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後日譚
後日譚569.事なかれ主義者は護衛をつけたかった
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朝食を食べ終えた後は出産も司っている神様を祀っている教会へと赴き、オクタビアさんと一緒に祈りを捧げつつそこそこの金額を寄付してきた。
お金で効果が変わるなんて世知辛い世界だな、なんて思いつつも神様たちにもいろんな神様がいるし、それを布教する信者たちも活動資金がないと困るから仕方ないんだろう。
「体に気を付けて過ごしてね」
「はい」
「物理的な要因の流産は完全には防ぎきれないらしいから周りには本当に気を付けてね?」
「もちろんです。そんなに心配しなくても近衛兵も常に周りにいるように伝えてあるので大丈夫ですよ?」
「それはそうだろうけど……」
「エルフたちが周囲を固めていないと心配ですか?」
「エンジェリアの人たちを信用していないわけじゃないよ? ただ、ちょっとエルフが側に控えていないのが心配ってだけで……」
「そうですね。エルフの方々はシズト様を裏切る事はないでしょうけど、エンジェリアは可能性はゼロではないのが実情ですし心配になるのは分かります。ただ、エルフたちを頼る事で彼らを信用していない、というメッセージだと騒ぎかねない方も少数ですがいらっしゃるのでご理解頂きたいです」
……まあ、自国の王様が近衛兵を差し置いてエルフたちに身辺警護を任せていたら面白くないと感じる人が出てくるのも不思議じゃないか。
そう考えるとランチェッタさんはよく受け入れてくれたな。
「それでは、私は城でやる事があるので」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
頬に軽くキスをしたオクタビアさんが転移陣を起動してその場から消えた。
ドライアドたちが騒いでいるけど、囃し立て方を教えたのは誰なんだろう?
そんな事を思いつつも、パメラとノエルに話をつけるために屋敷へと向かう。
その途中で、ピンク色の髪の毛がとても目立つ侍女服を着た少女が僕の方へと近づいて来た。
「お帰りなさいませ、シズト様。パメラちゃんはまだ戻ってきてないです。居場所は捕捉済みなので呼びに行きましょうか?」
「いや、わざわざそこまでする必要はないよ。急ぎの事じゃないからね。それより、ノエルはいつも通り部屋に籠っているかな?」
「はい、いつも通りお部屋で魔道具の作成に勤しんでいらっしゃいます」
「そっか。教えてくれてありがとね。……敬語、とっても上手になってるけど、二人だけだったら使わなくてもいいんだよ?」
「存じております。ただ、日頃から使う事で自然と話せるようになる、と教わりましたのでシズト様からご命令されない限りは敬語を使わせていただきます」
命令する程の事でもないんだけど、ちっちゃい頃から知っているアンジェラに敬語を使われる違和感がすごいんだよなぁ。
ただ、向上心の強い彼女の事を思うのなら好きにさせるべきなんだろう。
そのうち違和感がなくなるといいな、なんて事を考えながらアンジェラと別れて屋敷に入る。
丁度その時、手すりを滑って真が二階から降りてきた。乳母の人が慌てた様子で階段を降りてくる。
「手すりを滑っちゃいけません!」
「ごもっとも」
スーッと滑って降りてくる真に駆け寄り、捕まえると乳母の人はホッとした様子でゆっくりと降りてきた。
「お手を煩わせてしまい申し訳ありません。しっかりと教育しておきますので」
「お家の中で安全が確保されてる状態だったら好きにさせてもいいよ。外でやったら叱ってあげて」
「……かしこまりました」
「真、外でやっちゃダメだからね」
「は~い」
返事だけは良いんだよなぁ、なんて事を思いながら逃れようとしてじたばたとし始めた真を乳母の人に預けて僕は階段を上る。
今回の目的地はノエルの部屋だし、レモンちゃんは離れない意志を示しているので肩の上の彼女は放っておいて三階へと向かうために階段を上り続けた。その様子を二階の窓から複数のドライアドたちが見ていたけれど、外の声は聞こえないので放っておいた。
ノエルの部屋に辿り着くと中から扉が開かれた。出迎えてくれたのは望愛を抱っこしたエルヴィスという小柄な女性だった。人族にしては小柄すぎる彼女だけど、ドワーフの中では標準的な体型らしい。
「師匠っ! 旦那様がお越しだよっ!」
その小柄な体格からは想像できないほどの大きな声で部屋の一番奥にいるノエルに声をかけた。ノエルは全く反応しないが、エルヴィスはやる事はやった、と言った様子で望愛を僕の方に差し出して来た。
「アタイもやる事あるから任せたっ」
「任された」
エルヴィスからそっと受け取った望愛はとても眠たそうに目を擦っている。だいたい寝ているらしいけど、寝る子は育つというのにそこまで大きくなってない。ただ、体調が悪いとかそういう事じゃないようなので最低限の運動をさせたら好きなだけ眠らせている事が多いらしい。
「あ、寝た。まあいいか。ねぇ、ノエル。ちょっと話があるんだけど」
「作業しながらでいいっすよね?」
「んー、まあ、いいんじゃない?」
やめろと言えば最近は手を止めてこっちを見るようになったけれど、ノルマの邪魔をするとその分彼女の睡眠時間が減る事は知っている。
作業をしながらでも話はできるだろうし問題はないだろう、とそのまま作業を続けさせることにした。
「ノエルが出てった後にちょっと話があったんだけどさ。望愛のお披露目会を栄人と一緒にするために一ヵ月ほど後ろにずらしてもいいかな? ほら、エミリーがお披露目会を行うあたりが出産予定日じゃん? 産後はゆっくりさせたいし、ノエルとパメラが良いって言うならそうしようかなって」
