【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

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後日譚

後日譚537.執事は密告した

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 セバスチャンの予感は外れた。
 各地の冒険者ギルドから報告されていたため、今回もまた大量の戦利品を連れてくると思われていたようで、その確保をしたかっただけだったようだ。

「お手数をお掛けして申し訳ございませんでした」
「その分、色を付けて貰えたようなので問題ありません」
「それでは、くれぐれもお気をつけて」

 ギルドマスターの女性に見送られて部屋を後にしたセバスチャンは、自分の荷馬車を回収すると、馬を操ってそのまま商業ギルドへと移動した。
 移動中、視線は感じたが、それはどこの街でもそうだったので特に気にせず荷馬車を進ませていると、あっという間に商業ギルドに着いた。
 こちらでは特に大きなトラブルもなく、配達の依頼を受けていた物の納品と、王都の店の情報収集が終わった。
 冒険者ギルド、商業ギルド両方から勧められた宿に泊まってみたが、そこでも特に何事も起こらなかった。
 率先して問題を起こしたいわけではないセバスチャンは平然としていたが、セバスチャンが止まっている部屋の窓の外から顔を覗かせていたドライアドたちは今回は特に戦利品が手に入らず、残念そうに朝日と共に帰っていった。

「……どうやら、ギルドで言われた通り私の正体がバレてしまったようですね」

 冒険者ギルドのギルドマスターの女性は、セバスチャンの正体を知っていた。
 その情報は、セバスチャンがエヒメ国に入ってからしばらく経って届いた物で、この国の上層部も同様の報告を受けているであろう、との事だった。
 そのタイミングがちょうど襲撃されなくなった時期と重なるのは偶然にしてはタイミングがぴったり合っていた。

「ついでに掃除もできればよかったのですが……大人しく観光名所とシズト様が気に入りそうなものを探すだけにしておきましょう」

 そうと決まれば早速行動開始である。
 城下に広がる街のあちらこちらで『朝一』が行われている。そこでしか扱われない珍しいものもあるかもしれない、という事でセバスチャンは宿屋を後にするのだった。



 その後、エヒメ国を移動している間は殆ど盗賊から襲撃される事はなかった。
 シズトや、彼の子孫がニホン連合を訪れる時のために少しは掃除しておきたかった気持ちがあったのだが、それはまた来訪が決まった際にでもすればいいと気持ちを切り替えたセバスチャンは北上を続け、各地の様子を絵手紙にして届け続け、ついには国境を越えて『トクシマ国』に到着した。・
 トクシマ国はその名の通り、徳島県を意識して作られた国である。他のニホン連合と同様、他の勇者が現れる度に該当の都道府県について聞き取りを行うので、最近はやっているものも多少反映されていたりする。
 そんなニホン連合の一国である『トクシマ』で有名なのはすだちと養鶏、それから踊りだった。
 昼間に見たそれらをしっかりと絵手紙に書き記したセバスチャンは手紙をしまうと、魔道具『浮遊ランプ』を消した。
 ぷかぷかと浮いていた浮遊ランプに群がっていたドライアドたちが離れていくが、その中の数人がセバスチャンの近くに集まった。

「今日も人間さん来ないね~」
「私の素性が間者を通して伝わっているんでしょう。つかず離れずの位置でこちらの様子を窺っている者もいますし、今更変装しても無駄でしょうね」
「そうなのかぁ」
「キュキュッとしたらピカピカするの欲しかったのに~」
「…………あ! こっちをジッと見てる人を捕まえたら持ってるかもしれない!」
「確かに~」
「それはしてはいけない事です。何もしていない方々を襲ったら私たちが悪者になってしまいますから」
「悪者か~」
「悪者はだめかも~」
「悪い事をする人だもんね~」
「でも、獣人さんはバレなければ問題ないデ~ス! ってよく言ってるよ?」
「確かに~」
「バレなければ問題ないない」
「万が一があるかもしれないので余計な事はしないでくださいね。大人しくしてたらこちらのものをあげましょう」
「「「「!?」」」」

 セバスチャンが背もたれにしていた箱のふたを開けて、中の者を一部取り出すと目の色を変えるドライアドたち。
 行商人の真似事のついでにドライアドたちを大人しくさせるために武器や防具を取り扱っている店で買い漁った古びた装備品が箱一杯に詰まっていた。
 ドライアドたちが考えそうな事は想定済みのセバスチャンだったが、一先ず夜中に悪さをしているであろう人物の事を絵手紙にそっと書き加えるため、魔道具を起動して荷馬車の中を明るくするのだった。
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