【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

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後日譚

後日譚626.事なかれ主義者は意外な一面を見た

 レヴィさんも無事に出産を終えた。
 どちらも出産予定日に生まれた事から予想していたけれど加護を授かっていた。
 ただ、歌羽のようなよく知られていないような加護ではなく、母親の加護をそのまま受け継ぐかのように授かっていたようだ。
 将来を心配するレヴィさんだったけれど、名前は元々決めていた『アンバー』になった。
 加護を授かっていてもそこを加味して名づけをしないのはレヴィさんもルウさんも同様だったけど、ルウさんは翌朝になってもまだ決まっていないとの事だった。

「ゆっくり決めればいいよ。それじゃ、僕は望愛を見送ってくる」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます。何かあったら姫花をすぐに呼ぶんだよ」
「分かってるわ」

 ルウさんの部屋を後にした僕はレヴィさんの部屋にも顔を出し、大人しくしているのを確認してから屋敷の外へと向かった。
 今日は望愛の誕生日パーティーの日であり、町の子たちに向けて公式に望愛をお披露目する日でもある。
 神輿は既に待機しており、望愛を出迎える準備は万全のようだった。
 本日の主役である望愛はというと既にノエルに抱っこされて外にいた。まだ寝息を立てているように見えるんだけど気のせいだろうか。

「ノア、そろそろ起きるっすよ」
「ん~……」
「ほら、自分で立って歩くっす。みんなが見てるっすよ」
「んー……」

 眠たいのに、と大変不服そうな望愛の手をノエルと一緒に引いて神輿へと向かう。
 大きな欠伸をしている望愛はエルフの血が流れているのもあってとても可愛らしい顔立ちをしている。
 金色の髪に緑色の瞳はノエル譲りだけど、耳は人族の耳にとても近い。ちょっと先の方が尖っているかな? 程度だ。
 そんな彼は真っ白な服を着ていた。僕とお揃いだけど、僕と違って彼に引っ付くドライアドはいない。大きくなったら引っ付く日も来るんだろうか。僕たちを追い越して神輿の方へと向かって行くドライアドを見ながらそんな事を思った。



 望愛がどんな子か、と問われたら僕たち家族は口を揃えて『とにかく眠るのが好きな子』だろう。
 一日の大半を眠って過ごしているんじゃないか、と思ってしまうほどとにかく寝ている。
 そういう病気なのかも、と思った時もあったけれどエリクサーやアンジェラが愛用している魔道具を持たせても全く変わらなかったのでそういう子なんだろう、という事で落ち着いた。
 そんな彼がパーティーの間、ちゃんと起きて過ごす事ができるのか心配だったけど――。

「どうやら杞憂のようだね」
「そうみたいっすね」

 誕生日パーティーに集まってくれた人々に向けての挨拶では望愛はお手本通りの姿勢と発声で長々と挨拶をした。誰かが操っているんじゃないか、なんて言われても不思議じゃないくらいの変わりようだった。

「むしろノエルのスピーチの方がはらはらしたよ。ちゃんと練習してたんだよね?」
「シズト様にだけは言われたくないっす」

 対してノエルはというと、話す内容が途中で忘れてしまってグダグダだった。最終的に今後の魔道具開発について話をして終わったのはノエルらしいと言えばノエルらしいんだろうか。
 まあ、でも心配していた望愛が別人かと疑いたくなるくらい完璧な対応をしたのを見た後だと動揺して話す内容を忘れてしまうのもあるかもしれないのでこれ以上はノエルを揶揄うのをやめて僕はやってきた人たちの相手をする。
 示し合わせたかのように魔道具について話が始まるのはきっとノエルの話に合わせてくれているのだろう。

「俺も何か魔道具についてお話した方が良いっすかね?」
「どうでしょう。いつもそういうお話をしているので敢えて別の話をするというのも面白いかもしれません」

 そういうと今回の誕生日パーティーにも参加してくれた男性が笑った。彼の名はコーニエル・ドタウィッチ。ドタウィッチ王国の王子で次期国王となる予定の人だ。
 魔道具開発には誰よりも意欲的で、子どもたちの誕生日を祝いにやってきたのに子どもたちの話はほとんどせずに魔道具の話ばかりしてくる変わった人だ。

「それならばとっておきの話を……と、言いたいところですが、残念ながら特に面白い話はないんすよねぇ。話術に秀でてるわけではないんで」
「ではいつも通り魔道具開発の進捗についてお話しますか?」
「他の人が普段言わない事を言っているのに? なんかそれは面白みに欠けるんすよねぇ。……いつもは避けてたんですけど、俺の子どもの話でもしますか?」
「お子さんがいらっしゃるんですか?」
「いますよ、俺も結婚適齢期を過ぎた男何で。俺がほとんど表に出て来なかったからそういう話も出てないっすけどね。ああ、安心して良いっすよ。だいぶ歳が離れているので縁談の申し込みはするつもりないんで」
「そう、ですか」
「シズト様とは魔道具開発で懇意にさせていただいているんでね。そういう接点がない人たちの唯一の狙い目を俺が搔っ攫うとヘイトを集めちまうってのもあります」

 明るく笑う彼に同調して笑うべきだろうか。
 そんな事を考えながらしばらくコーニエルさんのお子さんについて話を聞く事になるのだった。
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