のぞまぬ転生 暴国のパンドラ

夏カボチャ

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真実・・・1

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 よく分からないオークが、偉そうに、私への文句を言い続けている。

 誰か知らないけど、なんで、エルトリアの名前を知ってるのよ、分からない事ばかり、イライラするわ……

「相変わらず、人の話を聞かぬ愚か者が! まぁいい、お前はここで死ね! 貴様ら掛かれぇ!」

 命令に従うようにオーク達が、私に目掛けて駆け出してくる。

「"影移動" "猛毒の霧ベノムミスト"  "影縫いかげぬい"」

 三つのスキルを同時に発動する。

 オーク達の中心に移動してからの"猛毒の霧ベノムミスト"、更に動きを封じる "影縫いかげぬい"少し長めに苦しむかもしれないけど、見せしめになるわ。

 苦しむオーク達の姿、それは悲惨なものだった。
 苦しみから喉を掻きむしる者や、血を吐きながら悶絶する者、動けないまま窒息する者、"猛毒の霧ベノムミスト"を吸い込めば、皆が苦しみ死ぬのだと、オークに分からせる。

「馬鹿者が! 魔法を使える者は、すぐに奴を狙え! 敵は、だ」

 そう、今の私は三人を"無限収納"に入れている。
 テイムしているからだろう、所有物として、"無限収納"に入れることが可能だった。

 ちなみにテイムしていないモンスター等は入れられないみたい。(死体は例外)

 私はオークウィザード達の動きに気づくと、すぐに"影移動"を発動し、"無限収納"から三体を解放する。

「分かってるわね、全滅させるわよ」

「「「はい!」」」

 そこからは、オークウィザード達が可愛せうな程に、あっさりとやられていく。
 不意打ちなら戦いになるのだろうが、真後ろに移動され、更に三人の上位モンスターが相手なのだから勝ち目は無い。

「ふざけるなよ、たかが、四人で、我が作り上げたオーク兵団を壊滅出来るわけない、これは悪夢なのか、くそ!」

 オークウィザード達がやられて発狂してるわね? 本当にコイツは誰なんだろう……名前の事もあるし、今は殺せないなぁ。
 
「我は2度も貴様のような者に殺されはせんぞ! そんな事があってはならないのだよ!」

 私目掛けて、複数の槍が一斉に投げ放たれる。

「主様、アシッドシールド!」

 クイーンがすぐに動き、槍は私に触れる事無く、溶けて消える。

 槍を放った無防備なオーク達が次々に犠牲になる。

「我は、貴様に復習するべく、この姿になったというのに、まだ逆らうか! 貴様さえ、貴様さえいなければ!」

「だから、私はアンタなんか、知らないって言っているだろう!」

 "影の刃"を失った右腕に纏わせると、オーク雑兵を切り裂きながら、一直線に指揮官の元を目指す。

「馬鹿共! 奴を止めろ! 我を守れッ!」

 オーク達が肉の壁になるも、守りに入った時点で、攻撃型のモンスターであるオークは本来の力を発揮できない、本来守りなど知らないから、恐ろしいモンスターなのだから……

 呆気ない程に容易く散るオーク達、その後方で無様に、戦況が理解出来ないと青ざめる指揮官、本当に愚かな者が指揮をすれば、全ての戦いは敗北になる……

「敗北を認めよ! 質問に答えれば、楽に殺してあげるわよ?」

「ふざけやがって、いつもいつも、我の邪魔をする貴様さえ、貴様さぇ! たが、貴様を殺せば、1000回の呪縛も終わりを迎えようぞ! 」

 1000回の呪縛。この言葉に、私は少し理解した、理由は分からないが、バカ貴族だと理解した。

「アンタなんかに殺されないわ……」

 激昂したバカ貴族オークが、無駄に大振りの剣で私に斬り掛かる。

 本当に、無駄に時間はあっただろうに……剣の鍛錬なんかしないんだろうな、酷い剣さばきに、哀れみさえ感じる。

「はぁ、はぁ、くそがァァ! 避けてんじゃねぇッ!」

「分かったわ……なら、反撃させてもらうわよ」

 ザグり……骨まで砕き斬るような鈍くも、肉を鋭い刃物が裂くような不気味な切断音がバカ貴族オークの肩から上を吹き飛ばし、ホール内部に叫び声が響き渡る、地面には無惨に落下した腕がピクピクと、脈打つように微かに震えていた。

