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第一章
プロローグ②
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7月6日午前零時
―――神田神保町靖国通り付近。
「ダメだよ……。はぁはぁ……。もう間に合わないさ……。日付け変更線越えるぜ。それに、気持ち悪くなる。結構飲んだからな……」
「大丈夫だ……、走れよ……。はぁ……、はぁっ、まだ12時なったばかりだろ? あと10分はある……」
「もういいよ……はぁ……、酒入ってて……、こんなに走って……。つーか、もう走れねぇ……。ダメだ……、マジ無理……、吐きそう……。はぁ……、まだ駿河台下にすら着かない……」
「もう金ねぇんだ……。なんとしても、はぁ……はぁ……、終電乗らねぇと……」
「俺は……、いい……、俺の方の終電には30分以上ある……。はぁはぁっ……。だから……、はぁはぁっ、お前だけ先に行ってくれ……はぁ、はぁ、はぁ……」
「なんだよっ……、マジかよ……、俺はこのまま行くぞっ……、くっ……くはぁっ……。じゃあなっ、ナオト……。明日の昼……学食行くから……」
「あぁ……、気持ち悪い、マジもどしそう……。はぁはぁっ……。あぁっ、きっつい……、はぁっ……」
「わーった……。んじゃなぁっ……」
「おうっ……、はぁはぁ……、はぁはぁ……、はぁ……」
(マサル……、。本当に走ってった……。あぁ……しんどい……。あいつ……、北千住だったっけ……。終電早いんだな……あっち方面は……)
(0時5分か……。この時間になると、昼間とはまるで雰囲気違うな……。車も人もほとんどいないし……。しかし、薄気味悪いな……。こんなにも変わるものか……? 酒が入ってなけりゃ、おっかなくて、なかなか一人では歩けないぞ、こりゃ……、ふはははははははっ……って、マジ吐く……)
(ん? なんだ? あのビルの入り口の前にある白くてモゴモゴ動いて見えるのは……。ひょっとして、見えてはイケナイものが見えてるか? えー、事故現場跡じゃねーよな……。まさか、ここら辺一帯、墓場とか刑場とかなかっただろうな? 江戸時代とか……、もっと昔とか……。って、あー、なんだ、鳥肌立ってきた……。あの白いの……、なんだ? いやだな……。回り道するか……? 脇道……入るか……ん? ダメだダメだ、おっかなすぎる……。脇道細過ぎ……。おまけに雑居ビルばかり……、余計に気味悪ぃや……。ギリ車道近くを行こう……。いやいや、車ほとんど来ないから車道でもいいか……)
(ん? なんだよ……。本じゃねぇか……。風でパラパラ捲れてるだけか……、おどかしやがって……。チッ……。そういえば……、昔、公園の植え込みとか、河原にエロ本が落ちてたっけな……、くっくっく……。雨で濡れてガビガビになってるのを破けないようにユックリめくったっけなぁ……、くっくっく……。って、それにしても、あの本、白過ぎじゃね……? やたらと分厚そうな本だけど、何も書いてないのか? やたらと白いな……。ちと、見てみるか……。幽霊の正体見たりなんとかかんとか……。本とわかれば怖くはないしな……)
(んんっ? なんだ、こりゃ? 白紙じゃないな……。てか、近くに来たら急に字が見え始めたか? 見間違いか? 筆書きだな、紐で綴じてある……。いつの時代だよ? って、それなのに白過ぎじゃね? 汚れていない……。なんだぁ……?)
