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後日譚
後日譚563.事なかれ主義者は同行した
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冒険者に依頼をする時、普通は冒険者ギルドに行って依頼を出すらしい。
その依頼の報酬に関しては依頼者によってある程度決める事ができるから、破格な値段をつけられる時もあれば、ラオさんたちの故郷であるウェスタ―のように相場よりもかなり低い場合もある。
破格な値段の場合は冒険者が群がるが、その逆の場合は『塩漬け依頼』と呼ばれるような状態になってしまうそうだ。
また、今回のようにはぐれワイバーンなどの危険が高いと推察される場合は緊急性とその危険性をしっかりと見極めてから依頼ランクを決めるために調査が行われる。その調査費用は状況によるらしいけど、今回の場合は依頼者であるウェスタ―の町長が払う事になるだろう、との事だった。
「領主様からしたら重要な町じゃないからな。はぐれワイバーンもドラゴニアじゃそう珍しくもない。特に多くのドラゴンが暮らしている山が連なっている西側の近くだったら猶更だ。これがダンジョンのある都市だったり、重要な特産品を作っている様な所だったらまた変わるんだろうけど、危険になったら疎開させられるだろうな」
「……故郷を捨てて?」
「ああ。ただまあそうなったら残る奴も出てくるだろうけどな。そしてできる範囲でいつもの日常を続ける。ワイバーンが来ない事を祈りながら、な」
「…………」
「ま、幸いな事は塩漬け依頼になってもおかしくない今回の件を引き受ける奇特な冒険者がいる事くらいだな」
わしゃわしゃとラオさんの手が僕の頭を乱雑に撫でる。レモンちゃんがラオさんに抗議をしているけど気にした様子もなく、山道を登っていく。
今、ラオさんと僕はワイバーンが住み着いたという例の山に来ていた。例の依頼が受理されて数日後、ラオさんが調査依頼を受けたからだ。
僕はポーター役なのでアイテムバッグを背負っているけど、念のために武装もしている。
肩の上が住処になっているんじゃないかと思うくらい常にそこにいるレモンちゃんも当然ついて来ていたので実質三人なのかもしれないけど、レモンちゃんは冒険者ではないので頭数に数えるのは適切ではないだろう。
ズンズンと慣れた様子で進んでいくラオさんの後を、足元に気を付けながら歩きながらついて行くとどうしても遅れる。
「ごめん、ラオさん」
「……だからアタシ一人で行くって言ったんだよ」
「流石に一人で行かせるのは怖いから無理、だけど、僕がついて行くのは確かに違ったかも……」
身体強化魔法を付与してある服のおかげで疲れる事はないが、道なき道を歩く事になれていないのでどうしても遅れてしまう。
何度目か分からないくらいけど、またラオさんが足を止めてこちらを見ていた。
「……浮遊台車を使うのもアリかな」
「流石にナシだ。魔物に襲われた時に対応が遅れるかもしれねぇ」
「まあ、そうだよね。……でも、結構な時間歩いているけど魔物と会わないから大丈夫……なわけないか」
「ああ」
ラオさんに追いついたと思ったらまたラオさんが歩き始めたので、僕は彼女の後を追ってせっせと慣れない山登りをするのだった。
「……全然魔物いなくない?」
「ああ、そうだな」
「これが普通なの?」
「いや、普通じゃねぇ。普通じゃねぇけど、理由は分かっているから問題ねぇ」
「…………もしかして、ジュリウス?」
「いや、ジュリウスじゃねぇ」
「そうだよね。待っているように伝えたし。ワイバーンが怖くて逃げたんかなぁ」
てっきりジュリウスが先回りして魔物を駆逐する勢いで狩ったのかと思ったけど、今頃は大人しく屋敷の警護をしてくれているはずだ。
じゃあこんなにも魔物がいないのはなぜなのか……と思った考えこもうとしたところでラオさんが「集中して周りに気を配れ」と言ってきたので僕は考えるのをやめて周りの様子を見た。見たところで特にわかる事はない。
魔力探知が使えればまた違ったんだろうけどなぁ、なんて事を考えながら、メモをしながら僕が追いつくラオさんの後を追って山を登る。
その後、数匹の魔物とエンカウントしたけど、ラオさんがサクッと倒していた。グロイものに耐性がない僕は周りの様子を見るのはレモンちゃんに任せて他所を見ていたから倒したところは見ていないけど。
「やっぱりラオさんって強いんだね」
「まあアタシも一応Bランクだからな」
「上から数えた方が早いもんね。一人で行くって言ってたけど、もしかしてワイバーンも一人で倒せるの?」
「今の装備ならできるかもしれねぇけど、相手は空を飛ぶからな。ブレスを吐かないだけドラゴンよりはマシだけど、どっちかっていうとアースドラゴンとか飛ばない奴の方がやりやすいな。まあ、ドラゴンが相手ってなったら変異種だった時に困るから流石に一人で行くなんて言うつもりはねぇけどな」
「ふーん。ワイバーンが変異種とか言うのでも大丈夫なの?」
「何回かそういう個体を相手した事もあるから、まあ逃げるだけなら何とかなるだろうさ。逃走用の魔道具も貰ってるしな」
