ダンジョンチケット

夏カボチャ

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19章 月界の長と凍結の支配者

ダンジョンチケット294

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 皆がその光景に絶句した。アースの横にヘラとヨミが並び、かぐやと拓武の動きを封じる。そんな有り得ない出来事が皆の前で突如として起きた。

 全てが嘘のような状況の中、アースは羅針盤に触れる。

「やっとだ、実に永かった……でも今報われるんだ!」

 アースはそう言うとヘラとヨミに合図を送る。

 ヘラの毒により、意識を失い動けないかぐやの手を握り羅針盤に触れさせるヘラ。
 それと同時に拓武に羅針盤に触れるように口にするヨミ。

「早くしなさい。じゃないと彼女の魂がバラバラになっちゃうわよ!」

 助けようにも身動きが取れない一行に嫌な汗が沸き上がる。

「拓武……僕は約束しよう。今から時間を戻すし、かぐやにも魔界にも人間界に手出しさせないとね」

 そう語るアースは1枚の紙を拓武に提示した。

「神官の名において、誓おうじゃないか。僕は余り誓いとかは好きじゃないんだ……約束を破る訳にはいかないからね」

 アースはそう語るが拓武に選択肢など無かった。ヨミの手に握られた刃は和葉の魂に触れるスレスレまで迫っている。

「わかった……俺は従うだから……和葉に手を出さないでくれ……」

「交渉成立だね。フフフ。さぁ、始めようじゃないか! 戻るのは遥かなる過去! 神々と世界が潤いに溢れた時代だ」

 アースに言われるままに羅針盤を回す。ヨミはかぐやの体に爪を突き立てたままに逸れに合わせて、かぐやの手を握り羅針盤を動かしていく。

 一度に一世紀戻り、更に其処から一世紀と繰り返す、戻り続ける年数が一世紀である為らば無限に動き続ける羅針盤にアースは満面の笑みを浮かべていた。

 ホール内の者達は同時に時間を遡って行く。
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