ん? なんかこっち見た。
目が合った彼女の緑の目をジッと見ていると、しばらくの沈黙ののち、再び視線が彼女の手元に戻った。どうやら魔石じゃないタイプの魔道具を作っているようだ。
「……ボクはなんでもいいっすよ。ボクが困る事はないっす」
「だよね」
後はパメラだけど、こっちから探すのも面倒だし、とりあえずノエルたちの様子を見ながらのんびり待っていようかな。
お金で効果が変わるなんて世知辛い世界だな、なんて思いつつも神様たちにもいろんな神様がいるし、それを布教する信者たちも活動資金がないと困るから仕方ないんだろう。
「体に気を付けて過ごしてね」
「はい」
「物理的な要因の流産は完全には防ぎきれないらしいから周りには本当に気を付けてね?」
「もちろんです。そんなに心配しなくても近衛兵も常に周りにいるように伝えてあるので大丈夫ですよ?」
「それはそうだろうけど……」
「エルフたちが周囲を固めていないと心配ですか?」
「エンジェリアの人たちを信用していないわけじゃないよ? ただ、ちょっとエルフが側に控えていないのが心配ってだけで……」
「そうですね。エルフの方々はシズト様を裏切る事はないでしょうけど、エンジェリアは可能性はゼロではないのが実情ですし心配になるのは分かります。ただ、エルフたちを頼る事で彼らを信用していない、というメッセージだと騒ぎかねない方も少数ですがいらっしゃるのでご理解頂きたいです」
……まあ、自国の王様が近衛兵を差し置いてエルフたちに身辺警護を任せていたら面白くないと感じる人が出てくるのも不思議じゃないか。
そう考えるとランチェッタさんはよく受け入れてくれたな。
「それでは、私は城でやる事があるので」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
頬に軽くキスをしたオクタビアさんが転移陣を起動してその場から消えた。
ドライアドたちが騒いでいるけど、囃し立て方を教えたのは誰なんだろう?
そんな事を思いつつも、パメラとノエルに話をつけるために屋敷へと向かう。
その途中で、ピンク色の髪の毛がとても目立つ侍女服を着た少女が僕の方へと近づいて来た。
「お帰りなさいませ、シズト様。パメラちゃんはまだ戻ってきてないです。居場所は捕捉済みなので呼びに行きましょうか?」
「いや、わざわざそこまでする必要はないよ。急ぎの事じゃないからね。それより、ノエルはいつも通り部屋に籠っているかな?」
「はい、いつも通りお部屋で魔道具の作成に勤しんでいらっしゃいます」
「そっか。教えてくれてありがとね。……敬語、とっても上手になってるけど、二人だけだったら使わなくてもいいんだよ?」
「存じております。ただ、日頃から使う事で自然と話せるようになる、と教わりましたのでシズト様からご命令されない限りは敬語を使わせていただきます」
命令する程の事でもないんだけど、ちっちゃい頃から知っているアンジェラに敬語を使われる違和感がすごいんだよなぁ。
ただ、向上心の強い彼女の事を思うのなら好きにさせるべきなんだろう。
そのうち違和感がなくなるといいな、なんて事を考えながらアンジェラと別れて屋敷に入る。
丁度その時、手すりを滑って真が二階から降りてきた。乳母の人が慌てた様子で階段を降りてくる。
「手すりを滑っちゃいけません!」
「ごもっとも」
スーッと滑って降りてくる真に駆け寄り、捕まえると乳母の人はホッとした様子でゆっくりと降りてきた。
「お手を煩わせてしまい申し訳ありません。しっかりと教育しておきますので」
「お家の中で安全が確保されてる状態だったら好きにさせてもいいよ。外でやったら叱ってあげて」
「……かしこまりました」
「真、外でやっちゃダメだからね」
「は~い」
返事だけは良いんだよなぁ、なんて事を思いながら逃れようとしてじたばたとし始めた真を乳母の人に預けて僕は階段を上る。
今回の目的地はノエルの部屋だし、レモンちゃんは離れない意志を示しているので肩の上の彼女は放っておいて三階へと向かうために階段を上り続けた。その様子を二階の窓から複数のドライアドたちが見ていたけれど、外の声は聞こえないので放っておいた。
ノエルの部屋に辿り着くと中から扉が開かれた。出迎えてくれたのは望愛を抱っこしたエルヴィスという小柄な女性だった。人族にしては小柄すぎる彼女だけど、ドワーフの中では標準的な体型らしい。
「師匠っ! 旦那様がお越しだよっ!」
その小柄な体格からは想像できないほどの大きな声で部屋の一番奥にいるノエルに声をかけた。ノエルは全く反応しないが、エルヴィスはやる事はやった、と言った様子で望愛を僕の方に差し出して来た。
「アタイもやる事あるから任せたっ」
「任された」
エルヴィスからそっと受け取った望愛はとても眠たそうに目を擦っている。だいたい寝ているらしいけど、寝る子は育つというのにそこまで大きくなってない。ただ、体調が悪いとかそういう事じゃないようなので最低限の運動をさせたら好きなだけ眠らせている事が多いらしい。
「あ、寝た。まあいいか。ねぇ、ノエル。ちょっと話があるんだけど」
「作業しながらでいいっすよね?」
「んー、まあ、いいんじゃない?」
やめろと言えば最近は手を止めてこっちを見るようになったけれど、ノルマの邪魔をするとその分彼女の睡眠時間が減る事は知っている。
作業をしながらでも話はできるだろうし問題はないだろう、とそのまま作業を続けさせることにした。
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