ラオさんがグローブの上から左手の小指を示した。そこには以前あげた魔道具『帰還の指輪』が嵌っているはずである。それさえあれば死んでさえいなければ屋敷に帰る事はできるから確かに逃げるだけなら何とかなるんだろう。たぶん。
「……もうそろそろ大丈夫か?」
「うん。直接見ない様にしてるからそこまで気にしなくても大丈夫だよ?」
「そうか。じゃあ次からは気にせず進むからやばくなったら早めに言えよ?」
「分かった」
「お前もよろしくな」
「れもっも」
肩の上にいるレモンちゃんの頭を軽くポンポンしたラオさんは再び山を登り始める。
僕はそんな彼女の後を足元に気を付けながらついて行くのだった。
その依頼の報酬に関しては依頼者によってある程度決める事ができるから、破格な値段をつけられる時もあれば、ラオさんたちの故郷であるウェスタ―のように相場よりもかなり低い場合もある。
破格な値段の場合は冒険者が群がるが、その逆の場合は『塩漬け依頼』と呼ばれるような状態になってしまうそうだ。
また、今回のようにはぐれワイバーンなどの危険が高いと推察される場合は緊急性とその危険性をしっかりと見極めてから依頼ランクを決めるために調査が行われる。その調査費用は状況によるらしいけど、今回の場合は依頼者であるウェスタ―の町長が払う事になるだろう、との事だった。
「領主様からしたら重要な町じゃないからな。はぐれワイバーンもドラゴニアじゃそう珍しくもない。特に多くのドラゴンが暮らしている山が連なっている西側の近くだったら猶更だ。これがダンジョンのある都市だったり、重要な特産品を作っている様な所だったらまた変わるんだろうけど、危険になったら疎開させられるだろうな」
「……故郷を捨てて?」
「ああ。ただまあそうなったら残る奴も出てくるだろうけどな。そしてできる範囲でいつもの日常を続ける。ワイバーンが来ない事を祈りながら、な」
「…………」
「ま、幸いな事は塩漬け依頼になってもおかしくない今回の件を引き受ける奇特な冒険者がいる事くらいだな」
わしゃわしゃとラオさんの手が僕の頭を乱雑に撫でる。レモンちゃんがラオさんに抗議をしているけど気にした様子もなく、山道を登っていく。
今、ラオさんと僕はワイバーンが住み着いたという例の山に来ていた。例の依頼が受理されて数日後、ラオさんが調査依頼を受けたからだ。
僕はポーター役なのでアイテムバッグを背負っているけど、念のために武装もしている。
肩の上が住処になっているんじゃないかと思うくらい常にそこにいるレモンちゃんも当然ついて来ていたので実質三人なのかもしれないけど、レモンちゃんは冒険者ではないので頭数に数えるのは適切ではないだろう。
ズンズンと慣れた様子で進んでいくラオさんの後を、足元に気を付けながら歩きながらついて行くとどうしても遅れる。
「ごめん、ラオさん」
「……だからアタシ一人で行くって言ったんだよ」
「流石に一人で行かせるのは怖いから無理、だけど、僕がついて行くのは確かに違ったかも……」
身体強化魔法を付与してある服のおかげで疲れる事はないが、道なき道を歩く事になれていないのでどうしても遅れてしまう。
何度目か分からないくらいけど、またラオさんが足を止めてこちらを見ていた。
「……浮遊台車を使うのもアリかな」
「流石にナシだ。魔物に襲われた時に対応が遅れるかもしれねぇ」
「まあ、そうだよね。……でも、結構な時間歩いているけど魔物と会わないから大丈夫……なわけないか」
「ああ」
ラオさんに追いついたと思ったらまたラオさんが歩き始めたので、僕は彼女の後を追ってせっせと慣れない山登りをするのだった。
「……全然魔物いなくない?」
「ああ、そうだな」
「これが普通なの?」
「いや、普通じゃねぇ。普通じゃねぇけど、理由は分かっているから問題ねぇ」
「…………もしかして、ジュリウス?」
「いや、ジュリウスじゃねぇ」
「そうだよね。待っているように伝えたし。ワイバーンが怖くて逃げたんかなぁ」
てっきりジュリウスが先回りして魔物を駆逐する勢いで狩ったのかと思ったけど、今頃は大人しく屋敷の警護をしてくれているはずだ。
じゃあこんなにも魔物がいないのはなぜなのか……と思った考えこもうとしたところでラオさんが「集中して周りに気を配れ」と言ってきたので僕は考えるのをやめて周りの様子を見た。見たところで特にわかる事はない。
魔力探知が使えればまた違ったんだろうけどなぁ、なんて事を考えながら、メモをしながら僕が追いつくラオさんの後を追って山を登る。
その後、数匹の魔物とエンカウントしたけど、ラオさんがサクッと倒していた。グロイものに耐性がない僕は周りの様子を見るのはレモンちゃんに任せて他所を見ていたから倒したところは見ていないけど。
「やっぱりラオさんって強いんだね」
「まあアタシも一応Bランクだからな」
「上から数えた方が早いもんね。一人で行くって言ってたけど、もしかしてワイバーンも一人で倒せるの?」
「今の装備ならできるかもしれねぇけど、相手は空を飛ぶからな。ブレスを吐かないだけドラゴンよりはマシだけど、どっちかっていうとアースドラゴンとか飛ばない奴の方がやりやすいな。まあ、ドラゴンが相手ってなったら変異種だった時に困るから流石に一人で行くなんて言うつもりはねぇけどな」
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