芽を摘ままれてしまっては耐えきれなくなる。一気に絶頂に近付いたのがわかる。このままでは、抱かれる選択肢しかなくなってしまう。最初からそれしかないのかもしれない。時には飼い主としての威厳を見せたかったのだが、意味のない反抗だと思い知らされるだけだったのかもしれない。
体はもう受け入れようとしているのに、心はまだ抵抗感を持っている。実結の中で天使と悪魔が拮抗している。
「モラルとか難しいこと考えるのやめましょうよ。楽しめる時に楽しまないと」
実結の葛藤を察したように、慶が悪魔のように吹き込んでくる。
「お前は欲望に忠実すぎだろ」
「俺は実結先輩の忠犬なんですー」
慶は反論するが、絶対に違うと実結はツッコミを入れたかった。一度、噛み付かれて恐怖心を抱いているくらいに慶は狂犬だ。あるいはペットにされているのは自分かもしれないと思うほどに実結は自分の立場の弱さを感じている。
「あとは育った環境の違いですかね?」
「なんか闇が深いよな……」
しみじみと和真は呟く。彼も触れ難い物を感じているのだろう。
「実結先輩はまだ深淵を覗く勇気がないみたいですね」
「あ……」
指摘されてしまえば、勇気がないことを言い訳に逃げている気がして実結は反応に困った。
「責めてないですよ。実結先輩が俺を捨てない限りは待ちますから。心の準備ができたら言ってくださいね」
声は優しいが、捨てることは実結には許されていないも同然だ。実結を確実に捕らえたからこそ、猶予を与えてくれる。そして、手を止めてくれないのだから慶は和真が言ったようにサディストの気質があるのだろう。
「っ、あ、だめ……指、やぁ……」
「トロトロにしてるくせに何言ってるんですか。欲しかったんでしょ? いや、もっと大きいのが欲しいんですよね?」
ショーツを避けて進入してきた二本の指が実結の中を掻き回し、弱い部分を掠めていく。やっと中に触れてもらえたと思ってしまうことも物足りないとも感じてしまっていることも事実だった。既に大きな熱に満たされる喜びを知ってしまった体は正直過ぎた。
「ちがっ……は、ぁんっ」
「こんなに濡らしてるのに何が違うんです? 俺だから嫌? 和真先輩にされたい?」
目の前に濡れた指を掲げられて実結はふるふると首を横に振る。
「見て」
慶の声は実結に対して絶大な強制力を持っている。二本の指の間で自分の体液が糸を引く様から目を背けたいのに、できない。
「やあぁっ……」
「そんなに嫌なら、ここで終わりにしましょうか。無理強いは良くないですもんね」
服の下から手が抜けて胸への刺激が止み、やっと解放されたはずなのに実結は動くこともできなかった。体は完全に続きを期待してしまっている。それこそ我慢は体に悪いと言われた意味がわかるのに、それでもプライドが邪魔をするのか、求めることはできない。
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