「ギャアァァァッ! 腕が、我の腕がァァァ」

 その瞬間、勝負がついたと、私は思っていた、しかし、それは甘さであった。

 私に向けて、黒い霧が一気に広がる、目くらましの魔法だった。

 次の瞬間、シュッ! ジュッシュッ! っと、肉体を無数の閃光が貫いていくのが感じ取れた。

 激しい痛みと、息が出来ない苦しさ、まるで肺が機能していないのではないかと、錯覚する、いや、機能してないのだろう。

 身体に空いた無数の穴が、それを私に気づかせた。

「主様!」
「まさか……御館様!」
「ご主人様が、そんなぁ」

 一瞬の動揺が三人の隙をつくり、三人にオーク達の攻撃が集中する。

「うわぁぁぁ」

『皆、私に構わないで、敵を攻撃、私は大丈夫だから、勝ちなさい!』

 念話を必死に飛ばし、戦闘を継続させる。

 本当なら逃げろと言いたかったけど、この子達、そんな命令聞かないもんね。困った子達だわ……

 意識が途切れそうになった瞬間、久々に時が停止する感覚に包まれる。

『久々ね、こんなにボロボロになって、まったく、なんでこんなに早く来てしまったの……本当に……』

 女神しゃない。何よ、久々なのに悲しそうな声でさ、相変わらず調子が狂うわね。

『最後だから、話をしに来たの。貴女には知る資格があるから』

 女神は私に語った。

 私が1000回の死を言い渡された後の出来事をゆっくりと喋り出す。

 エルトリア・エル・アルバーとして、死んだ後、1000人の貴族達は、どんな死を望むのかを女神テミスが質問し、答えた順に魂はその時代に送られていった。

 そして、私を殺せるタイミングで願った通りに殺す事で刑は完了となっていく。

 そして、1000人目の相手こそ、エルトリア・エル・アルバーとして最後に葬るはずだった、あの貴族であり、ある死に方を望んだ。

 その死に方が問題だと、女神は語った。

 貴族の男が望んだのは、自身が醜い化け物に転生し、エルトリア・エル・アルバーを殺した後に、殺された化け物に転生すると言うものであった。

 醜い化け物に殺され、醜い化け物に生まれ変わる事を望んだのである。

 余りに無慈悲にして、身勝手な死を望む行為だとしても、刑は望むままに執行されねばならない。

 そして、女神テミスは、不本意ながらも刑の執行を開始したのである。

 しかし、世界の女神達はそれを不憫に感じ、最後の転生だけは、回避できないかと考えた。

 その結果、全体のレベルを低下させ、相手を弱者に転生させて、返り討ちにする方法だった。

 スキルの封印と、危険に対する解除はその為であった。

 それも、上手く進んだのは最初だけであり、貴族はオークに転生すると、知恵を力に次々と敵を倒し、力をつけていった。

 ダンジョンに捨てられたのも、偶然ではなかったのだ。

 人に見られない場所で転生すれば、転生前の存在その物が無になる。

 世界から、存在を消し去ることも含めた復讐だったのである。

 オークは数を増やし、数千にまで膨れ上がり、既に女神が軽く手助けをしても、どうしようもない状態に変化していたのだ。

 そして、女神は、賭けにでる。

 長い説得により、ある助力を許されたのである。

 一度どけ、女神が選んだ任意の場所に転送する権利を獲てきたのである。

 そして、今、女神は私にそれを発動しようとしている。

『アナタはすごく、立派よ。だから、まけないで……』
 
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