ガルダ戦記、欲しい世界は俺が作る!

夏カボチャ

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4章クーデルトルン崩壊・ザルバトランの決断

黒影サンロの宴・信頼と5つのグラス

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真夜中の大海原を海賊船団が一気に駆け抜けていく。

月の光が船団を1隻1隻照らしているさっきまでの慌ただしさが嘘のように静まり返り、皆がザルバトランを無事に脱出出来たことを心から喜んでいた。

見晴らしのいい位置を探し、各船は碇を下ろし、その場で夜を明かすことにしたのだ。

改めてそして各船の代表達がガルダのいる黒影へと渡りを伸ばし乗船することとなった。

『ダーリン!大丈夫、サンロに変な事されなかった!』

ミックは凄まじい勢いでガルダに近より身体の至る所を確認した。

『大丈夫みたいね、サンロには気を付けてね!サンロはパパの命令には絶対服従だからね?』

『ああ、わかった、覚えとくよ』

俺はミックからの忠告を真剣に受け止めた、サンロは確かに俺から見ても間違いなく強者だ、初めて会った時もし俺を殺す気があれば俺はやられていただろう。

そして全ての話が纏まりサンロがミックの父であるナビカ・ライド・テナスから受けた命令の全貌が明らかになった。

ナビカ・ライド・テナスはミックの使者から手紙を受け取ると直ぐにサンロに対して救援を命令した。
だが、サンロがたどり着いた時には戦闘は既に終わっており、サンロは急ぎザルバトランに向け移動したそうだ、そこで新たに詳報を集めている際にアメリ達の居場所を発見したと言う事だった。

ガルダからしたら、アメリ達の居場所を把握していただけでありがたかったが、サンロの鮮やかにして大胆な脱出作戦にも驚かされた。

皆が各船に戻り明日に備える中でガルダはその場に一旦残り、サンロと酒を交わす事になったのだ。

ミックとグレモンドは反対したがガルダはむしろサンロと言う男を知りたかったのだ。

そして止めるミック達を無理に自分達の船に帰すとガルダは艦内にあるサンロの部屋へと招かれたのだ。
部屋の中は落ち着いた雰囲気の和室になっており、畳四枚分程の広さがあった。

そして目の前に用意された善には料理と猪口ちょこが置かれている

『ひょひょひょ、ガルダ殿さあ1杯どうぞ、と言いたいところですが、ガルダ殿の度胸を試させて頂きたいのですが?』

『何をさせたいんだ?サンロ』

『別にグラスを5個用意いたしました、そのうちの1つには即効性の猛毒が塗ってあります、毒をさけて1つお飲みくださいませ、運が良ければ毒は飲みません、いかがですかな?』

『わかった受けようじゃないか』

ガルダがそう言いと直ぐにグラスが運ばれてきた。

ガルダは運ばれてきたグラスを目の前に置かせた。

『ガルダ殿、スキルを使い嗅ぎ分けるような不粋な真似は無しにお願いいたしますぞ?』

そう言いサンロはガルダをじっとその細い目で見つめた。

『よく調べているな?むしろ驚かされる事ばかりだ、サンロ?お前を敵には回したくないものだ』

『ひょひょひょ、御冗談を私は只の老いぼれです、ガルダ殿さあ、そろそろ気持ちは決まりましたでしょうか?』

サンロの問いにガルダが取った行動はグラスを端からイッキ飲みするという物であった!

『なんと!』

サンロは予想外の行動に目玉が飛び出るの出はないかと思う程その細い目を大きく見開いた!

4つ目のグラスまで飲み干したのだ。

それだけでも驚きを隠せなかったサンロを更に驚かせたのは最後のグラスに手を伸ばすガルダの姿であった!

『正気ですかな!グラスに毒を盛ったと言った筈ですぞ!』

サンロの言葉に一旦手を休めるようにグラスを持ったままガルダは口を開いた。

『家族の恩人が出した酒を飲まないわけにはいくまい、それに俺はサンロと言う男を心から知りたいのだ』

ガルダは無邪気に笑うとグラスに入った酒を一気に飲み干したのだ。

『な!?なんと……こんな事が起きるとはな』

サンロはこの展開を予想してはいなかった、むしろ、予想できたであろうか?予め毒が入っていると言われて躊躇ためらわずにそれを飲み干す等普通ならば有り得ないだろう。

『負けもうした、ガルダ殿、試すような真似をしたこと、深く御詫び申します』

サンロは畳に膝をつき土下座をした。

用意されたグラスには、最初から毒など入ってはいなかったのだ、だからと言ってガルダはそれを知るよしもなかった。
それでも酒を全て飲んだのは家族を救ってもらった恩とミックからの助言があったからであった。

ミックの助言がなければ毒が盛られているか判断に悩むがミックの父から連れてくるように言われていたサンロがガルダを毒で殺す確率は限り無くゼロであるとガルダはそう思ったのだ。
もし入っていたとしてもガルダはそれを悩まずに飲んだだろう、家族を助けたサンロへの感謝の気持ちに嘘は無いからだ。
結果ガルダは悩む事なくサンロの酒を飲んだのだ

『サンロ、旨い酒を頂いた、ありがとう』

月の光が黒影を明るく照した夜の出来事であった。
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