ダンジョンチケット

１７章 魔王と冥王

ダンジョンチケット２２８

拓武はサブナックに言われるがままに魂の力をガザ・アッサルへと集中させた。
槍はみるみる蒼くなり更にフェニックスの炎を纏ったかのように蒼い槍を紅く包み込んだ。
そして、メビウスの弓が黒い炎に包まれたのだ。
「この感覚…… ハデスなのか？」しかし、ハデスからの返答はなかった。
ただ無言のままに力を貸そうとしてくれているのを感じた拓武は戦闘の中で友をまた失ったかのような哀しみに襲われながらも槍構える。

「これでこの戦いを終わらせる！」
拓武の掛け声と共に激しく熱を帯びるガザ・アッサル、そのまま拓武はフルカッスに向けて攻撃を繰り出した。

「そんな攻撃なぞ、当たってたまるか！」
しかし、互いに予想しない事態が目の前で起きたのだ。
フルカッスが避けようとした瞬間にベルゼがいきなり自我を取り戻したのだ。

「フルカッスゥゥゥ！お前は俺といくんだ、黙って斬られろ、冥界の王よ。済まなかった迷惑をかけたな早くヤってくれ、サブナック、冥界の王を頼むぞ」

「な、ベルゼ…… いやじゃワシはまだ死なぬ、こんなところでしなぬ」

そして、拓武のガザ・アッサルがベルゼの肉体を真っ二つに切断した。

「あはは、永かった…… 最悪の悪夢だった。だが、サブナックお前と友であれた人生は悪くなかった。また会お……」

ベルゼの肉体が砂になり消え去った。
そんなベルゼの肉体から必死に離脱したフルカッスに対して拓武は問答無用にメビウスの弓を発射したのだ。

「お前には、かける言葉が見つからない」
フルカッスは跡形もなく消し飛びそれと同時にギルガデムの持つ小瓶の中に動いていたフルカッスの一部は只の液体へと変わったのであった。

全てが終わり、拓武達は一旦、オクシード達の空クジラに乗り傷の手当てを受ける。その間余った魔族達はリュトル達が始末していく。
全てが終わったのは夕方であり、ベルゼの部下達はその日一掃されたのであった。
その日の晩は人間界で過ごす事に決めると直ぐに拓武達は睡眠を取り始めた。

「なんだ？リュトル来てみろよ、俺達が来たのに拓武の奴、寝てるのか」

「まあ、しゃあないな。其より人間を警戒しよう。ベルゼがいなくなった今、人間からすれば俺達が一番邪魔な存在な筈だからな」
リュトルとオクシードは警戒を強めつつ、朝日を待つのであった。