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後日譚
後日譚532.事なかれ主義者は現状維持する事にした
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結局、極端な運要素のあるカードゲームじゃないとセシリアさんには勝てなかった。サクッと終わるから何度も繰り返したけど、運要素があっても勝率はそこまで高くなかったのは単に運が悪かったのだろうか。それとも心理戦とかもあったのだろうか。
そんな事を考えながらカードを箱の中にしまっていると、畑を見終わったレヴィさんたちが戻ってきた。
育生は水をあげたかったけどじょうろが貰えなかったようで拗ねている。こういう所は子どもらしくてとてもかわいい。
「帰ったら水遣りをすればいいのですわ」
「ここでするの!」
どもることもなく、はっきりと発音しながら駄々を捏ねる育生をレヴィさんは身体強化魔法を使って抑え込んでいるのだろう。
「ごめんね。今度来るときは水をあげないようにしておくよ」
「そんな事しなくていいよ。お水をあげる時間帯とかいろいろあるだろうし、自分の思い通りにならない事があるって学ぶのも大事だからさ。レヴィさん、代わろうか?」
「大丈夫なのですわ。ほら、イクオ。さよならをするのですわ」
「まだかえらないの!」
「帰るのですわ。ほら、ばいばいですわ~」
「ばいば~い」
「またねー」
「れもれも~」
レヴィさんが挨拶もそこそこに育生を抱えて転移陣を使って帰っていった。
残された僕は本来の目的だった加護『天気祈願』を使って程よい気候が続く事を願った後、帰る事にした。
「それじゃ、やる事もやったし帰るよ。婚約者の件については育生やレヴィさんと話をしてから答えるね」
「うん。ダメ元で申し込んでいるだけみたいだから全然断ってくれてもいいからね」
ギュスタンさんに見送られながらジュリウス、それからドライアドを連れて僕は転移陣を使ってギュスタンさんの領地を後にするのだった。
ファマリーの根元に戻ってきたら解放された育生が自分の畑の方へと駆けて行くところだった。
彼の畑の近くには彼専用のじょうろが置かれている。ドライアドたちも慌てた様子でついて行ったので、彼女たちに任せておけばとりあえず大丈夫だろう。
「それで、レヴィさんはどう思った?」
「正直大きくならない事には分からないのですわ。ただ、ギュスタン様は私から見ても裏表のない誠実な農家……じゃなった。貴族なのですわ」
うん、同じ趣味を持つ者同士気が合うのは良いんだけど、農家認定は流石に良くないよね。
場を和ませるためにわざとそう言ったんだよね、きっと。
「イクオの婚約者として彼の娘の誰かを選ぶのはありだと思うのですわ。それを理由に一先ず縁談の申し込みは断る事ができるのですわ。向こうも同様の状況で困っている様だったからお互いにとってウィンウィンだと思うのですわ」
「問題は子どもたちの相手を僕たちが決めていいのか、という所だけど……」
「王侯貴族の常識で行くと全く問題ないのですわ。むしろ厄介な相手を退けるためにも必要なのですわ。ただもちろん、シズトが自由恋愛推奨派という事も分かっているのですわ。その事も話したうえで、ギュスタン様は条件付きの婚約も一定の理解を示してくれたのですわ」
「そっか。それならまあ、ありなのかなぁ」
条件付き婚約。お披露目パーティーの後にも大量に届き続けている縁談の申し込みを踏まえて家族で話し合って出した一つの案。
オクタビアさんと僕がしたような仮の婚約みたいなものだけど、僕たち親じゃなくて子どもたちがそれを望んだら婚約破棄ではなく、白紙に戻せるというもの。
まあ、白紙とは言っても破棄と似たような物なのでお互い経歴に傷はつくそうだけど……その様な事を望む状態になっていたら、傷がついたとしても離れる方を選ぶんじゃないだろうか。
「次は千与の仮の相手だけど……信頼できる相手で同年代の子って正直そんないないよね」
「タカノリの所の子はどうですわ?」
「ちょっと歳が離れすぎてる気がする」
「じゃあ今代の勇者の誰かとか……」
「子どもができたとしても陽太とイチゴさんはないかな。軽率に他の所と繋がりすぎてて厄介事の匂いしかしないし」
「それはそうかもしれないですわね」
「姫花は身内にはなりたくないからパスで、他の人はまあ……状況によるかな。考え方が僕に近い人もいるだろうからありかもしれないけど……」
いずれにせよ、彼らに子どもが出来たらの話だ。
あんまり接点がないから今何をしているのかよく知らないけど、明は元気に町の子たち相手に先生をしているらしいし、マナブさんは頑張ってオールダムをまとめようと奔走しているはずだ。
