のぞまぬ転生 暴国のパンドラ

夏カボチャ

文字の大きさ
74 / 118

計画された舞台・・・3

しおりを挟む
 魔剣が崩れ去った瞬間、デルノバが発狂する。
 余程の価値だったのか、粉を掴もうと必死に手を伸ばして、もがいている姿は哀れにする感じられる。

「そんなに大切なら、貴方が取りに行けばいいのよ、次は手放さないようにね、サヨナラ、領主さん」

 私の最後の言葉を聞き、慌てるデルノバ、しかし、この状況から逃げられる訳がないのだ。

 デルノバの影から、複数の腕が伸び、デルノバの体を四方から掴み、影の中へと引きづり混んで行く。

「やめろォォ、誰か助けろ! 金なら払う、今すぐ、コイツを何とかしろ、痛い、顔が……割れる、一人では死なんぞ! 」

 鋭い視線がロルを含む使用人達に向けられる。

 しかし、誰も動かない、動けないのだろう、人は目の前に助けを求める相手がいても、自分の命が天秤に掛かれば、直ぐに動ける訳ないのだから。

 そんな最中、ロルだけは、前に踏み出そうとする。
 しかし、その体を幼い使用人達が足や、体にしがみつき、全力で止める。

 西瓜スイカが落下して割れた時の様な鈍い音が、地下にゆっくりと鳴り響く。

 ロルは、私の視線に気づくと黙ったまま、他の使用人達を自身の背後に移動させる。

「執事さん、逃げなかったのね? 今も、チャンスはあったのにさ」

 一歩、後ろに下がるロル。

「あの老婆の忠告……心していた……」

「覚悟は出来てるのね」

「覚悟ですか、我々には既に、生きる時間は僅かとなりました……デルノバは、我々を道連れにするでしょう」

 力無く、ロルは溜め息を吐くように語る。

「よく理解できないわね。なんで道連れに出来るのかしら?」

「簡単な話です。我々には、呪術が掛けられております。半日もすれば、内側から腐り始めます」

 デルノバは、自身が死んだ際に使用人達も、苦しんで死ぬように呪術を掛けていた。

 使用人すら信じれず、一番近い存在に命を奪われないようにと考える器の小ささから、生まれた恐怖と絶望だけを与える為だけの呪いである。っと、ロルは小さく笑いながら語った。

「死を前に笑えるのね? 貴方も面白い人見たいね」

「御冗談を、面白いなどと、初めて言われましたよ……不思議なものですね」

「貴方、死ぬには勿体ないのよね……だから、提案よ。私の部下になりなさい、助けてあげるわ」

「我々を助けられると、そう言うのか……」

「えぇ、私なら助けられるわ、ついでに言えば、呪いとは違うわよ」

 私の言葉に驚いくロル、しかし、答えは悩むまでもなく明らかであった。

 軽く他の使用人達と話を済ませると、ロルは頭を深々と下げる。

「不束者ですが、我々一同、宜しくお願い致します」

 話が終わり、直ぐに、ロルを眷属化する事に決める。

 ロルには、単純に"毒耐性" と "耐性リンク"と言う新しいスキルを作り出し、与える事になる。
 それにより、ロル本人に他の使用人達を眷属とさせ、毒耐性を全員にリンクさせる事が出来る。

 私自らが、"耐性リンク"を使わない理由は、リンク先が、眷属の更に眷属まで、全てが対象になり、一瞬で、魔力を大量に吸われてしまうからだ。

 ロル達は、明日の昼が過ぎるまで、恐怖と睨めっこになるだろうが、後悔はしないだろう。

 私の出来る事はやってあげたのだから、無能で卑劣な元主人より、マシな筈だ。

 生きる為の選択をする、その瞬間、魂が震え、心臓が血液を逆流させる様な感覚に襲われるだろう。
 全身に寒気が走り、生き残った瞬間に全身から体液が流れ出す様な快感すら感じる、それが生き残った瞬間に私が感じてきた感覚だ。

 明日の彼等にその感覚が訪れる用に願うわ。

 それに、使える駒は大切にしないと、それが本当の仲間になれるなら、願ったり叶ったりだわ。

『ご主人様~ みんな、綺麗に平らげたよ~一欠片も残してないし、みんな、いい子だから、全部食べたよ』

『ホーネット、お疲れ様。こっちも上手くいったわ』

 高台を任せたホーネットも、上手く平らげたみたい、一欠片も残してないみたいだわ。

『ラクネ、クイーンそっちはどう?』

『おぉ、御館様! 此方も先程、策略通りに撤退しました』

『ですね。主様の指示にしたがって、ケストア軍の生存者は一人だけになってるです』

『分かったわ、お疲れ様。あとは上手くやるから、先に戻ってて頂戴』

 ケストア軍との戦闘もアッサリと決着がついて、クイーンとラクネは予定通りに動いつてるみたい。

 私はそのまま、ロル達を連れて、スラムに向かう。

 デュバルの元へ向かう最中、私は擬人化を発動させる。

 老婆でない姿の私に驚いていたが、直ぐに納得した様に私の後ろに続いて歩く。

 デュバル邸に到着して直ぐ、キャロに私達は客間に案内される。

 私は静かに、デュバルが戻るのを待つのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鬼の兵法伝承者、異世界に転世せしむる

書仙凡人
ファンタジー
俺の名は桜木小次郎。 鬼一法眼を祖とする鬼一兵法の令和の伝承者。 だがある時、なぜか突然死してしまったのだ。 その時、自称神様の変なペンギンが現れて、ファンタジー世界の転生を持ちかけられた。 俺はヤケになって転生受け入れたら、とんでもない素性の奴にログインする事になったのである。 ログイン先は滅亡した国の王子で、従者に毒盛られて殺されたばかり。 なにこれ? クーリングオフねぇのかよ!

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

最強のチート『不死』は理想とはかけ離れていました ~ 人と関わりたくないので史上最強の家族と引きこもりを目指したいと思います

涅夢 - くろむ
ファンタジー
何をやってもうまくいかなかった前世。人間不信になってしまった超ネガティブ中年。そんなおっさんが転生時に見つけてしまった「不死」という能力。これで悠々自適なスローライフが確実なものに……。だがしかし、最強のチート能力であるはずの「不死」は理想とはかけ離れていた。 『え!?なんでワカメ!?』 うっかり人外に身を落としてしまった主人公。謎の海藻から始まる異世界生活。目的からかけ離れた波乱万丈の毎日が始まる……。 いくら強くなっても不安で仕方ない。完璧なスローライフには憂いがあってはならないのだ!「創造魔法」や「寄生」を駆使して生き残れ! なるべく人と関わりたくない主人公が目指すは「史上最強の引きこもり」 と、その道連れに史上最強になっていく家族の心温まるほっこり生活もお送りします。 いや、そっちがメインのはず…… (小説家になろうでも同時掲載中です)

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

処理中です...