(筆書きでズラズラ文字が書かれている……。ん? 挿絵も描かれている……。指を組んでいる絵だ……。なんだ? 臨……、者……、前……、あー、風でペラペラ捲れてよく読めないな……。汚くなさそうだから、拾ってみるか……)
(分厚いな……、広辞苑くらいか……、和紙だから余計か? って、これ和紙? わからん……。綺麗だよな、ちっとも汚れていない……。それに……、妙に軽い……。表紙は白紙か……。阿毘羅吽欠 ……? なんて読むんだ? 読めねぇ……、くっくっく……、俺が無知なのか? お、これは……、臨……、兵・闘……、者・皆・陣……烈……在・前……、なんか聞いたことあるな……。なんだっけ……、なんかで見たか聞いたかしたな……。指を組んでいる絵は……何だ? いやいや、他は読めねぇ字ばっかりだな……。持って帰っか……。へへっ、珍しいしな、電車の中で見てみるか……。つまらなきゃ、網棚に置いて帰ればいいし……)
―――神田神保町靖国通り付近。
「ダメだよ……。はぁはぁ……。もう間に合わないさ……。日付け変更線越えるぜ。それに、気持ち悪くなる。結構飲んだからな……」
「大丈夫だ……、走れよ……。はぁ……、はぁっ、まだ12時なったばかりだろ? あと10分はある……」
「もういいよ……はぁ……、酒入ってて……、こんなに走って……。つーか、もう走れねぇ……。ダメだ……、マジ無理……、吐きそう……。はぁ……、まだ駿河台下にすら着かない……」
「もう金ねぇんだ……。なんとしても、はぁ……はぁ……、終電乗らねぇと……」
「俺は……、いい……、俺の方の終電には30分以上ある……。はぁはぁっ……。だから……、はぁはぁっ、お前だけ先に行ってくれ……はぁ、はぁ、はぁ……」
「なんだよっ……、マジかよ……、俺はこのまま行くぞっ……、くっ……くはぁっ……。じゃあなっ、ナオト……。明日の昼……学食行くから……」
「あぁ……、気持ち悪い、マジもどしそう……。はぁはぁっ……。あぁっ、きっつい……、はぁっ……」
「わーった……。んじゃなぁっ……」
「おうっ……、はぁはぁ……、はぁはぁ……、はぁ……」
(マサル……、。本当に走ってった……。あぁ……しんどい……。あいつ……、北千住だったっけ……。終電早いんだな……あっち方面は……)
(0時5分か……。この時間になると、昼間とはまるで雰囲気違うな……。車も人もほとんどいないし……。しかし、薄気味悪いな……。こんなにも変わるものか……? 酒が入ってなけりゃ、おっかなくて、なかなか一人では歩けないぞ、こりゃ……、ふはははははははっ……って、マジ吐く……)
(ん? なんだ? あのビルの入り口の前にある白くてモゴモゴ動いて見えるのは……。ひょっとして、見えてはイケナイものが見えてるか? えー、事故現場跡じゃねーよな……。まさか、ここら辺一帯、墓場とか刑場とかなかっただろうな? 江戸時代とか……、もっと昔とか……。って、あー、なんだ、鳥肌立ってきた……。あの白いの……、なんだ? いやだな……。回り道するか……? 脇道……入るか……ん? ダメだダメだ、おっかなすぎる……。脇道細過ぎ……。おまけに雑居ビルばかり……、余計に気味悪ぃや……。ギリ車道近くを行こう……。いやいや、車ほとんど来ないから車道でもいいか……)
(ん? なんだよ……。本じゃねぇか……。風でパラパラ捲れてるだけか……、おどかしやがって……。チッ……。そういえば……、昔、公園の植え込みとか、河原にエロ本が落ちてたっけな……、くっくっく……。雨で濡れてガビガビになってるのを破けないようにユックリめくったっけなぁ……、くっくっく……。って、それにしても、あの本、白過ぎじゃね……? やたらと分厚そうな本だけど、何も書いてないのか? やたらと白いな……。ちと、見てみるか……。幽霊の正体見たりなんとかかんとか……。本とわかれば怖くはないしな……)
(んんっ? なんだ、こりゃ? 白紙じゃないな……。てか、近くに来たら急に字が見え始めたか? 見間違いか? 筆書きだな、紐で綴じてある……。いつの時代だよ? って、それなのに白過ぎじゃね? 汚れていない……。なんだぁ……?)
(筆書きでズラズラ文字が書かれている……。ん? 挿絵も描かれている……。指を組んでいる絵だ……。なんだ? 臨……、者……、前……、あー、風でペラペラ捲れてよく読めないな……。汚くなさそうだから、拾ってみるか……)
(分厚いな……、広辞苑くらいか……、和紙だから余計か? って、これ和紙? わからん……。綺麗だよな、ちっとも汚れていない……。それに……、妙に軽い……。表紙は白紙か……。阿毘羅吽欠 ……? なんて読むんだ? 読めねぇ……、くっくっく……、俺が無知なのか? お、これは……、臨……、兵・闘……、者・皆・陣……烈……在・前……、なんか聞いたことあるな……。なんだっけ……、なんかで見たか聞いたかしたな……。指を組んでいる絵は……何だ? いやいや、他は読めねぇ字ばっかりだな……。持って帰っか……。へへっ、珍しいしな、電車の中で見てみるか……。つまらなきゃ、網棚に置いて帰ればいいし……)
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