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１３章 王の戦い

ダンジョンチケット１６６

「ガハハハハ、まったくもって有り得ん奴だ！だが、敗けは敗けだ」
そう言うとスルトを含む巨兵族達は拓武を前に胸に手を当てると目をつぶった。
「我等、巨兵族は今より、かぐやの元を離れ新たなる王の元に下る、偉大なる月の守護者かぐや に我等、巨兵族は感謝と此れからも尊敬の念を持つと誓う」
「「偉大なる、かぐや に尊敬の念を！」」
巨兵族がスルトに続き声をあげていく光景は圧倒的な迫力であった。
そして全てが終わるとスルト達は拓武に対して手を差し出した。
次の瞬間、拓武の紋章が光輝くとスルト達にも紋章が描き出された。
即ち、拓武の魂血の民になった証だった。

それは冥界が幻想界を支配下においた瞬間でもあり、竜也とオクシードも予想外の展開に唖然とする他無かった。
拓武自身はどれ程の凄い事かをまだ理解していない様子であった。

そんな拓武達を楽しそうに見ている者がいた。
「よいのぅ、誠に楽しそうで けっこうけっこう」
拓武達が声のする方に振り向くとスルトの顔が青ざめ、モシュネの表情も険しくなった。
「どうした？そんな怖い顔をしては折角の美しい顔が台無しではないか？ムネモシュネ」
そう言いとその女は笑ったのだ。
美しい顔に透き通るような白い肌、だが、拓武は得たいの知れない恐怖を感じていた。
「モシュネ、この人は誰なんだ？」
拓武の質問にモシュネは冷静に答えた。
「主様、今 目の前に要るのは人では御座いません。神よりも厄介な人物に御座います」
モシュネがそう言うと女は笑いながら拓武に話しかけてきたのだ。
「私が、かぐや だ、人間にそう名乗るのは何千年ぶりじゃ」
次の瞬間、拓武は額が汗だくになった。
拓武は かぐや から目を離したつもりはなかったが拓武が気付いた時には、かぐやは拓武の頬に手を当てていたのだ。

「ほんに、人間とは興味深い……どうじゃ？私の物にのにならぬか？人間」
拓武は動けなかった、まるで蛇に睨まれた蛙のように体が固まってしまっていたのだ。