ココロさんは加護を活かしてお店を色々な所で開いているそうだし、レイカさんは聖女として頑張っているらしい。女性陣は子どもを、と考えるよりもまずは自分の足場固めをしている所だろうしまだまだ先かな。
……なんて事を考えてたら妊娠の報告を忘れていただけ、という事もあるかもしれないから最近の様子を見て回るのもありかもしれない。
「いや、でも藪蛇かもしれないし……。やっぱりほっといて今の距離を保つのが一番いいかな」
「触らぬ神に祟りなし、なのですわ~」
……チャム様の事を考えると一概にそうとは言えない気もするけど、まあチャム様は例外と考えておこう。
そんなどうでもいい事を考えながら騒がしくなった育生の畑の方へと僕たちは足を向けるのだった。
そんな事を考えながらカードを箱の中にしまっていると、畑を見終わったレヴィさんたちが戻ってきた。
育生は水をあげたかったけどじょうろが貰えなかったようで拗ねている。こういう所は子どもらしくてとてもかわいい。
「帰ったら水遣りをすればいいのですわ」
「ここでするの!」
どもることもなく、はっきりと発音しながら駄々を捏ねる育生をレヴィさんは身体強化魔法を使って抑え込んでいるのだろう。
「ごめんね。今度来るときは水をあげないようにしておくよ」
「そんな事しなくていいよ。お水をあげる時間帯とかいろいろあるだろうし、自分の思い通りにならない事があるって学ぶのも大事だからさ。レヴィさん、代わろうか?」
「大丈夫なのですわ。ほら、イクオ。さよならをするのですわ」
「まだかえらないの!」
「帰るのですわ。ほら、ばいばいですわ~」
「ばいば~い」
「またねー」
「れもれも~」
レヴィさんが挨拶もそこそこに育生を抱えて転移陣を使って帰っていった。
残された僕は本来の目的だった加護『天気祈願』を使って程よい気候が続く事を願った後、帰る事にした。
「それじゃ、やる事もやったし帰るよ。婚約者の件については育生やレヴィさんと話をしてから答えるね」
「うん。ダメ元で申し込んでいるだけみたいだから全然断ってくれてもいいからね」
ギュスタンさんに見送られながらジュリウス、それからドライアドを連れて僕は転移陣を使ってギュスタンさんの領地を後にするのだった。
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彼の畑の近くには彼専用のじょうろが置かれている。ドライアドたちも慌てた様子でついて行ったので、彼女たちに任せておけばとりあえず大丈夫だろう。
「それで、レヴィさんはどう思った?」
「正直大きくならない事には分からないのですわ。ただ、ギュスタン様は私から見ても裏表のない誠実な農家……じゃなった。貴族なのですわ」
うん、同じ趣味を持つ者同士気が合うのは良いんだけど、農家認定は流石に良くないよね。
場を和ませるためにわざとそう言ったんだよね、きっと。
「イクオの婚約者として彼の娘の誰かを選ぶのはありだと思うのですわ。それを理由に一先ず縁談の申し込みは断る事ができるのですわ。向こうも同様の状況で困っている様だったからお互いにとってウィンウィンだと思うのですわ」
「問題は子どもたちの相手を僕たちが決めていいのか、という所だけど……」
「王侯貴族の常識で行くと全く問題ないのですわ。むしろ厄介な相手を退けるためにも必要なのですわ。ただもちろん、シズトが自由恋愛推奨派という事も分かっているのですわ。その事も話したうえで、ギュスタン様は条件付きの婚約も一定の理解を示してくれたのですわ」
「そっか。それならまあ、ありなのかなぁ」
条件付き婚約。お披露目パーティーの後にも大量に届き続けている縁談の申し込みを踏まえて家族で話し合って出した一つの案。
オクタビアさんと僕がしたような仮の婚約みたいなものだけど、僕たち親じゃなくて子どもたちがそれを望んだら婚約破棄ではなく、白紙に戻せるというもの。
まあ、白紙とは言っても破棄と似たような物なのでお互い経歴に傷はつくそうだけど……その様な事を望む状態になっていたら、傷がついたとしても離れる方を選ぶんじゃないだろうか。
「次は千与の仮の相手だけど……信頼できる相手で同年代の子って正直そんないないよね」
「タカノリの所の子はどうですわ?」
「ちょっと歳が離れすぎてる気がする」
「じゃあ今代の勇者の誰かとか……」
「子どもができたとしても陽太とイチゴさんはないかな。軽率に他の所と繋がりすぎてて厄介事の匂いしかしないし」
「それはそうかもしれないですわね」
「姫花は身内にはなりたくないからパスで、他の人はまあ……状況によるかな。考え方が僕に近い人もいるだろうからありかもしれないけど……」
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「触らぬ神に祟りなし、なのですわ~」
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