ダンジョンチケット

９章 力の欠片

ダンジョンチケット７９

バーダは勢いをつけ一気にルーに斬りかかるとすぐにルーはそれをアッサリと交わしバーダをまるで赤子でもあやすかのように足らい続けたのだ、何回か続くにつれてバーダの苛立ちは限界を超えたのであった。

バーダ『ハアァ！ルー！テメェなめんな！ちゃんと戦いやがれ！ハアァ！』

バーダはルーが遊んでいるのが分かっていたからこそ、我慢ができなかったのだ。

バーダがルーを倒すためにどれ程腕を磨いたことだろうか、叶わぬ願いと笑われた事もあった、ルーをバカにされ自分の事のように怒り敵を切り刻んだ事もあった。
何時しかいつしかルーの最強の弟子とまで言われるようになっていた、だが今目の前に居るルーはそれを足らうように攻撃を意図も容易く交わしていく。
バーダは悔しかった、だからこそ、がむしゃらに全てをルーにぶつけにいったのだ。

ルー『相変わらずだなバーダ、お前は鬼と言うより猪だな？』

バーダ『ならその猪にやられて！眠りやがれ！老いぼれ！』

ルー『言うたな？鬼娘が！なら少し力を見してやる！ハアァ！』
バーダ『アンタはいつも上から私をみる！私の気持ちも知らないくせに！ハアァ！』

双方が一気に力を解放したのだ！バーダが槍に魔法をかけ一気に距離を縮めようとしたその時ルーは既にバーダとの距離を縮めていたのだった！

バーダ『な！はや……』

目の前にいきなりルーの姿が入りバーダは一瞬動きが鈍った。

ルー『だからお前はまだまだ甘いんだ！いくぞ』

パチンっ！と凄まじい音がなる

ルーはバーダの額にデコピンを食らわせるとバーダはぶっ飛んだ。

ルー『これが今のお前とワシの力の差だ？理解できたか？バーダよ、うぬは確かに強く正面からぶつかれば、大概の者と渡り合いそして勝利するだろう、だが今のように見切られれば意図も容易く交わされる』

ルーの指摘は正しかった、正面からの打ち合いならばまず負けない自信があったバーダは尚更それを理解した。

ルー『強くなりたいなら！ちゃんと話を先ずは聞けバーダよ、此処は記憶の世界だ、現実の１秒にも満たない世界だ、お前は此処に強さを求めてきたのだろ？どうだ話を聞く気になったか？』

バーダは槍をいったん地面に突き刺しその場に座った。

ルー『うむ、そうさな、なら一息いれるか』

バーダはフンと態度は相変わらずだったが、素直にルーの言葉を聞きルーの小屋まで足を運ぶことにしたのだった。
ルーの出してくれたお茶は懐かしい味がした、バーダは初めてルーと戦った時の事を思い出した。
ルーは自身を襲ったバーダを必死に看病しそれでも命がつきようとしたバーダに言った言葉
『お前さんは？こんなところで死にたいのか？』私は確かに『嫌だ』と答えたのだ、そして薄れ行く意識の中でルーは私の魂を喰らい死を回避させてくれた。

バーダ『私だって……分かってるんだよ……分かってるんだ……』

ルー『よしよし、全く素直じゃないのう、明日から修業再開だ、確り飯を食って今日は休め？いいな！』

バーダはルーから究極の見切りとは何かそして強さとは何かを学ぶことになったのだ。

バーダは記憶の世界の中で初めてルーとゆっくり向き合ったのであった。