ダンジョンチケット

１７章 魔王と冥王

ダンジョンチケット２２７

皆が予想だにしない展開、拓武自身もフルカッスの行動までは予期していなかった。

そんな拓武に対してフルカッスがベルゼの身体を使い攻撃を開始した。
しかし、その攻撃は単調であり、威力はない。
拓武はフルカッスがまだベルゼを除しきる事が出来ていないと判断すると全力で攻撃を開始しする。そんな拓武にギルガデムが声をあげた。

「王よォォォ！そやつの肉体は猛毒に御座います、ナノが来るまで触れてはなりません」

ギルガデムの言葉に従い１度距離を取る拓武。そんな拓武の反応にフルカッスは自身の体からも攻撃を開始する。
ベルゼの肉体から繰り出される打撃とフルカッスの毒液による攻撃に拓武は回避する他、策を見出だせずにいた。

「こんな事なら、もう少し細かく瓶に封印するべきだった」

「ギルガデム、まだフルカッスの一部はあるか？」

「ありますが？どうするおつもりです？」

「フルカッスはまだ完全にベルゼと同化した訳じゃんだ今ならまだベルゼの肉体に毒が効く筈だ」

『（止めときな、魔族にましてや魔王に魔界の毒が効くくらいならフルカッスはとっくに魔王になってる、少しは、頭を使えよ愚王が）』

拓武の頭に話しかける声はハデスとは違い冷たく上から目線の物であった。

『（お前は…… サブナックなのか？何故俺の中にいる！）』
『（さあな、俺も記憶が無いんでな、だがお前がやられたら俺も御陀仏らしいんでな、助けてやるよ！フルカッスの毒は確かに猛毒だが、魔界の者には効かないって言う欠陥品だ。つまりベルゼ様には毒は効かないんだよ！）』

『（助けになってないじゃないか！なんか策は無いのか）』

『（ベルゼ様が魔族である以上は毒は効かない、だが攻撃する方も魔族なら毒は効果を持たない。今のお前には俺とフェニックスの魂が入ってる意味はわかるな、不服だが力を貸してやる！俺を使え愚王！）』

その瞬間、拓武の身体に黒い線が無数に現れたのである。其れを目にしたフルカッスは攻撃の手を更に早めるのであった。